寂しい夜は
彼の家に泊まりに来ているけれど、
夜勤でひとりで過ごす夜がある。
実家で待っているよりもとても静かで
ほんとは寂しい。
出勤前の彼には毎回駄々をこねる。
「行かないで、本当に行っちゃうの?」
ムダだし、頭では分かっているけれど、
どうしても我慢できなくて言ってしまう。
テレビを点けて音を流す。
そのうちに寂しさが限界になって
彼の香りに包まれたくて布団にもぐり込む。
確かに彼の香りはするのに、
そこに彼は居ない。
休憩や余裕のある時は連絡してくれる。
それでも足りない。
抱きしめてほしい。
寂しい夜の過ごし方をわたしはまだ見つけられない。