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夕日、影

連なる山々と浮かぶ雲の間に一つの沈み行く夕日が見えた。
その光景を仮に切り取ったとするのであれば、どれほどのものがこの枠に収まることができたのだろうか。
仮に、溢れ出した潮騒の音とその匂いと揺れる水面と飛ぶカラスの飛行とその静けさがもたらす幻想を、この手のひらに乗せて、切り取られたその画に、叩きつけるというようなことをしたとしても、そこに生じるのは、手が感じるであっただろう痛みと、終わり無き世界への嘆きぐらいだっただろうか。

赤く燃ゆるこの夕日とその結果生じた影の間には何がある?

こうして、忘れたくなかった記憶は、形変えゆき、静かに今へと収斂していくのだろう。

見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!