椎茸海老しんじょ・いかの生姜焼き
小さい頃食べたモノの味を忘れないように、こどもに残せるようにと描き始めた思い出レシピ。
描き続けて気づいたことは、大人になって食べたどんな美味しく贅沢な目新しい料理より、こどもの時に口にした味が記憶の中で鮮明に残って、そういうものを描き残したいと思うことの方が多い。
椎茸えびしんじょもその1つ。
母はなんでも挟んだり乗せたりする料理が好きだった。
海老しんじょは茄子に挟まれてる時もあり、また茄子は餃子餡を挟んでいる時もあった。
こどものことを思ってタンパク質だけでなく野菜も食べるようにという気遣いだったのかは知らないけれど、手の込んだ料理を共働きで忙しい中作ってくれたことに有難く思う。私も今は共働きであるが、平日にこんな手の込んだ料理は面倒で作る時間も余裕も意気込みもない。
今でも店のメニューにあると必ず頼んでしまう海老しんじょ。
細かくされた海老の身は歯ごたえこそないが海老の旨味と甘味が広がり、揚げた衣の香ばしさもありおかずではあるがお菓子の延長のような、だからつまみ感が強いおかずなのかもしれない。
イカの生姜焼きは、昔、呉にあった鉄板焼屋「暫(しばらく)」で食べた逸品を真似て作ったもの。
暫は鉄板焼きといっても広島お好み焼き屋やステーキ屋のようなスタイルというよりは、定食屋に近い。
牛肉やレバーなどを甘辛い醤油たれで焼いてごはん・味噌汁と一緒に提供されるのだが、私はこの店で牛肉を食べたことがない。
この店の牛肉焼き定食は高いのである。昔よく定食屋であった「焼肉定食」の高級版といってもいい、こどもの口には入らない定食。
父が牛肉焼きを食べていたかは覚えてないが、おそらくレバーを食べていた気がする(何度か口にした)。私はというといつもなぜかイカ焼きを食べていた。濃い醤油たれをまとったイカがご飯によく合う。
あの頃のイカ焼きの味が忘れられずたまに作るのだが、生姜が入っていたかは定かではない(恐らく入ってなかったと思うが)、イカニ生姜を合わせるのが好きなので入れている。食欲をそそる生姜の清涼感、醤油がキリリの効いたイカ焼きはご飯だけでなく、ビールにもよく合う。
仕上げにバターを加えてもよし!
この、暫という店、呉の店はだいぶ前に閉店してしまったみたいだが、広島に店舗を構えているらしい。今ではスタイルが少し変わって昔みたいに定食がなかったり、イカ焼きはないみたいだけど、広島に帰った際はいつか足を運びたいと思う。
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