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カリブ海に住む猫は、note港に寄港する


――昔、私を見込んで下さった先生が家に来て、私の母に言いました。

「お母さん、琥珀君に書く事をやめさせないで下さい」


やめたことはなかったけれど、私の「書くこと」は進学や就職や仕事に伴い、いつしか途切れ途切れなものになった。
書いたり書かなかったりが当たり前になり、数年間書かないブランク期間すらあった。
本気になっても一瞬で、それはまるでマッチを一本シュッと擦っただけの拙い灯り。
あの時先生の言った「書く事をやめるな」は、バケツやホースで水をぶっ掛けられても消えないような火柱を指していたのだと思う。
そして、先生が私の母に「この子に書く事をやめさせるな」と言ったあの言葉は正解で、今になって私は自分の創作が「途切れ途切れ」だったことを自分で激しく後悔している。
自分の命、何かを成すことが出来る時間が有限であると思い知って初めて、先生の言葉の意味が解ってしまったのだ。
自分の中で何度も何度も反芻し、噛み砕き、言葉が咀嚼物のようにドロドロになってしまうほどに。



こにちはぬん。カリブ海に住む猫、ベビだす。
新刊『恋 時々 怖』が発売され一か月を過ぎ、やっとこれからの活動方針について考え取り組めるようになりました。

新刊を作っている間は、本当に辛くしんどかったです。
それは制作作業だけを指しているのではなく、新刊制作に臨む前からずっと考えていたことが新刊制作と同時に頭の中をちらついていたから、という点が大きいでしょう。

一年半ほど前から自分の活動方針について、日常の仕事やnote、創作などと並行に考えておりました。
創作はもちろん今後も続けられる限り続ける所存ですが、その投稿先(発表先)をnoteだけに限ることが正解なのだろうか? という疑問です。


私がnoteへ投稿していた創作作品のほとんどはショートショート作品ですが、「noteは読み切り型の作品が向いているな」と早期に感じたため、意図的にショートショート作品ばかりを投稿してきました。
note以前の私は元々長編小説を書いていたので、noteを始めていなかったらショートショート作品を書く機会や経験も得られなかったと思います。
それは貴重なものに間違いありません。

しかし心の中で「他に書きたい作品がある! 他に書くべき作品がある! 誰に強いられたわけでもないのに、なぜそっちに舵を切れないんだろう」という葛藤がずっと長い間、ありました。
その思いが少しずつ積み上げられ、気付くと高々と積み上がったものになりました。


いつまで書ける? 今私は何歳だ?
一つの作品に、何年の時間を捧げられる?
一生の間に、いくつの作品を書ける?

この問いかけに対し真剣に考えた結果、「note投稿をメインとする」ことをやめる! が答えとして見えました。
noteに投稿することが主軸になってしまうと、「note用・note向けの作品や記事」を「そろそろ何か投稿しなきゃ」という「自分に与えた勝手な義務感」によって書いてしまうんです。
それは本来の自分が書きたいものではない。


寝かせておいた作品で「これを書きあげたい!」という作品が、手元に複数あります。
しばらく寝かせて、自分が書いた文章も正確に思い出せない頃合いで、頭から読み直す。自分で書いたのだから内容や雰囲気は覚えていますが、それを表現している正確な文章を忘れてしまった頃合いです。
その新鮮さたるや!
自作品を「初めてページをさらう読者の気分」で読むためによくこの手法を使っていますが、冒頭を読み返すだけでもワクワクしますし、ここから何が起こるんだろうと我ながら「この先を読みたい!」って思えるんです。
そして気付くと、書きかけの作品を二時間近く没頭して読んでいる。
そんな執筆を、自分のメインとしていきたい。
それが今の「本望」です。



今後は本来取り組みたい中編以上長編の執筆を主軸とし、それは他サイトへ投稿するかもしれませんし、または未発表のまま黙々と書いていく場合もあると思います。

noteをメインとしていた活動を改め、noteはもっと気負いなく、ふらっと立ち寄れるような「港」として大切にしていこうと思います。


カリブ海に住む猫は、またnote港に寄港します。
その時には、カリブ海で獲れた魚を持ってくるかもしれません。
たまにふらっと息抜きに、何かの作品なり記事なりをぽんと置いていくかもしれません。
皆様のお宅へ「お久しぶり、カリブの猫です」と訪問させていただくこともあるでしょう。
琥珀ベイビーの行方とその足跡を示したGPSは、XまたはInstagram等で追えますので、琥珀ベイビーのホームのXアイコン・Instagramアイコンからストーキングして下さい⭐

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