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激痛との戦い

全身麻酔だったので、生まれたての我が子を見れなかったからこそ、
お腹の痛みがあることによって本当に我が子が産まれたと実感ができたが、
帝王切開の痛みは想像以上に壮絶だった。
少しの身動きでも走る激痛は我慢ができないほど痛い。

痛み止めを自分でボタンを押して注入する機械を手渡されたが、
これがまた全然効かずボタンをガチガチと連打してしまった。
痛すぎてボロボロ大粒の涙が溢れてきた。
痛すぎて痛すぎてずっとボタンを押していたが、痛みが治まらない。

ナースコールに手を伸ばしたくても痛くて動けず。
ただただずっと痛み止めのボタンを連打していた。

自分の体感では2時間ほどたった頃、先生と看護師さんが様子を見にきてくれた。
痛すぎて声が出なかったが、顔色で何かおかしいと思ったのであろう。

すぐに看護師さんが機械をチェックした。

「え!?300回...?もしかして痛い?これ効いてないかな?」

痛すぎて首を縦に動かすのも辛かったが、なんとか頷けた。

直ちに先生がナースコールで違う薬と追加で先生を呼んできた。

手術の時もそうであったが、何やら痛み止めや麻酔が効きにくい体質なのかもと先生に言われた。

何とか違う痛み止めを入れてもらい、少しだけ楽になった。

「ここまで痛み止めのボタン押してる人は初めてですよ。」
と先生に言われた。
いや、だが痛いのである。しょうがない。

そして、お腹の傷の確認もされたが、これまた恐怖であった。
とにかく痛い。
息を吸うだけでも痛かった。

帝王切開後、半日ほどで水を飲んでいい許可が出た。
だが、お腹が本当に痛く、ベッドを起こすことすら苦痛であった。

何が一番辛いかというと、トイレに行くのが一番の苦痛であった。

まずベッドから降りるまでにすごいステップを踏まなくてはいけない。
いつもはそんな動作などすぐにできる。
だが、術後はいつもすんなりできることが10倍20倍の時間がかかるのだ。
まず、ベッドの上で体制を変えてベッドサイドに足を揃えるだけですごい痛い。
そして立ち上がるのがまたとんでもなく痛い。
点滴の棒をアシストに使い立ち上がっても最初の一歩が中々踏み出せないのだ。
たかが一歩だが、この一歩は本当にとてつもなく勇気がいる。
一歩動けてもまだまだトイレにはたどり着かないのである。
そこからゆっくり一歩一歩痛みをどうにか耐えつつトイレについてもここからがまた大変なのである。

トイレについたらまず下着を下さなくてはいけないが、術後は産褥パッドやら何やらがついていて、通常時の下着より脱ぎにくい。
腕にも点滴がついており、片方づつゆっくりと降ろしていかなくてはいけない。
だが、トイレにはいるとベッドにいた時より尿意が強くなるのだ。

もう尿意vs痛みである。どちらをとるか。間に合うか、焦りに痛みに尿意に最悪だ。

下着が脱げてもトイレシートに座るのがまた痛い。
用を足した後は拭く動作も痛いし、また下着をあげるのも痛い。

兎にも角にも何をするにしてもただただ痛い。

だが、痛みに耐えて歩くのに必死であった。

「明日歩けたらNICUにいけますよ!」と看護師さんに言われたからだ。

まだ見ぬ我が子のために痛みに耐えてがんばって動いた。


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