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明治維新から令和につながる親子のコミュニケーションの壁

日本人がなかなか英語を習得できないのは、母音の少なさも一因らしい

アとエの中間の音とか、イとユの中間の音だとか、そういう音が「いわゆる標準語」と言われるものにはない

アイウエオの五つのみ

昔も日本は母音豊かだったらしい

その土地その土地で持っているさまざまな母音

しかし各々が各々の母音で喋っていたら、軍の命令伝達がスムーズに行われないと考えた明治政府は、「いわゆる標準語」として「アイウエオ」に絞った

潤滑な情報伝達という効率と引き換えに、豊かな表現力を失ってしまったのかもしれない

文明開花とともに開国したが、言語習得においては自国民に対して鎖国をしてしまったのかもしれない

ただ、母音というもんは教育と環境により獲得または制限されていくもので、小さい子どもというのはそれはそれは豊かな音でお喋りをする

それを大人である我々は、まだ発音が未発達だからと決めつけるが、言語獲得のためにありとあらゆる母音を試用して母国語を学んでいるのが幼児なのかもしれない

保育園での帰り道

「おはなちゃん、今日は保育園で何したの?」

「あのね、てぃくぁぉちゃんがね」

「ん?みこちゃん?」

「てぃくぁぉちゃんがね」

「りこちゃん?」

「てぃくぁぉちゃんがね!」

「きこちゃん?」

「てぃくぁぉちゃんっ」

「ピクチャー?」

「てぃくぁぉちゃんッ」

「りかちゃん?」

「てぃくぁぉちゃん!」

「れいこちゃん?」

「てぃくぁぉちゃん!!」

「みかちゃん?」

「てぃくぁぉちゃん!!!」

「ディカちゃん?ディカプリオ?」

「てぃくぁおちゃぁぁああんん!!

「りこちゃん!!?」

「てぃくぁおちゃぁぁんん!!」てぃくぁおちゃあああん!!」

「てぃくぁおちゃん?」

「ちがう!てぃくぁおちゃん!」

「だからてぃくぁおちゃんでしょ?」

「てぃくぁおちゃん!てぃくぁおちゃん!」

「お父さんのてぃくぁおちゃんと、おはなちゃんのてぃくぁぉちゃんと何が違うの?なんだ?LとRの違いか?そもそもLとRなんてないじゃないかてぃくぁおちゃん内には!」

「てぃくぁおちゃぁぁあああんんぁあうぁうぁうあうあああああ!!」

こうなったら手がつけられない

ん?もしかして

「りくちゃん?」

「うん、てぃくぁぉちゃん!」

泣き止んだ

りくちゃんと発音していたらしい

あたしはアイウエオの母音に慣れすぎて、娘の豊かな表現が聞き取れなかった

母音統一は軍の伝達がスムーズになっても、親子のコミュニケーションが困難だ

明治政府め

おしまいまで読んでいただいてありがとうございます( ̄▽ ̄)