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自己変容と自分らしさ

オープニング


こんにちは、昨日はごめんね...19歳...悩みが多くて...将来について沢山考えてるんだけど...19は大人と子供の境界線だから、まず大人になれるか心配です。想像つかないよ...。ほんと...。1年後や2年後の自分って何してるんだろう...。大人になるっていい事なのかな...。大人になるのが怖い。


 この学生さんはイラストレーターを目指していて、彼女が描いた独特なタッチで描かれたネコを見るたび、心が揺さぶられました。誰でも描けそう、でも描けない彼女の絵の魅力がとても大好きでした。


 当時、交流があった学生さんに「人生とは何か?を経験を通して考え続けるのが人生だ!」と偉そうな事を言いながら、実際、自分に問いかけてみると、知らないことはたくさんあるし、知らないことを知らないと言う勇気がないからこそ、学び続けていることもたくさんあります。

 1年後、2年後の自分が自分の思い通りの展開になっていたら、私はそこまでの道のりを手を抜かずに進む事ができるのか?1年後、2年後の自分がどのようになっていたら充実してると思えるのか?

 人に「大人になれよ!」という前に、自らを顧みて、「大人」の定義とは何かを真剣に考えようと思いました。



成人発達理論

 かつて、ヒトは大人になると成長が止まり、それ以上の成長は望めないと考えられていました。

 しかし、ハーバード大学のロバート・キーガン教授が提唱した理論では「ヒトは大人になっても成長を続けることができる」と主張しています。

 成人発達理論において、成長には「水平的成長」と「垂直的成長」の2つがあるとされています。それぞれを見ていきましょう。



人間の成長の二軸

水平的成長(量的成長)

知識の量の拡大やスキルの向上により、専門性を獲得していく成長です。

垂直的成長(質的成長)

多様な価値観を受け入れ、様々な角度で仕事ができる人間の器の成長です。

 この縦軸×横軸の面積がその人の成長を表します。次に心の成長とともに変化する知性の三段階を見ていきます。



知性の三段階

知性の発達段階

第一段階「環境順応型」(59%)

自分の信念や確固たる考えが確立されていないため依存的で、周囲に流されやすい指示待ちタイプやイエスマンになりやすい。

第二段階「自己主導型」(40%)

自分の頭で考え、周囲や環境を考慮しながら自律的に仕事をすることができる反面、時代の流れや変化に対応するための臨機応変さに限界がある。

第三段階「自己変容型」(1%)

自分の価値観や判断基準を確立しつつ、時代の流れや環境の変化を的確に捉え、柔軟に対応できる。


 つまり、『他者が変化しないことを嘆きながら、自分自身を変えようとしない』人が多数を占めるということです。

 言い換えると、自分を変えることができる人は、人を変えることができないことを理解しており、自分が変われば、人も変わることを理解している人でもあります。そして、最も人を変える力がある人は、言葉や態度ではなく存在で変えることができます。

 次にキーガン教授は、人間の発達と成長の段階を5つに分類しています。それぞれ確認していきましょう。



成人発達理論:五段階

成人発達理論五段階

第1段階:具体的思考段階

言語を習得した子どもや未成年者を指し、言語を理解することはできるが、言語が形作るものを理解することが難しい段階。

第2段階:道具主義的段階(自分軸)

他者を自分の利益や欲望を満たすための道具として扱う自己中心的な段階で自他の思考が分断され、自分にとって関心のあること以外が考えられない。

第3段階:他者依存段階(他人軸)

自分なりの判断基準を持たず、他人や所属組織の判断基準に従って行動する段階。意思決定のための価値観が構築されていないため、自分の意見を表明することが難しい。

第4段階:自己主導段階(自分軸)

自分自身の価値観が確立し、自分の意見が言える段階。行動力も高く、リスクを恐れない。

第5段階:自己変容・相互発達段階(両軸)

多様な価値観を受け入れながら、他者と関わり、共に成長する段階。自分と他者を区別することなく、他者の成長と自分の成長の両方を支え、リーダーとしての資質を身につけている状態。他者の考えや価値観を理解するために、積極的に他者と関わろうとする。


ステージ5(自己実現)→ゴール(自己超越)
ステージ3(自己満足)→ステージ4(自己犠牲)
ステージ1(自己満足)→ステージ2(自己犠牲)

1・3の段階(ステージ)は自分軸で2・4のステージは他人軸傾向です。ステージ5は自分軸でもあり、他人軸でもあります。

 ふたつの段階を行き来するのか、自分本位に上がろうとするのか、他者やシステムに委ねて待ち焦がれるか、自分と他者との関係を構築しながら、上昇螺旋を描くのかで思考体系にも違いが出てきます。

 厄介なのは、それぞれの段階に障壁となる「心理的免疫反応・拒否反応」が表出します。



「心理的免疫反応・拒否反応」

変化への抵抗は、変化そのものへの反対でも単なる惰性の結果でもありません。実際に私たちは心から変化に賛成しながらも、心の中に潜む「阻害行動・裏の目標・固定観念」に無意識のうちにエネルギーを費やしています。

 これは変化(改善目標)に対する抵抗のように見えますが、むしろ変化に対して起こる一般的な心理的な免疫反応や拒絶反応です。その例を挙げていきます。

改善目標の例

禁酒する

阻害行動の例

飲み会に誘われる

裏の目標の例

付き合いが悪いと思われたくない

固定観念

お酒で親睦を深めることもある

 

また、嫉妬やコンプレックス、自己肯定の低さなどが心の中に潜む「制約」になっていることもあると思います。最後に過去の経験をもとに自己内観して気付いたことを要約します。



エンディング

  • 個人的な行動が与える社会的な影響を考慮できる人が、社会に良い影響を及ぼす

  • 人の行動を見て自らを顧みることに終始する

  • 人を言葉で変えるのではなく自分の態度や行動で変えていくようにする

  • しない・できないと思っている時は、したくない・やりたくないという自分の思いが先行している可能性が高いので、注意深く自己洞察する

  • ネガティブな感情や否定的な思考に自分の段階を知るきっかけがある

  • 取り組んでいる物事によって上の段階に上がることもあれば下がることもある事を受け入れる

  • 期待という未来思考を不安という現在思考に変換しない

  • 自分がされて嫌なことは人にしない


幸福は香水のようなものである。人に振りかけると自分にもかならずかかる。絶えずあなたを何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けること。それがもっとも素晴らしい偉業である。

ラルフ・ワルド・エマーソン


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