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ヤヌスの鏡 番外編(口座管理法とマイナンバー・ロードマップ)

オープニング

 残念ながら、日本がデジタル後進国であることは事実です。今後の日本の発展のためにDX化やデジタル化は必要だと考えています。

 しかし、デジタル化がもたらす利便性よりも権力の中央集権化が進み、半ば強制的に監視・管理社会に進展する可能性もあります。

 私がマイナンバーカードのデジタルID化や政府による情報の一元化に反対するのは「マイナンバーの利活用拡大に向けたロードマップ」の12ページ目の「国民の理解」を無視したマイナンバー政策の強行やセキュリティの脆弱性に対する不信感が根底にあります。

 不満を言っても状況は変わりません。私たちがこの現状を理解し、行動に移すことによってのみ、不安が安心に変わります。

 『ヤヌスの鏡』シリーズは日本の各分野のデジタル化を取り上げた連載記事です。気になる方はぜひそちらもご覧ください。

デジタル通貨

デジタルID+インボイス

インボイスのデジタル化

物品のID化+ワクチンID+バッテリーのID化


 3月2日にポストした「4月1日『口座管理法』施行」が大反響を呼びましたが、メディアによる報道や政府広報がないため、多くの方がこの法律や制度の詳細を知りません。

 この制度が国民にとって有益で役に立つものであれば、政府やマスコミが広報・放送するはずですが、それもなく、国会で審議されることもなかったので、行政書類を中心に調査することにしました。

 ベースは、2018年施行の「預貯金口座付番制度」です。これが4月1日に制度改正され、通称「口座管理法」となります。

群馬銀行公式ホームページ

 群馬銀行は「公式サイト」で、口座管理法施行後の手続きについて案内を出していました。不安な方や気になる方は、取引のある銀行のホームページをご確認ください。

 不明な点も多いため、たくさんの質問をいただきますが、デジタル庁が運営する「e-Gov」より正式に「口座管理法施行規則」がウェブ上に公開されています。「4月1日施行」で間違いないです。

 私たちの生活に大きく関わる制度なので、最初にマイナンバー制度、マイナンバーカード、マイナポータルからおさらいします。

注)当記事は「マイナンバーカードの返納」や「公金受取口座の登録削除」を助長するものではありません。したがって「マイナンバーカードの返納の仕方」や「公金受取口座の削除・変更方法」などの記載は一切ありません。予めご了承ください。



マイナンバー制度

マイナンバー制度とは

 マイナンバーは、住民票を持つ日本国内の全住民に付番される「12桁の番号」です。利用範囲は「社会保障制度、税制、災害対策」の3分野に限られていましたが、改正マイナンバー法により利用範囲が拡大し、引っ越しの際の自動車変更登録や国家資格の手続きなどでも使えるようになります。



マイナンバーカード

 住民の方からの申請により交付される「氏名、住所、生年月日、性別」などが記載された、顔写真付きのプラスチック製のカードです。

 カードは顔写真付きの本人確認書類として利用できます。また、マイナンバーと同様、マイナンバーカードの利活用も法改正が必要です。

 マイナンバーカードは、窓口だけでなく、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書などを発行する際に利用でき、政府は利用用途の拡大を計画しています。

 マイナンバーカードを使った「証明書発行サービス」でトラブルが相次いでいたことを覚えている方も多いかと思います。

 そして、健康保険証の廃止日が2024年12月2日に決まり、実質「マイナ保険証」の義務化が始まるなど、今年はマイナンバーカードのデジタルID化が加速する1年となりそうです。



マイナポータル

 子育てや介護など、行政手続のオンライン窓口で、オンライン申請のほか、行政機関等が保有するご自身の情報の確認や行政機関等からのお知らせ通知の受信などのサービスを提供する政府運営のポータルサイトです。

