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毎週ショートショートnoteともうしまう

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https://note.com/tarahakani/n/n1ac47fd88166 #毎週ショートショートnote こちらから、お題をお借りしています。
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2022年11月の記事一覧

掌編「配信したがる餃子」@毎週ショートショートnote

掌編「配信したがる餃子」@毎週ショートショートnote

「“餃子系男子”ってどうですか。パッと見では分からないけど中身は肉食系です、みたいな」

「それ、既に“ロールキャベツ系”としてあるね。外装がキャベツではなく小麦粉生地であるという意味付けがほしいところ」

「ماشاء الله!ロールキャベツなら外側は草、内側は肉。草と見せかけて秘めたるは肉。なるほどなァ」

「“ماشاء الله!”じゃねぇんだよ。考えろよ」

「小麦粉生地…。小麦は植物

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掌編「バイリンガルギョウザ」@毎週ショートショートnote

掌編「バイリンガルギョウザ」@毎週ショートショートnote

「あ、新入生くん?ようこそ~」

「よ、よろしくお願いします!これ、地元のお菓子で…」

「お~謝謝!」
「감사합니다~」
「Merci!」
「ماشاء الله!ধন্যবাদ」

「…?」

「これは…?」

「お品書き。この中から1つ選んで」

「ひとつ…」

「そう。好きなやつ」

「…えと、じゃあ、…ピエロギ?で」

「おっけー、ポーランドね。ゴールデンウィーク明けに日常会話程度を目標

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掌編「全力で推したいダジャレ」@毎週ショートショートnote

掌編「全力で推したいダジャレ」@毎週ショートショートnote

ダジャレでいつも連想するのは、ラップ。お皿に被せる透明なやつ、のことじゃなくYo!チェケ!のほう。

ダジャレって、呑み屋でおじさんが連発してるのを想像するとちょいダサな感じもするけど、其の実、同音異義語とか母音の一致とかに対してすごく敏感でないと生み出せないでしょ?言葉に対する強い執着が引き起こす奇蹟ともいえる…、いえない?そうか。

まあ、わたしの考えでは「ダジャレ連発おじさん」と「プロのラッ

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掌編「立方体の思い出」@毎週ショートショートnote

掌編「立方体の思い出」@毎週ショートショートnote

「早く起きな~!園バス来ちゃうよ」

バタバタという足音が居間に近づいてくる。

「おっ、えらい。ひとりで起きてきたね。そのまま着替えもしちゃおっか!」

着替えを済ませテーブルにつく娘に朝ごはんを出すと私は、引き出しを開ける。

「今日はどれがいい?」

いくつかの髪留めを取り出し、娘に選んでもらう。黄色い丸にピンクのハート、青い星、木の四角に…。

娘が選んだのは木の四角だった。ゴムの両端に木

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掌編「謹製金星菌性」@毎週ショートショートnote

掌編「謹製金星菌性」@毎週ショートショートnote

間もなく夜明けであるが、本日も奇蹟とも奇声ともつかぬものが私を駆け抜けるのが予感された。

そして、また息を取り戻す。

(409文字)

掌編「音声燻製」@毎週ショートショートnote

掌編「音声燻製」@毎週ショートショートnote

見たことのあるようでないような路地だった。

突き当たりは遥か彼方、頭上には、くすんだ赤だの青だの黄色だのの出窓がずらりと見えて空まではだいぶん遠かった。

吐いた息が白く広がる視界で、目的の窓を探す。窓枠はすべて緑色らしい。

それらしい窓の下で立ち止まり手にした松ぼっくりを投げると、兎のような生き物が顔を出した。

『こちらの?』「そう、それです」

いったん顔を引っ込めたかと思うと今度は身を

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