【冷凍専門家が解説】上手に保存!ベビーフードの冷凍方法
こんにちは。BabyStock(ベビストック)編集部です。
お出かけ時や調理の時間がないときに、とっても便利なベビーフード。
離乳食を始めたばかりの5か月から食べられるものもあります。
でも、開封したベビーフードを一度に使い切れなかったご経験はないでしょうか。
余ってしまうベビーフードを冷凍保存したりして、再利用ができたら嬉しいですよね。
この記事ではなにかと余りがちなベビーフードの冷凍保存の方法について、2児の母であるライターTが冷凍のエキスパートである冷凍王子・西川剛史さんに聞いてみました。
▲メディアで「冷凍王子」として話題の西川剛史さん
毎日に役立つ冷凍テクニックを発信されています
ベビーフードにはメリットがいっぱい
毎日忙しいパパママにとって、ベビーフードはありがたい存在ですよね。
それもそのはず、ベビーフードには手作りの離乳食にはないメリットがたくさん。
【ベビーフードのメリット】
・時短ができる
・持ち運びやすくお出かけに便利
・衛生的に保たれている
・長期間保存できる
・メニューが豊富
・下処理が面倒な食材を手軽に取り入れられる
・手作り離乳食のお手本になる
・組み合わせて簡単にアレンジできる
・緊急時に使える(親が体調不良のときや災害時など)
少々気になるデメリットとしては、手作り離乳食に比べると費用が多くかかること。
それでも、手作り離乳食と組み合わせたり使い分けたりして、ベビーフードを上手に活用されている方は多いと思います。
開封したベビーフードが余ったらどうする?
さまざまなメリットがあるベビーフードですが、開封しても一度には使いきれないことはありませんか?
特に赤ちゃんがまだ低月齢の時期は、1回あたりの離乳食の量は多くありません。
離乳食初期の1食あたりに必要な量は、食材1種類につき1~4さじ程度です。
一般社団法人母子栄養協会によると、離乳食初期の1さじとは小さじ1、すなわち約5g。
たとえば10倍がゆを4さじ使う場合、使用量は20g程度となります。
一方、離乳食初期から使いやすくて人気のキユーピーの瓶詰ベビーフードの内容量は約70g。
これでは開封しても余ってしまいますよね。
このように開封しても余ってしまうベビーフードは、冷凍保存してもいいのでしょうか。
さっそく冷凍王子・西川さんに聞いてみましょう。
開封後のベビーフードは冷凍保存が可能
「開封後のベビーフードが食べきれないときに、捨ててしまうのはもったいない!ベビーフードを小分けにして冷凍保存するのがおすすめです」と話す西川さん。
「市販のベビーフードも、ルールを守れば冷凍保存できるんですよ」
未開封のベビーフードが手作りの離乳食に比べて常温でも日持ちするのは、製造過程で十分に衛生管理が行われ、殺菌処理が行われているから。
そのため開封したばかりのベビーフードは衛生的で、冷凍保存に適しているのだそう。
「開封したベビーフードが余るのは、一度に食べる量の少ない低月齢の時期が多いと思います。
低月齢の時期のベビーフードは水分が多く、特に冷凍に向いていると言えますよ」
なるほど、それは大変ありがたいですね!
開封後のベビーフードを冷凍する方法
開封したベビーフードを冷凍する場合、赤ちゃんが食べきれなくて残ったものを冷凍すればいいのでしょうか。
「口をつけた食べかけのベビーフードは冷凍できません。
口に入れたスプーンなどをベビーフードに入れると、付着した唾液によってベビーフードに腐敗や食中毒の原因となる細菌や微生物が入ってしまいます。
この細菌・微生物が、ベビーフードを冷凍庫に入れて凍るまでのあいだや、解凍して食べるまでの間に増殖してしまうのです。
細菌・微生物によって赤ちゃんが食中毒を起こす可能性もあるため、食べかけのベビーフードは絶対に冷凍しないでくださいね」
食べかけのベビーフードの冷凍保存は危険なんですね……。
では具体的に、どのように冷凍保存したらいいでしょうか。
「ベビーフードを開封したら、まず『いま食べるもの』と『冷凍するもの』に分けます。
このときは、清潔なスプーン等で取り分けることが大切です。
『冷凍するもの』は冷凍保存容器に入れ、すぐに冷凍庫に入れてください。
ここまでが終わってから、赤ちゃんに『いま食べるもの』を与えましょう」
冷凍するものは、食べさせる前に取り分けておくことが大切なポイントなんですね!
