舞台制作までのプロセス
どうも舞台演出家バックステージです。
普段は稽古場か劇場に居て演劇やミュージカルを作ってます。みなさんに舞台業界のリアルを伝えて行こう思って発信してます。
【今日のお話】
・開演20分前の公演中止ニュースの衝撃。
・企画からどういう流れで舞台を作っていくかを時系列で説明。
今日のテーマは「舞台制作のプロセス」です。
(これより先はVoicyの内容を文字で起こしたものになります。サッと内容を把握したい方は購入をお願いします!)
・開演20分前の公演中止ニュースの衝撃。
なにそのテーマ?って感じですけど、つまりどうやって舞台をつくっているかという順番を話そうかなということです。
どうしてそのテーマを扱うかというと、まぁ元々もうちょっと後にやろうかなと思っていた。
ただ、昨日のニュースで見たのですが、あるミュージカルが初日開演20分前にコロナの影響で中止されたらしいんですね。それが衝撃的すぎて。一瞬本当に目の前がぐらつくというか。
僕は全くそのカンパニーには関係ないのですが、とても胸を痛め、他人事とは思えなくて。
舞台に関わる人がどういう流れで制作していて、
幕があける初日までを準備しているかをここでお話して、我々舞台業界の人間にとってこのニュースがどれくらいショックだったのかお話しようとおもいます。
・企画からどういう流れで舞台を作っていくかを時系列で説明。
流れをまとめていたらカレー作る順番と一緒じゃん!と思ったのでそれで例えながら説明しますね。
一般的なスケジュールを先に初日からの逆算でざらっと言うと
・初日から3〜4年前【料理メニューを決める】
まず誰かの頭の中で企画が発案されてどこかの制作会社や劇団で承認されることでしょう。
次に抑えるのが、劇場、本の権利、演出家、メインキャストとなるでしょう。この辺はプロダクションの規模によって変動しますが、いずれにせよそのプロダクションの心臓部分にあたる部分ですね。
もうこの辺は5、10年前とかもあるかもですね。
・初日から1〜2年前くらい【一緒に料理してくれる仲間探し】
ここが舞台の面白いところですよね、自分一人で料理しないってところが難しくて楽しいみたいな。
なんとなく企画の大枠が決まったら作品の構想考えるために演出家中心にスタッフィングをします。スタッフィングとは演出家の仲間探しです。桃太郎みたいな感じをイメージしていただければ。
舞台監督さんを誰にするか、照明家や音響家をどうするかなどを考えます。
→ここもまた面白いのでどこかで話そうかと思いますね。
その後
全体のイメージが沸いたところでその作品に合うキャストのオーディションをします。
いろんな俳優に会って作品のイメージを構築していきます。
これで仲間探しを完了させます。
・初日から半年年前くらい【材料集め】
スタッフとキャストがきまったらあとはひたすら打ち合わせです。
特に美術、本、音楽の打ち合わせですね。考え方として稽古をするための材料を調達する感じですね。
・初日から4ヶ月前くらい【材料を下拵え】
ここくらいからプロダクションが実質的にキックオフするかと思います。
台本を製本したり、譜面整理したり、小道具調達したり、制作チームと舞台監督チームが稽古をする準備をします。
次にくる個性の強い料理人たちのために準備するイメージですね。
・初日から約1〜2ヶ月前【料理開始!味を決めていく】
ここにきてエース料理人の登場です。あるいは高級食材かもですね。
新作ミュージカルとなると歌稽古が一番初めに始まるので大体2ヶ月半前とかですかね
→ここは激動すぎるので正確な稽古内容はまたどこか話します。
いろんな実験を繰り返してイメージを現実化して行きます。ここで大まかな味が決まります。
・初日から約1から2週間前【配膳開始!】
この辺りから劇場入りして実際の舞台で作品をととのえます。
稽古場で試せなかったこと、一番は照明と美術を合わせていきます。カレーの味が決まってきているのでここからがまた演出の見せ所でしょうね。
・初日から1日前【関係者試食会!】
通称ゲネプロ、最終通し稽古です。実際にお客様に提供する前に通します。最終確認です。
・初日当日【あとは黙って提供】
ここまでくると、もはやスプーンの配膳の角度をなおしたり、机の上の小さな埃を取る程度です。
あとはもう黙ってお客さまに食べてもらうって感じですね。
今回のニュースは結論としては、「お客さんにカレーの匂いだけを嗅がせて帰宅をお願いした」ということです。
今後もこういうことがないことを祈ることばかりです。
バックステージでした。
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