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これは料理の話じゃない。きっと人生の、美しさの話だ。

プロローグ

私は苦しい時に本を読む。
私にとって本は「薬」だ。

私はつらい時に図書館に行く。
私にとって図書館は「居場所」だ。

私が一番本を読んで、図書館に通っていた時は中高生だった。
戦時中の本を読んで「今の私はとても幸せだ」と実感し、法律の本を読んで「何があっても戦える」と強気になり、世界の偉人の本を読んで「世界に選ばれる人になるには」と夢を描いた。
思春期の波に飲み込まれそうになっていたあの頃、逃げる場所が限られていた私にとって、図書館ほど安全で心を救ってくれた場所はなかった。

「親の文化資本に寄らず、知識と安全をすべての子どもたちが享受できる場所」それが図書館なのだ。
ここで、さらに子どもたちが「人脈と経験」に出会うことができたら、こんなに素晴らしいことはない。
そうすれば、私のミッションである「親の文化資本に寄らない人脈と経験を全ての子どもたちが享受できる環境」をつくることができる。

本と図書館を活用して「好き」で繋がる人脈を地域でつくる


その第一弾の取り組みとして、先日「本を聴こう、本を語ろう、みんなで本を味わおう」というイベントを企画してみた。
テーマを決め、本の著者の話を聞き、その感想を皆で共有しあうというシンプルなものだ。
この企画を実施するために2つの団体の協力が必要だった。

1つは図書館。
今回、初めての試みにもかかわらず、私の熱い想いを流山市立森の図書館の館長さんと司書さんが受け入れてくださり、実施することができた。
このイベントために特設コーナーも作ってくれた。

「図書館って可能性はいくらでもあるんです。極端な話、プロレスの本を並べてプロレスを開催することだってできる。図書館はとても面白い場所だと思ってます」と、とっても柔軟な発想をお持ちの館長と司書さんで始まる前から私はワクワクしていた。

もう一つはコンテンツ提供会社。
本の著者をそう簡単には呼べないから、動画でその人柄や考えが分かる動画を探していた。
今回、「ほぼ日の學校」を運営しているほぼ日さんにご協力いただき、通常有料で提供しているコンテンツに対して上映許可を頂いた。
吉本ばななさん、三谷幸喜さん、谷川俊太郎さんを始め作家さんのコンテンツも多くつくっており、『人に会おう、話を聞こう』というコンセプトも
私の企画にぴったしだった。

今回は森の図書館とほぼ日の學校に相談をして「料理研究家の土井善晴さん」に決めた。料理は老若男女問わず語れるテーマだからだ。

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まずは1人で味わい、徐々にみんなで味わいを深めていく

当日は30代~80代まで多様な方が参加をしてくださった。
まずは土井先生の「それで、いいんです」の料理講座を皆で30分視聴。
自分に心に残った言葉をカードに書き残してもらう。

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残り30分で各々が「どんな言葉が残ったのか?」をグループで共有しあう。

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80代後半のおばあちゃんが
「今は料理を作らず、宅配に頼っている。もう少し若い時にこういう話しを聞きたかった。でも、今日は若い人たちの話も聞けて、参加して良かった」と語ってくれた。
コンビニにすぐに走り、総菜を買ってくる私達世代にとっては尊敬しかないようなお話もたくさん聞くことができた。
終わった後、会場に設置されていた本も借りていく人もいた。

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これは料理の話じゃない。きっと人生の、美しさの話だ。

参加者のお1人が帰った後にこんな言葉を投稿してくれた。
「これは料理の話じゃない。きっと人生の、美しさの話だ。」

1人で本を読むと「料理の話」でとどまっていたかもしれない。
でも、その裏にある著者の想いを知り、他者と対話をすることによって、人生の話に到達するのではないだろうか。

好きなテーマから入って、人生の話をする。
こんなキッカケにぜひ中高生も出会ってほしい。

この取り組みを全国の図書館や博物館、学校に広げていきたい。
動画を流して話し合ってもらうというシンプルな流れなので、私でなくても誰でも実施できる。
むしろ、司書さんがファシリテーターを務めた方が面白い取り組みになるのではないかとも思っている。
開催するのにお金はいらない。
プロジェクターとモニター、PC、紙があればできる。
動画コンテンツの提供については、ほぼ日の學校とも現在話を進めている。
もし「うちの施設が主催でやってみたい!」という方がいらっしゃいましたら、メッセージください。
info@shinsenryoku.com 尾崎

年齢関係なく、「好き」で繋がり、地域で面白い経験と人脈に出会うキッカケが日本全国で広がることを願って。

【参照】
森の図書館さんが申請をだしてくださり、今回のプロジェクトは文化庁が進めるBeyond2020にも登録されました。


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