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放生会全曲レビュー

ねえ、聞いて。
5月に椎名林檎のニューアルバムが出てたんだって。
知らなかったわ。
世間から置いて行かれている自覚はある。地上波テレビ見てない。とりあえず公式Twitterをフォローした(してなかったんかい)

という事でさっそくAmazonでポチりました!

特典のシールもついてた!やった!

残念ながらツアー先行受付は7月で終了していた。
あああ〜〜私はバカでーす!

気を取り直して。
椎名林檎7枚目のアルバム「放生会」
仏教ぽい猫ちゃん達のジャケットが可愛い。サンスクリット文字とかデザインに「三毒史」や「音楽」からの流れを感じる。フォントデザインが「勝訴ストリップ」と同じだ!
ずっとずっとそうなんですが、今回もタイトルはシンメトリーでした(いとをかしがラストの方が綺麗なんじゃ……と思うけど英語タイトルではこのままでそれとなくシンメトリーになっている)(曲構成的には絶対ほぼ水の泡がラストの方がいいもんね)

見てて気持ちいい揃いっぷり

前アルバム三毒史では偶数曲が男性アーティストとのコラボ曲でしたが、今回は奇数曲が女性アーティストとのコラボとのこと。

1.ちりぬるを

さっそくこれ好き〜!林檎の一曲目で微妙…って思ったことないな。やっぱりアルバムの一曲目はキラーソングじゃないとね。

木蓮、あの乳白色。
「あいたいです。手わたせずじまいのお礼、まだある。きゅうにいなくならないで。まっておいて行かないで。」と、云っても聞こえないね。
せめて途中で気付けたら、もう少し傍にいられた。かなりきつい。過度に欲していたのだろうよ。
まあまあ幸福だったって云って欲しい。
あゝいっそ、最期にもっと伝えたかったけどいま、依然として思っています。むしろ、前以上に大好きです。

中略しつつ好きな部分の歌詞を紹介していきます

もう会えない誰かへの後悔を、こうもストレートに書かれると、泣くしかない。林檎が小説みたいに句読点を使って書く歌詞はいつも全部刺さるんだよなあ〜
お洒落なサウンドに乗る、情感あふれる叫びのような歌詞のギャップが良い。

歌詞の"四方位、頻りにけたたましく蠢くから、五感/六感を閉じてしまいたくなるでしょう"て部分の数字が4.5.6と並んでるのも綺麗で林檎っぽい〜

2.私は猫の目

目のつく言葉ってこんなにあったんだ!と思う歌詞
なんかやたら古い歌謡曲っぽい 林檎のおふざけ曲だね

3.生者の行進

母親の歌だこれは〜!ものすごい生命力に溢れた力強い曲。
初めの英詞部分のPVの和訳が良かったので引用↓

産声とは完璧な野生である
命による意思表示そのもの
それは事実だがさあ月の子
この声は弱まっていくもの
お前は日々失い続けるのだ

あゝなにも知らずに寝入る子のいじらしさ
もういっそ大きくならず小さいままでいい

これみんな思うことだよね きっと

4.人間として

ディズニーで流れそうな壮大でキラキラした曲だな
ミュージカルソング書けるよ林檎

5.初KO勝ち

カッコ良い入り!こういう曲が好きだな
林檎とのっちが戦うようなPVが面白いよ!
のっちさん(さん?)にかなりしつこくラブコールしてたと言いながらPVでぶん殴るあたりクレイジーだな……

毛皮着た林檎、いかつすぎて勝てる気がしないんだけどwwww最強生物過ぎる。


6.公然の秘密

歌謡曲再び。林檎ソロ曲は歌謡曲になるのか?笑

7.浪漫と算盤

大好きな宇多田とのコラボ、美味しすぎる
ずっと前から単体でデータ購入して聴いてた大好きな曲。アレンジ違いもカッコよくて嬉しいな〜!なんてキレキレなギターなんだ
真ん中の曲ということでやっぱりこれだけ空気感がずば抜けている気がするよ……
PVも神々の遊び感がいいので見て。

僕には判っている貴方も同じ様に
ひとり生きている
宇宙を因数分解したとこで自由と孤独だけが待っているんでしょう
貴方を想うたび僕は赦されていく
貴方を知るほど僕は正されていく

8.呆然も自失

スペイン語だって!!?
和訳ください……

9.ドラ1独走

いい意味で泥臭い、歌詞が若く青い感じなのは当て書きしたからこそなんだろうな なんだか東京事変の空が鳴っているを思い出す、焦燥感に満ちた曲。
サビがいい この曲もすきです

もう一生帰れなくていい
休めなくていいあゝ全身を放り出したい
瞬いて空へと打ち上がって燃え尽きたい
本懐はこれきり

ラスト大サビの入り、
『恐いのは たったいま抱いている畏怖さえ失くすことでしょうか』
の一文が大好きだ〜
聞けば聞くほど良い曲、若い曲。

10.さらば純情

最後の一行がとても好き

手放せないんです汚させるもんか
本心はずっと大好きでした

11.余裕の凱旋

歌詞が面白い〜そして声が可愛すぎる

人間じゃないですやっぱ800歳の妖怪?
魑魅魍魎こんな姿どうしたって非公開です
もし見たら超呪うよ

12.いとをかし

「これどこかで聞いたことがある…」という娘に「ママも〜!」となる。正解はおじゃる丸のエンディング曲でした。
歌詞もメロディもたおやかでいとをかし。

きょうは偲んでいます誰そ彼秋
命はどうせ美しい
仕様がないとは決して考えないし不要不急と言う概念もない

13.ほぼ水の泡

これも歌詞が面白いのよ
飲みの場の姐さん方の会話そのまま歌詞にした?ってくらい笑
着いていきます!!ってなっちゃうよ なんという姉御肌な曲なんだ

お、オーダー違い?ぜんぜん結構です
だってどうせ秒でみんな呑んじゃうし
ほな唄いまひょか どない マイクあんねんて
あ、それで言うと唄健康に善いです
臓器の蠕動を促進して当然血の巡りとか
ホルモン……ね

PVもゴージャス!笑っちゃうくらい本気のおふざけ、見てるだけで元気が貰えるよ。

これはまさに女たちのアルバム!って感じでした
供養から始まり馬鹿騒ぎで終わるというか
曲のアレンジも華やかで、美しく、パワフルで、爽快で、底抜けに強く明るい。ゴージャスなメンバーとお祭り騒ぎ、まさに「放生会」

公式コメント
「とにかくあらゆるものを手放さないまま生きる人々を描き切りたかった。『ちりぬるを』で描かれたような、予告なく死ぬ身近な者に対して、『さらば純情』で描かれたような、若かりし日の美徳に対して、一切合切諦めない人間が密かに抱く信念を、見てみたくて。それらもすべてやっぱり"三毒"といえば"三毒"です。」

なるほどな〜〜!!
執着は解脱の真逆だもんね
散々諸行無常とか涅槃とか歌ってたけど、このアルバムに満ちる生命力の源は、欲深く何も諦めない、手放さない人間のものだったのかととても納得。
癒されるというよりは、元気が欲しい時に聴くべきな内容だもんね。

そう、生きるのにはパワーがいるのだ。

子供に何か買ってあげます!