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義父母と正月4連戦( #別居嫁介護日誌・お正月スペシャル )

あけましておめでとうございます。
2018年9月14日にスタートした「別居嫁介護日誌」も、コツコツ回を重ね、記事本数60本を突破。おかげさまで昨年9月には、介護エッセイ『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)として出版の運びとなりました。

書籍では本格的な介護が始まる少し前、あれ? と思う親の言動に戸惑いながらも見て見ぬフリをしていた時期から、いちばん最初の介護体制が整うまでをご紹介しました。2016年4月から2017年10月頃にかけての約1年半にかけてのできごとです。

《当時、要介護1だった義父母は、要介護3になりました》

本を出版した当時、あとがきにこう書きましたが、実はその後、義父は「要介護2」になりました(義母は要介護3のままです)。いよいよ認知症が進んだか、体力の限界が訪れたか……と思う瞬間もあれば、ギョッとするほどの回復と残存能力を見せつけられる瞬間もある。番狂わせの連続に笑って泣く日々は現在も続行中です。

義父母と過ごしたお正月は今年で15回目を迎えました。たぶん。今回の別居嫁介護日誌では、お正月特番として、とりわけ怒涛でてんやわんやだった直近4回のお正月を振り返ってみたいと思います。

★2017年 「名前も知らない貴女へ」の手紙&おせちの心遣い

どうも様子がおかしい義母が気になって、夫の実家に寄ったら部屋の壁に「名前のも知らない貴方へ」の手紙がビッシリ。台所には、一人前のおせちが用意してありました。どちらも、義母がしきりに訴えていた「2階に勝手に住み着いた小太りの中年女性(女ドロボウ)」に向けたものです。

人生であんなにビビったお正月はなかった気がします。それにしても、結構緊迫した事態だったはずなのに、じっと黙って静観しようとしていた義父とオット氏。なんという似たもの親子か。でも、ヒステリックなタイプじゃないことにホント助けられました。もし彼らがギャンギャン騒ぎたてるタイプだったら義母の症状はもっと早々につらいことになっていたかも。何より、わたし自身が耐えられなくて、一目散に逃げ出すに100万点。

★2018年 義父の鶴のひと声で「本格中華」で全員集合!

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いちばん最初の介護体制がようやく整い、ホッと一息つけた2018年のお正月。「和洋中どれがいいですか?」と尋ねると、義父が「中華だな!」と即答。義父の現役時代からのお気に入りの一つだったらしい本格中華のお店でコース料理をいただきました。ちなみに、この年の義父の新年のあいさつは「去年は何かと人の世話になりましたが、今年は自分たちのペースを取り戻していこうと思います」。堂々の独立宣言にハラハラしながらの幕開けとなりました。

★2019年 義母のコスパへのこだわりさく裂⇒しゃぶしゃぶ食べ放題へ…

義父の肺炎による緊急入院にともなう、義母の施設一時入所。そして老人保健施設でのリハビリ生活を経て、在宅生活の再開。目まぐるしかった2018年を息も絶え絶えになって走り抜き、ようやく迎えた2019年のお正月。おとうさんお気に入りのあの中華でまた会いましょう…! という計画は、義母の「でも、ちょっと高いわよねぇ……」の”妻ブロック”により、とん挫。じわじわ進む、老いと認知機能低下の中、「年末年始の食事サポートどうする?」「お正月のモチ、どうするよ⁉」問題が勃発したのも、この年でした。

この年のお正月は初めて、義父母と近所の神社に初詣に行きました。「すぐ近くだから」という義母の言葉をうのみにしたら、思いがけず徒歩20分ほど歩く羽目になり、到着する頃には義父母ともにヘロヘロのヨレヨレ。急な階段をなんとか登り切り、お参りの順番が回ってくる頃にはHPはほぼゼロに。「90歳過ぎたら、初詣は身体によくない!」(by 義父)という名言が生まれた年でもありました。

★2020年 おせち3種の食べ比べと施設・病院のはしご

こうして迎えた2020年のお正月。入退院を繰り返し、飲み込む力が弱ってきた義父のために「やわらかおせち」を手配しました。が、が、が、注文した矢先に、義父が再び、40度の熱が下がらず、緊急入院。誤嚥性肺炎でした。2018年の肺炎のときは抗生剤がなかなか効かず、肝が冷える思いをしましたが、今度はあっさり薬が効いて平熱に戻りました。

「頑張れば、年内に帰れるかも」と医師には言われましたが、大事をとって年末年始は病院で過ごすことに。2020年のお正月は私が合流して以来、初めて、義父と義母が別々に迎える新年会となりました。

まずは元旦に、家族みんなで義母が暮らす施設に集合。義母用として施設が用意してくれた昼食(お正月仕様)が思いがけず豪華でびっくり! 家族分は百貨店のおせちを持ち込みました。そして、義父用の「やわらかおせち」も、みんなで味見。義母はじぶんの昼食をペロリと完食した後、「あら、そっちもおいしそうね」と、あれやこれやとつまみ食い。健啖家ぶりを発揮されていました。

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昼食後は義父が入院する病院へ。

うとうと昼寝中だったところを起こされた義父は、ひたすら眠くて白河夜船。それでも不機嫌になることなく、「お正月のあいさつを」とリクエストされれば、すっくと立ちあがり、厳かにスピーチを披露してくれるのがさすがです。

義姉が「ほら、近況を話せば⁉」と繰り返し、姪たちをせっつき、困惑した空気が流れた途端、「えー最近、入院をしまして…」と義父が近況報告を始めたのが2020年お正月のハイライトでありました。

2021年のお正月がどうなるか、皆目見当がつきませんが、願わくはまだもうしばらく、一緒にお正月を迎えられますように。新年ぐらいしか顔を出さなかった身勝手嫁ながら、そんなことを思ったりもするのです。

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