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認知症や介護のことを勉強してください(別居嫁介護日誌 #49)

義父母の介護をめぐる、わたしと義姉とのかみ合わないやりとり。業をにやした夫が、介護情報共有用のLINEグループに送ったメッセージは冒頭からド直球だった。

「姉貴、繰り返しになるけど、認知症や介護のことを勉強してください。

どういう状態に対して、どんな対応策があるか、一般的な知見は世の中には既に結構あって、そのなかからどういうものがうちの親に合うかをケアマネさん含め、みなさんに相談しているところです。

それより、★日に行けるか行けないかの見通し、教えてください。

★日はヘルパーさんもケアマネさんも訪問看護師さんも来ます。せっかく姉貴が行くなら、してもらいたいこともあるかもしれないし、事前に見通しがわかっていて悪いことはなにひとつありません。

向こうも役割分担しながら、親の面倒を見てくれています。みなさんは「お手伝いさん」ではありません。社会的なサポートの枠組みをうちの親に適用してくれる方々です。

前にも言ったけど、彼らに気持ちよくサポートしてもらえるよう、環境を整えるのが我々の役割です。

だからこそ僕らは介護のことや認知症のことも勉強しなくちゃいけない(それ以前にわれわれの親の話だし)。それをせずに、思いつきを口にしたり、何かを持ち込んだりするのは、そのまま親の介護のために使える時間を奪ったりマイナスになったりする。

思い込みじゃなく、事実や世にある知見をベースに動こうよ。

ちなみに★日に、間違っても『保険証のコピーを持って行ったらいいんじゃない』なんて伝えないでください。もともととても固執していたのを、あれこれ手を尽くして、ようやく預けてもらって安定運用できるようになったところです」

以上、原文ママである。

今、読み返してみると、LINEでひょいと送るにはあまりにも長く、重たい。でも、当時はわたし自身もそこにはまるで気が回っていなかった。むしろ、姉からの逆襲を一切恐れることなく、正論をぶち上げる度胸に感心することしきり。しかも、けっこう的確に介護の現状と課題を把握していたことにも驚かされた。これぞ、“正論バカ”の本領発揮である。


果たして、この正論は義姉に届くのか?

夫のLINEメッセージから2時間後、義姉から届いた返信にはこう書かれていた。

「予定がはっきり事前に言えないことは、申し訳なく思っています。なるべく実家の様子を見に行きたいのですが、直前の連絡ではちょっと…ということになると夏休みか冬休みしか難しくなってしまいます。

仕事の進め方も悪いのでしょうが、何をするにも時間がかかってしまいます。現状まだ仕事は完成しておらず、明朝までに何とかと思っていましたが、実家に行く頻度より、数日前に予定をはっきりさせる方が助かるということであれば今回は遠慮しようと思います。

親に直接話すのはどうかなと思うことなどはLINEにアップして可否を伺っているつもりでしたが、いろんなことをひっくるめて全てお任せした方がよいということであれば、そのようにします」

え、まさかの全面撤退宣言? 威風堂々、正論街道をばく進中の夫が、「はいそうですか」と引き下がるわけはなく、事態はさらに混迷を極めていくことになる。


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