見出し画像

職場での搾乳問題について考えています

今私たちはNewHereプロジェクトに参加していて(そのプロジェクト自体は未来のモビリティサービスを考える、というものなのだが)、私たちのチームは育児に関する問題に取り組んでいる。

育児って困りごとが本当に多い上に、個別固有の問題があって一概には解決できない、さらには細分化された支援やサービスも山のようにある、という状況のなか、さてどこに焦点をあてようか、と考えて今、職場での搾乳問題についてのリサーチをしている。(そこに至った過程はまた書きたいと思います)

今日は、保育園側の話を聞いてみようということで、今私の行っている保育園は母乳受け入れできるのかどうかということを聞いてみた。
ちなみに、うちの保育園の看護師さんはもともと助産師をやっていた人で、
自分が子育てをしながら働くのに、「保育園」を選んだそうだ。とてもバランス感覚のよい、それでいて熱意のある人なので、私も何かと相談に乗ってもらっている。BABYBOOTHでチーフ助産師をしている小山さんにきてもらって保育園で「命のお話会」をやらせてもらったりもした。

まず最初に、この園で搾乳した母乳を持ってきている人が何人いるのかきいてみたところ「0人」という答えが帰ってきた。
助産師のはるこさんは入園見学にきた人たちや新しく入ってきた乳児のママには冷凍母乳受け入れしているということや、搾乳の指導、いつどこでどんな風にやるのがよいか、ということも合わせて教えているということだったが、産後復帰したママにとって、ただでさえ復帰後忙しい中搾乳まで、となるともうパンクしてしまって無理、ということなのだそうだ。

そもそも、会社での搾乳場所がトイレしかないことが多く、
・トイレで清潔を保ちながら搾乳することが難しい(冬場などはノロウィルスやインフルエンザが流行するとトイレは使えない)

・搾乳した母乳を会社の冷凍庫できちんと凍らせないといけない(途中で溶けてしまうと衛生上NGな上に、冷凍庫がないこともある。開け閉めが頻回だときちんと凍らない)

・搾乳が必要という職場の理解が全くなく、搾乳に割く時間も昼休みご飯を食べたあとぐらいしかない

ということだった。さらには復帰後しっかりとご飯を食べなくなって(忙しいから)母乳量が減ってしまうママも多いのだとか。

家に帰ってからだと赤ちゃんが飲むから明日に備えて搾乳と言ってもそんなに量が取れない。そんなこんなで母乳でやりたいと最初は思いつつも、結局諦めてしまう人が多いということだった。(そもそも復帰に備えて断乳をする人もかなりいるらしい)

また、保育園側の悩みとして、冷凍母乳を預かった時に
・取り間違えなどが起こるリスク
・解凍後保温してタイミングを合わせて赤ちゃんにあげることが難しい(時間が経つと雑菌が繁殖してしまうため)
・作り直しができない
・母乳は血液、という教育がなされているため衛生管理が大変
ということで、母乳の受け入れ側も結構大変ということだった。
しかも、赤ちゃんの場合は1人ずつ抱っこして哺乳瓶でご飯をあげるので、パウチに入った母乳を哺乳瓶に移し替える手間や哺乳瓶に入ってしまった後のとりまちがえ、時間管理のむずかしさなどで二の足をふむ保育士も多いそう。
母乳の受け入れをしているかどうかも保育園によってまちまちであることも言っていた。

はるこさんは、そもそも授乳が必要な赤ちゃんがいる間は働かないという選択もできるような社会にしたい、ということを言っていて、もちろん、バリバリ働きたい、という人がいてもそれは本人の選択で構わない。ただ、産後のママの体のことを理解してない人が多すぎる、とも言っていた。

これだけ女性活用が叫ばれる世の中で、制度が進まず昔のままの考えや社会のまま、産後の女性を働かせるのは無理がある。そもそも、母親がやることが多すぎるし、母親自身も「自分がやらなきゃいけない」と思い込んでる人が多すぎる、ということだった。
本来ならば、育児も家事も夫婦で平等にするべきだし、その中で絶対に変われない授乳はママの役目、ということなんじゃないだろうか。それに搾乳していれば、パパだって母乳をあげることができる。(授乳時間が母子にとってとても大切な時間だ、という大前提があってです)

女性に性差のない仕事まで押し付けている世の中の呪縛から、まっさきに本人が解かれなければいけないとおもう。ほんとに、授乳中の赤ちゃんがいて、働きに出て、さらには家事もしなきゃいけないって、マジで無理ゲーですよ。

職場の搾乳問題にとりくみたいと思ったのは、ただ単純に「搾乳」ができればよいということではなく、社会そのものがかわってくれたらいいのにという思いを込めている。
このプロジェクト、まだまだ続きます。
いろんな意見、たくさん聞きたいです。

サポートしていただいたお金は、今と未来の子供達のために使っていきたいと思います。