図書館のいいところ

図書館によく足を運ぶようになりました。

昔は本屋で働いていたこともあり、よく買って読んでいたが、いつの間にやら習慣がなくなり気付けば読まなくなった。おうち時間を楽しむにも限界があり、気付くと1日中起きては寝てを繰り返していて、大量の時間を無駄にしているようで焦り始めたので、少しでも時間を有効に使いたいと思い通うことに。実りのない時間を過ごすか、そうでないかは自分の行動力にかかっている。

2週間に1度、8冊ほどの本を借りては返す。
出不精なわたしも、外に出ない生活が続き、あらゆる所にぶよぶよの肉塊が乗り始めているせいか、少しばかり運動をという焦りもあって、今のところは楽しく続けられている。


話は逸れるが、わたしは少々潔癖症である。

音楽がジャンル分けされるように、潔癖にもジャンルがあるように思う。わたしは埃に対してあまり抵抗がないし、見て見ぬふりも出来る。
埃が汚いという理屈が未だによく分からなくて、「埃 汚い 何故」とかで検索してしまうほど。

他人の体液や他人が残す痕跡が苦手だ。

蓋をしないクシャミで襲いかかる飛沫。忘年会に直箸でつつく鍋とかいう恐ろしい食べ物。アイスのような歯型がついた食べかけに対する「ひとくちいる?」の圧力。わたしが食べているものに対する「ひとくちちょうだい?」なんてもはや体液と共に体当たりをぶちかましてくる強盗である。書いてるだけで辛かったあのシーンの数々が鮮明に思い出される。残酷な映画を観せられている気分だ。

人が家に来る際は、紙コップと紙皿で対応している。母は掃除が出来ないが、思えば専用のお箸やコップを勝手に使われることを異様に嫌がっていた。自分と他人の境界線が濃く、他人を受け入れてないことの表れでもあるのかもしれない。ただこれに関してはもう少し複雑で、所有物が使われるのを嫌がる気持ちと、所有物を使わせるのが申し訳ない気持ちとが混合している。

そういった背景があるので、若い頃は「図書館?誰が触ったか分からん本部屋に持って帰ってくるとかありえへんヮラ」とか何とか思っていたが、実際行ってみると楽園か?という程に楽しいじゃないですか。お持ち帰りしたくなるじゃないですか。
コレクションする置き場もなく、ハズレを引くお金の余裕もない、わたしのような貧乏人に手段を選ぶ自由はないのだ。
という訳で、本を借りるに至りました。
さすがにベッドの上で読んだりはしないけど。


本題へ。
図書館のいいところを4つ。


①無料である
本には当たり外れがある。
どんな体験でも一旦咀嚼を試みる人もいるだろうけど、わたしにとって興味ないものに割く時間が結構苦痛で。映画についても昔はよく観ていたが、そういう体質に気付いてからはあまり観なくなった。蓋を開けないとすきか嫌いかが判断できないので。あと単純に映像は目が疲れる。

全て無料だから、面白くなかったら途中で読むのをやめればいい。身銭を切るわけじゃないし、置き場に困ることもない。そう思うと興味の熱量が僅かであれ最初の1歩を踏み出しやすい。
最初の1歩を踏み出しやすいということは、のちに自分がまだ出会っていない大きな情熱に繋がっていく可能性もある。
行くたびにいいんですか?棚とか拭いて帰りましょか??という気持ちでいっぱいになる。が、実際出来ないので、せめてもの恩返しとして貸し出し窓口のお姉さんに「有難うございます」と感謝の気持ちを伝えている。


②期限がある
買ってしばらく読まない事も多い。
レジを通してお金を払うところで情熱が一旦途切れてしまうというか。あさって返しに行かなあかんのかーと思ったら、それまでに何としてでも読むぞと気合いが入る。TSUTAYAでDVDを借りるあの感覚にちょっと似てる。

TSUTAYAではお金を払っているので、観ずに返すことになったとしても、最悪お金を無駄にする馬鹿たれな自分を罵れば良いだけの話だが、図書館に関しては違う。無料なのだ。
無料で貸し出してもらった以上、理由もなく一切読まずに返すには何となく罪悪感を感じる。
夏休みの宿題であれ何であれ、期限が近付かないとやる気が出ない人間にとっては有難い部分。


③専門書が無数にある
自分が全く知らない情報がそこら中に溢れている、これは本当に興奮する。
楽しいを通り越して興奮する。歩きながら「わたし今かなり興奮してるな」と自覚するほど。
鼻息がうるさい可能性すらある。
言語感覚のない外国を歩いてる感覚に近い。

虫の生体とか、毒キノコの図鑑とか、自分でわざわざ調べてまで知ろうとは思わないけど、目に付いたら手に取って読むことが出来る。
自分が何に興味があるかを知ることも出来てこれがまた結構たのしい。


④刺激を受ける
自分の視野の狭さを知るには、外に出る、人と話すなど様々な手段があるが、現状それすら難しい。大学生くらいの若者たちが黙々と本を読み勉強をしているのを横目に、ああこの人たちは一心不乱に頑張っているな、と思うことで、ただそれだけで、何となくそわそわと落ち着かない、負けてられないなという気持ちになり、結果的にエネルギーを分けてもらっているのである。
家にこもっているだけでは感じられないこのそわそわした気持ちは大切にしたい。


本を借りると、窓口で借りた本の一覧と返却期限が書かれたレシートをくれるので、しばらく保管してみようと思う。料金としてこれだけ得したのか~!と思うのも楽しいし、体験としてこれだけ読んだのか~!とかこの本はつまらなかったな~!とか振り返れるように。


帰りに自転車のチェーンが外れてしまったけど、全然プラマイゼロどころかまだちょっとプラスでしたね。気分が良くてプリンを買って帰りました。もはや飲み会帰りに上機嫌で寿司を手土産に選ぶサラリーマンの構図でした。
図書館、楽しいですよ。


読んで頂き有難うございました。

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