見出し画像

物流2024年問題、送料値上げ対策に「ゆうパケット」が有効な理由とは

働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用されることで、運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが危惧されている物流業界の諸問題を指す「物流2024年問題」。

2023年4月にヤマト運輸と佐川急便、10月には日本郵便が一部運賃の値上げを実施。大手配送キャリア各社は、送料の値上げを通じて、燃料費などのコスト増への対応、労働環境改善など「物流2024年問題」への対応を急いでいます。

ECを実施している企業には大きな痛手となる送料の値上げ。ここで皆さんにお伝えしたいのが日本郵便が提供する「ゆうパケット」(小型の商品などを全国一律運賃で荷物を送れるサービス)の活用です。

小さな荷物の配送は日本郵便に、の流れ

2023年に発表されたヤマトホールディングスと日本郵政グループの競業。これにより、ヤマト運輸が提供している「ネコポス」(小さな荷物を宅急便レベルの翌日配達で届け先ポストに投函する配送サービス)は、2023年10月から日本郵便への業務委託を開始。2025年3月末をめどに全量業務を日本郵便に委託します。なお、2023年10月以降、ヤマト運輸は新サービス「クロネコゆうパケット」として小型荷物の取り扱いをスタートし、顧客から荷物を預かり、配送業務の委託先である日本郵便の配送網で荷物を届ける取り組みを始めました。

「クロネコゆうパケット」の料金は、ヤマト運輸との法人契約の内容(荷物の発送個数など)に応じて価格決定されます。

一方、荷物1つだけでも、「ゆうパケット」は厚さに応じた3段階の運賃設定で、重量1kgまでなら日本全国一律料金、そして追跡サービス有り。物量が膨大な企業を除けば、「ゆうパケット」を活用する手はないと言えるのではないでしょうか(もちろん小型の商品を扱っているケースになります)。

 「メール便」の変遷と「ゆうパケット」の基礎知識

「メール便」というサービスはかつて、追跡機能がないものが主流でしたが、各配送キャリアが提供する現在の「メール便」は追跡機能を有し、ポスト投函型が一般的となりました。

なかでも日本郵便の「ゆうパケット」は追跡機能があり、なおかつ全国一律250円からという圧倒的なコストパフォーマンスを有しています。


ゆうパケットの利用で最大570円のコスト削減

「ゆうパケット」は3辺合計の大きさ60cm以内で、長辺は34cm以内、厚さ3cm以下、重量1kg以下に収まる小さな商品を全国一律250円から配送できます。厚さが1cm以内は250円、2cm以内は310円、3cm以内は360円。この価格にはボリュームディスカウントも適用されます。

一方、日本郵便の「ゆうパック」(60サイズ)は同一エリア内で定価820円から。沖縄などの地域では1450円~です。「ゆうパック」(60サイズ)と「ゆうパケット」では、同一エリアでの配送において「570円」(東京から東京に発送した場合)という大きなコストの違いが生まれます。


  「ゆうパケット」の活用でコスト削減を

Amazonではプライム会員であれば「送料無料」、「楽天市場」では購入価格が3980円を超えればほぼ「送料無料」という送料システムがあります。多くの事業者は消費者に「送料無料」というサービスを提供すると同時に、利益をきちんと計上しなければなりません。どれだけ配送料金の負担を抑えることができるか、今後はこの視点がとても重要になってくることでしょう。

配送コスト削減のための施策の1つとして、「ゆうパケット」サイズで荷物を出荷する取り組みは必要不可欠と言えます。「そんなことはわかっている」と思う事業者も多いことでしょう。実際の運用は簡単ではないのが事実です。

私が代表を務めるTシャツのECサイト「Tshirt.st」でも、「可能な限り『ゆうパケットで配送する』」という取り組みを実現するまでにいくつものハードルがありました。

たとえば、「Aという製品はMサイズまでなら2枚、『ゆうパケット』で配送できる」「Aという製品はXLだと1枚しか入らない」など、同じ製品でもサイズによって「ゆうパケット」に収めることが難しいケースが多々発生しました。

「ゆうパケット」に収まると思っていたら入らなかった……そのため違うサイズの箱で梱包する――。こんな、人に依存した「できるだけ『ゆうパケットに入れてください』」というオペレーションは破綻することも実感しました。

こうしたことを含めて、取り扱い商品は5万SKUを超えるため、2枚以上の組み合わせを考慮すると「ゆうパケット」に入るパターンを見つけ出していく作業は困難を極めたのです。

「1回の配送で数百円のコストを削減できるのに、諦めるのか?」。こんなことを自分自身に言い聞かせ、可能な限り「ゆうパケット」での配送を実現するための試行錯誤を繰り返し、「計数管理」で「ゆうパケット」梱包可能なパターンを見つけ出すアプローチを採用しました。

「Tshirt.st」は「計数管理」により、「ゆうパケット」で梱包できるパターンを見つけ出し、受注システム(OMS)上で判別。日々の運用で誤りが発生した場合は、商品データベースを調整し、精度の高い「ゆうパケット」梱包判定を自動で導き出しています。これにより、コスト削減の目標を効果的に達成できるようになりました。

物流費の上昇は避けられない未来の課題とされていますが、物流業務の効率化、受注処理のオペレーション改善でコスト上昇を吸収することは可能です。物流業務や受注処理はECのビジネスモデルのなかで重要な要素であり、これらの効率化がビジネスの生きる道となるはずです。配送料を下げる手段やノウハウは数多く存在しますが、「ゆうパケット」の活用もその1つ。ぜひ貴社のECビジネスでも検討してみてはいかがでしょうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?