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絶望からの贈り物


オープニング


 外部刺激に対する私たちの情動は、かなりの部分がパターン化されたものです。SNSに限った場合でも、同じような書き込みを見て、同じようなリアクションを繰り返していていることが多いです。

 特に同調圧力に弱く、狂信的献身になりやすい人は負のループにハマりやすいと思います。この悪循環から抜け出すためには、同じシチュエーションで自分の感情が繰り返されていることを自分に認めさせ、前提(パターン)を壊すことが求められます。

 SNSでは、炎上や論争も何度となく繰り返されている現象ですが、何よりも反復しているのは「自分自身の感情である」ということに気づき、それを乗り越えられるよう、自分に目を向けます。

 そうすることができれば、私たちはSNSをチェックしているときも成長することができます。私の経験則の話ですが、感情を選ぶことはできず、感情を理解した上での思考や行動のみ選択することができます。関心のある方は「感情」についてまとめた↓の記事をご参照ください。



脳のなかの幽霊

 自分自身や周囲の世界について、誤った信念に頑なにしがみつくことが、なぜ生き残りの可能性を高めるのだろうか?謎を解く鍵は2つの大脳半球に役割分担があることと、私たちの生活に一貫性と連続性の観念を作り出す必要があることだ。

 左脳は言語音を生成しているだけではなく、話し言葉を統語的な構成にすることや意味の解釈の多くを専門的にする。

 右脳は話し言葉は支配していないが、微妙な言葉の側面、つまり感情を歓喜する状況に対して適切な情動で反応するといった視覚の全体観的な側面に関与している。

 途方もない量の感覚入力が脳に流れこんでいるそれらの情報は、一つ残らず貯蔵された記憶に基づいている。自分自身や周囲の世界についての一貫した全体像のなかに組み込まれなくてはいけない。

 脳は一貫性のある行動を起こすために過剰な細部を整理して、内的な一貫性をもつ安定した信念体系や手元にある事実を意味あるものにするストーリーをつくる何らかの方法を持たなくてはならない。

 筋立てに全くあわないものが入ってきたとしよう。どうすればいいのか?一つの選択肢は、台本をすべて破棄して始めからやり直すことだ。

 ストーリーを全体的にあらためて世界や自分自身について新しいモデルを創りだす問題は、この方法をとると脅威となる。

 情報の小さな一片が入ってくるたびに行動が混乱して不安定になることだ。これでは気が変になってしまう。

 左脳が実際にとっている方法は、異常をまったく無視するか、もしくはそれをねじ曲げて、すでにある枠組みのなかに無理に押し込んで、安定を保つというやり方だ。

 日常の防衛機制では不適応などではなく、手元にある素材を使って創り出せるストーリーの「組み合わせの爆発」によって、脳が方向性のない優柔不断に追い込まれるのを防止しているのだ。

 その報いは自分自身に「嘘をつく」ことだが、システム全体の一貫性と安定性を得るためにはわずかな代償であるすべては、行動に安定性をもたせて動揺を防止するためだ。

 左脳の仕事はひとつの信念体系、あるいはモデルをつくることと新しい体験をその信念体系にはめこむことだ。

 これに対して右脳の戦略は、現状に疑問を投げかけ、全体的な不整合性を探す異常な情報がある閾値に達すると、右脳はモデル全体の徹底的な改変を強行して「一からやり直す時がきた」と判断する。つまり、右脳は矛盾を検出する機能を備えている。

V・S・ラマチャンドラン「脳のなかの幽霊」より


重要な幼少期の思考パターン

 子供の頃からの思考パターンや習慣は、無知で無垢なときから行われるので、それが自分のものではないとしても、自我が芽生えた時にはそれが自我だと勘違いもするし、また自己矛盾にも陥りやすくなり、判断に迷いが出てしまいます。

 そうしているうちに、自分にウソをつくことを覚えて、なんとか孤立しないように自分を守ろうと試みますが、守ろうとしているのは自分自身ではないことに気がついてしまうと、生きることに本気になるか、場合によっては病んでしまいます。

 

 また、共働きや離婚などによって、親は子どもと接している時間が少なくなると、不安と期待の矛先を子供に向けてしまうため、子どもはさらに親の不安や期待に応えようと「良い子でいる」ことを演じようとします。

 親子関係は、その後の人間関係の構築方法に影響するので、注意が必要だと強く思います。認知の歪みや愛執を愛と錯覚するなど、特に日本語は主語を省いても会話が成立することが多いので、コミュニケーションに矛盾が多いなかで生活を送ると、メッセージの意味を正確に判断する事が難しくなってしまいます。これは、受け取り方だけではなく受け取った後の感情にも影響していました。

「ダブルバインド(二重拘束)」より

 そうして時間を浪費している間に歳を重ね、物事に対する関心が薄れ、老いや病気の心配をする人生になる…そこに流されないよう、自分に言い聞かせていることをまとめました。



健やかに生きる秘訣

目標をもつ
目標が大きすぎて挫けそうになったときは、小さなことから始めて達成するたび自分をフラットに評価して自信をつけていきましょう。そうして成功体験を積み重ね、その思考に基づいた習慣を大切にすることができます。

自制心をもつ
制限するのではなく統御します。抑圧するとかえって渇望につながります。欲しいものがあるときは、それが本当に必要なものかをよく考え、考えたくないときや悩ましいときは魔が差している証拠です。つまり、事前に自分の欲を把握しておく事が重要です。

逆境から学ぶ
今までの思考パターンから抜け出すきっかけが潜んでいます。逆境(ピンチ)だと思っていることは今まで経験していないことが多いので、経験を積むチャンスです。わからないことを恥じる必要はありません。大変だと思う時は「変化の最中」であることを思い出してください。

人間環境から受ける影響を感じ取る
これが一番の勉強になります。人の数だけ情報量が増えるので、他者の分まで思考を巡らせるのは大変な労力ですが、一人の思考よりも多くの思考が重なると、それが大きな力になります。ポジティブな影響を与えましょう。

時間を有効活用する
インプットした情報を時間をかけてアウトプットし、知識を知恵として蓄積していけば、それが習慣化され、思考にかかる負担や時間が大幅に軽減されるはずです。

調和
明確な目標を持って行動することで、自分を取り巻く環境が自分の成長のために準備されていると感じ始めたときが上級者(心的決定論)です。

警戒
実行する前に計画を見直す余裕を作りましょう。計画なしに「自分を試す」のは最も危険な行為です。虚栄心や驕りに注意しましょう


なんと言われても「絶望のエネルギー」というものはない。その言葉の意味は、実際には窮地に追いつめられた希望の絶頂なのである。

意識のあるエネルギーはすべて、愛のように希望に基づいているのである。

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン



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