ベビーフードの冷凍保存におすすめの容器
西川さんがおすすめするベビーフードの冷凍保存容器についても教えていただきました。
「ベビーフードを余らせてしまうのは赤ちゃんが低月齢の時期が多いと思います。
そこでごく少量ずつ冷凍できて、かつ蓋がついている製氷皿タイプの容器がおすすめです」
「このような製氷皿タイプの冷凍保存容器でベビーフードを冷凍したら、容器から外してジップ付き冷凍保存袋へ移すと、冷凍庫の中で場所を取りません。
ジップ付き冷凍保存袋に移すことで冷凍保存容器をいくつも買う必要がなくなり、経済的でもあります」
冷凍したベビーフードを解凍する方法
冷凍したベビーフードは、どのように解凍したら良いのでしょうか。
「電子レンジの加熱モードか鍋でしっかりと加熱して解凍することが必要です。
自然解凍や冷蔵庫での解凍、電子レンジの解凍モードでの解凍はしないでください」
一般的な冷凍食品では自然解凍OKなものや、冷蔵庫での解凍が推奨されているものもあります。なぜ離乳食ではNGなのでしょうか。
「一度開封したベビーフードには空気中の細菌が混入し、その細菌が冷凍庫で凍るまでの間や解凍中に繁殖するおそれがあります。
自然解凍や冷蔵庫解凍は、微生物が増殖する温度帯に長く食品を置いておくことにつながるので、抵抗力が弱い赤ちゃんが食べた際に食中毒につながることがあるんです。
大人が食べる冷凍食品も、自然解凍や冷蔵庫解凍してよいものは、製造過程での衛生管理と殺菌が徹底されていることが条件ですね。
一度家庭で開封したものは自然解凍や冷蔵庫解凍はおすすめしません」
だから、しっかりと加熱して殺菌をしてから与えることが必要なんですね。
「電子レンジの解凍モードは加熱が不十分なので、離乳食の解凍には向きません。しっかり加熱モードで加熱したうえで、食材を少しずつかき混ぜて全体に熱が通るように気を付けましょう。
ただ、解凍したばかりの食材は大変熱くなっているので、しっかり冷ましてから与えてくださいね」
冷凍したベビーフードの保存期限
冷凍したベビーフードはどのくらいの期間保存できるのでしょうか。
「おいしく食べられる目安は、水分の多いものは1か月程度、水分の少ないものは2週間程度です。
冷凍した食品は長期保存が可能ですが、あまり長く保存しすぎるとさまざまな要因で味や見た目が悪くなってしまうことがあるんです」
どうして味や見た目が悪くなってしまうのでしょうか。
「冷凍した食品は非常に乾燥しやすいんです。乾燥すると、食品の食感が変わってしまいます。
そして乾燥によって食品は酸化しやすくなります。
酸化すると、食品の見た目や味が悪くなってしまうんです。
ベビーフードはもともと水分が多く含まれていて乾燥しづらいのですが、それでも冷凍すると少しずつ乾燥してしまいます。
ベビーフードを冷凍保存容器に入れるときはできるだけ隙間なく詰める、スープなどの水分で覆うなど、なるべく食材が空気に触れる面積を少なくして冷凍するのが乾燥を防ぐコツです」
また、「長期間保存すると食中毒のリスクも高くなってしまうんです」と西川さん。
「長い間冷凍している間に、冷凍庫の開け閉めなどで冷凍したベビーフードが溶けて、微生物が繁殖して食品が不衛生になってしまう場合があります。
冷凍庫の開閉は最低限にするように心がけて、1か月以内に消費するようにしましょう」
開閉時間を少なくするために、事前に冷凍庫内の整理整頓を見直しておくといいかもしれませんね。
開封後のベビーフードは冷蔵保存・常温保存NG
食べかけのベビーフードでなければ、1日くらいなら冷蔵保存や常温保存してもよいのでしょうか。
「開封後のベビーフードの冷蔵や常温での保存は、絶対にしないでください!ベビーフードが常温保存できるのは、未開封の場合です。
ベビーフードは製造過程で密封した容器を加圧加熱殺菌しているため、常温保存が可能になっています。
でも一度開封したベビーフードにはどうしても空気中の細菌や微生物が入り込んでしまい、開封前のような完全に衛生的な状態ではなくなります。
開封後のベビーフードを冷蔵や常温で保存すると付着した細菌や微生物が繁殖して、赤ちゃんの食中毒につながるおそれがあります。
開封したベビーフードを保存するときは、必ず開封後1時間以内に冷凍するようにしてくださいね」
昨今は調理済みのおかずを冷蔵保存する「作り置き」がブームですが、赤ちゃんの離乳食には冷蔵保存や常温保存は適していないということですね。
「そうですね。大人と赤ちゃんでは、胃腸や免疫の強さが違うんです。
たとえ次の日には消費するとしても、開封後のベビーフードは必ず先に取り分けて冷凍保存するようにしましょう」
冷凍を活用してほしいのは瓶詰ベビーフード
ベビーフードは以下のタイプに分類されます。
・乾燥タイプ
・瓶詰タイプ
・レトルトパウチタイプ
・お弁当BOXタイプ
「どのベビーフードも、もちろん冷凍保存可能です。レトルトや瓶詰タイプは冷凍しやすいものが多いですね」と西川さん。
「なかでも冷凍をすると活用の幅が広がるのが瓶詰ベビーフードです。
瓶詰はどの月齢向けのものの、内容量が70gや100gなど一律で、離乳食初期や中期の場合は余ってしまうことが多いですよね。
瓶詰ベビーフードは、開封したらまず1回分の使用量に分けて、冷凍保存すると良いでしょう。
冷凍することによって開封後のベビーフードを衛生的に保存でき、かつ余らせることなく使えるため経済的です。
ただし、小分けにしたときの量が1さじ分ずつなどあまりにも少ないと、冷凍した食材は乾燥しやすくなるので、なるべく早めに消費するようにしてくださいね」
市販の冷凍ベビーフードでさらに時短
調べてみると、最初から冷凍した状態で販売されているベビーフードもありますね!