 マイナポータルは、提供元である「デジタル庁」が、マイナポータルのユーザーに対して注意事項や制限事項や約束をまとめた「利用規約」同意のもとで利用するサービスなので、今後、マイナポータルの利用が重要な『選択』になります。

 以前、マイナポータルの利用規約に「利用者が損害を被った場合に『一切の責任を負わない』と定めていた免責事項」を問題視したツイートが大拡散し、「デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き」と修正された経緯があります。

 そういった過去もあるので、マイナポータルの使用は慎重にならないといけない背景があります。

 ここから、メインテーマのマイナンバーと銀行口座を紐付ける制度の詳細に触れていきますので、注意深くご確認ください。



預貯金口座付番制度

 2018年1月から始まった「預貯金口座付番制度」とは、預貯金口座にマイナンバーを付番する(紐づける)ために、金融機関へマイナンバーを届出する制度で、金融機関には預金口座とマイナンバーを紐付けして管理する義務があり、預金者にマイナンバーの紐付けを希望するかどうかを確認することが義務付けられています。

 令和6年3月末までは↑の資料の「現在」という方で、手続きは「金融機関の窓口のみ」の対応です。

 また、マイナンバーと口座を紐付けたい場合は、各金融機関に赴く必要があります。



公金受取口座登録制度

 2022年1月に公金受取口座登録制度が2022年1月に開始しました。受け取りの対象は「年金、税金の還付、児童手当」などの公的給付金です。

 一人につきひとつ、公的受給口座を登録すると、給付金の申請手続きに口座情報の記載や通帳の写しが不要になります。

 公金受取口座の登録はマイナポイントの付与対象だったので、登録した方も多いのではないかと思います。

 ↑のとおり、改正マイナンバー法によって、まずは「年金受給者を新制度の対象」とし、年金の受給口座の情報を日本年金機構から政府に提供することを事前に通知し、受け取った人物から「不同意」の連絡が1カ月程度なければ、「同意」したと扱う特例制度も新設されました。

 この制度、法律は成立しているものの、日本年金機構のサイトから「不同意申出書」に関する情報が削除されているため、送付を見送っている可能性があります。詳細が分かり次第、追記します。

デジタル庁作成「公金受取口座登録制度及び行政機関等経由登録の特例制度について」

 この範囲は順次、拡大しているので、年金受給者だけでなく「令和4年分の所得税等の確定申告書」から「公金受け取り口座登録の同意」と「公金受取口座」の利用にチェック欄が設けられています。

 こういった形で4月1日から施行される「口座管理法」もチェック欄が新設されるのではないかと思います。

 ここで、公金受取口座の登録促進の資料をよ〜く見ると「金融機関経由の登録」「※2023年度下期以降に順次開始予定」と小さく記載されています。これが今回の注目すべきもう一つの大きなポイントです。

 これがどう意味をなすのかわかりませんが、「新設する登録方法」金融機関を追加する可能性もあるかと思います。

 不安な方や気になる方は、ポストの動画や↓のデジタル庁が作成したPDFから詳細をご確認ください。



口座管理法

 いよいよ「本命」の「口座管理法」です。開始当初は「預貯金口座付番制度」でしたが「預貯金口座管理制度」になるので、通称が「口座管理法」になります。

 ↑の資料のとおり、銀行窓口での口座開設などの手続きの際、預貯金者の「意思」に基づき、「預金保険機構」を通して「同名義の他の金融機関の口座」一括で紐づけることができるようになります。

 また「マイナポータルによる登録」も可能になるため、どのような手続き方法になるのか政府から告知もないので、紐づけたくない方は特に注意が必要です。

 詳細については↓のデジタル庁と内閣府作成のPDFでご確認ください。どちらも内容はほぼ一緒です。

デジタル庁作成「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律の概要」

内閣府作成「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案の概要」

 ここからは、政府が国民にバレないように進めるマイナンバー制度やマイナンバーカードを利活用した未来計画を追っていきたいと思います。


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