「もともと冷凍してあるベビーフードなら、購入したら冷凍庫に入れるだけ。
忙しいパパやママにもぴったりですね」
▼mogcook お魚離乳食「離乳食スターターキット」
▼オイシックス 安心野菜のベジキューブ
▼パルシステム yumyum産直うらごしシリーズ
使いやすいようにあらかじめ小分けにされているため、使い勝手もばっちりです。
冷凍ベビーフードを活用した簡単レシピ
「小分けにして冷凍したベビーフードを組み合わせれば、離乳食のレパートリーが広がりますよ!」と西川さん。
「いろいろな食材を使った献立でも、冷凍したベビーフードを使えば簡単に作ることができます」
ベビーフードを活用した簡単なレシピは、さまざまなベビーフードメーカーのウェブページで紹介されています。
ここでは、活用しやすいレシピを紹介するとともに、冷凍ベビーフードを活用するポイントについてもご紹介します。
ベビーコーンスープ(離乳食初期)(キユーピー)
瓶詰のベビーフード「キユーピー 北海道コーン」を使用したレシピ。
1回に使用する量が1/4瓶なので、あらかじめ1/4瓶の量に小分けして冷凍しておくか、開封してすぐ使用する場合は残りの3/4瓶を冷凍すると、余すことなく使えますね。
納豆とバランスキューブの3色がゆ(離乳食中期)(パルシステム)
パルシステムの冷凍ベビーフード「バランスキューブ」を使用したレシピ。
ひきわり納豆、野菜、おかゆの組み合わせで栄養満点のメニューも、冷凍ベビーフードを使えば簡単に作ることができますね。電子レンジでの解凍は手軽で便利ですが、食材に解凍ムラが発生するので、与える前に全体がしっかりと解凍できているか確認しましょう。
簡単ミネストローネ(離乳食初期)(和光堂)
冷凍したベビーフードを適量使ってもいいですし、上記の分量のミネストローネを作り、1食分ずつ小分け冷凍するのもおすすめです。5~6か月の離乳食初期から食べられるメニューですが、ビタミン、たんぱく質などの栄養素がバランスよくとれるこのミネストローネは離乳食が進んでからも積極的に取り入れたいメニューです。
冷凍保存におすすめなのはキユーピーのベビーフード
私ライターTが冷凍保存をするベビーフードとしておすすめしたいのは、キユーピーのベビーフード。
マヨネーズなどの商品が有名ですが、ベビーフードも大変充実しています。
キユーピーのベビーフードは離乳食初期から完了期まで、商品の品揃えがとっても豊富。月齢や使い勝手に応じて使い分けることができます。
しかも特定原材料(アレルゲン)不使用商品が多いので、赤ちゃんのアレルギーが心配な方にも安心なんです。
キユーピーのベビーフードのラインナップは以下のとおり。
・瓶詰(5か月〜)
・ハッピーレシピ(5か月〜)
・にこにこボックス(7か月〜)
・すまいるカップ(9か月〜)
スーパーやドラッグストアでも手に入れることができるので、日常的に使うことができます。
瓶詰にはフルーツの離乳食があるのが特徴で、これを小分けにして冷凍しておくと、野菜を嫌がったときに甘みとして加えられて便利です。
月齢が上がった際にもソースやデザートとしても活用できますよ。
ベビーフードの冷凍保存を活用して時間と心にゆとりを
もともとメリットの多いベビーフードですが、開封後に余ったぶんは冷凍保存が可能となれば、さらに便利に使うことができますね。
食べかけのベビーフードの冷凍や、開封後のベビーフードの冷蔵保存・常温保存はしないようにしましょう。
育児に奮闘するパパママを支え、時間にも心にもゆとりを与えてくれるベビーフード。
上手に活用して、毎日の赤ちゃんとの離乳食タイムを楽しみましょう!
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