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ひとりで行っても大丈夫なんでしょうか(別居嫁介護日誌 #61)

半日デイに通う話は義母の巧妙なる“嫁ブロック”に阻まれたまま、なかなか進展せずにいた。とはいえ、進められるものなら進めておきたい手続きは山積み。「病院の一本化」もその一つだ。

もともとは、義父と義母、それぞれが持病や体調に応じて、地元のかかりつけ医のところに通っていた。ふたりとも病院もクスリも大好き。でも、認知症になって、予約通りに受診することが難しくなった。もらってきた薬も数日後にはなくしてしまう。

また、あちこちの病院にかかっていると、医療機関同士はもちろん、介護チームとの連携もとりづらい。もの忘れ外来は家族付き添いのもと、月1回ペースで受診。もの忘れ外来以外は、在宅医療専門のクリニックに往診をお願いした。

内科や皮膚科、泌尿器科などはこれまでのかかりつけ医ともやりとりし、今後何かあれば、基本は在宅医療専門クリニックで対応してもらうことで話がついていた。ただ、まだひとつ、“大物”案件が残っていた。

義母は数年前、甲状腺ガンと診断され、都内の有名クリニックに通っていた。ただ、ガンといっても、積極的な治療は必要なく、内服薬のみで大丈夫だと当時、義母に聞かされた。しかし、どこまでそれが正確な話なのか、今となってはよくわからない。

往診医からも「同じ薬を処方することはできるが、一度、専門医に状態を診てもらってほしい」と言われていた。

幸い、義姉が義母を連れ、近所の総合病院を受診してくれるという。助かった! と思ったけれど、これが一筋縄ではいかなかった。

もともと通っていた、甲状腺の専門クリニックからこれまでの治療歴をもらい、往診医の紹介状とともに、総合病院を受診し、甲状腺ガンの最新状況を検査してもらう。その検査結果をふまえて、往診医が引き続き内服薬を処方する方向でOKなのか、専門医による治療が必要なのかを判断する。それが、今回の総合病院受診の目的だった。

ところが、受診を終えた義姉のLINEメッセージには「往診のドクターからの紹介状が、①認知症関連、②甲状腺関連のうち、①認知症関連の検査を依頼したいという内容になっていました」とあった。

なんじゃそりゃ。

そして「甲状腺の専門クリニックからの紹介状には、橋本病について記載されておらず、血液検査データにも、橋本病を表す数値がありませんでした」と続く。
認知症の検査依頼についてはおそらく、往診医の記載ミスだろうと思いながら問い合わせてみると、ビンゴ。一方、橋本病の話はこちらも初耳で、何がなにやらさっぱりわからない。

そして、「父が、自分で病院に電話して泌尿器科に予約をとっていたんですが、ひとりで行っても大丈夫なんでしょうか?」ともあった。

いやいやいや、大丈夫じゃありませんから! 泌尿器科についてはたしかに以前は、総合病院にかかっていたけれど、義父と一緒に受診し、紹介状をもらい、往診医のバトンタッチ済み。ご本人はともかく、家族の側は「義父と義母、いずれもひとり受診は厳しい」が共通認識になったと思っていたのは、甘かった……!

義母については情報の食い違いがあるものの、ひとまず甲状腺の検査はしてもらえたようなので、いったん保留。義父の“受診したい熱”の対応を優先することに。

1)現在の主治医の体制について
2)総合病院の受診が「意思判断」に変わった理由
3)1)の主治医が「総合病院の受診が必要」と判断した場合どうなるのか︖
について、それぞれ箇条書きにしたものをFAXで送った後、電話をかけました。

「おとうさん、病院の件、FAXをお送りしたんですが、届いていますか」
「今、読んでいたところです。要するに、今回の受診は必要ないということですか?」
「そうです、そうです!」

予約のキャンセルについては、すんなりOKが出た。ただ、「今の医療体制について、よく理解できていないところがあります……」とも。電話で話してもピンと来ない様子だったので早々に話を切り上げ、「会ったときに詳しく説明させてください」とシフト。

電話で話すよりも対面のほうが、圧倒的に話が通じやすい。それはこれまで何度も経験してきたことだ。日によって調子も変わるし、数ヶ月前、電話のやりとりで済んだからといって、今回もそうとは限らない。うまく理解できないことに、義父のイライラが募る前に「会ったときに話そう」と約束してしまうほうが、結局はお互いのストレスが少なくて済む。

なんとか、受診先の“先祖返り”を避けられて安堵していると、義姉から再びLINEメッセージが届いた。
「私としては、橋本病と甲状腺がんがセットであるという認識でいましたので紹介状に記載があると思い込み、確認したところ、紹介状や血液検査のデータでは問題なしとのことでした。そのため、検査を依頼しました。橋本病か、甲状腺がんのために母の好きなヨードを含むわかめ、ひじきなどの海藻類を食べることを禁止されていました。もしできたら大手を振って食べてもらいたいなと思っています」

なるほど……。いずれにしても、何が起きているのかよくわからない。やっぱり、自分で付き添えば良かったか。いや、それをやっているとまた早々に追い詰められて、介護離婚上等! になるのは不可避。ここは歯を食いしばってでも、手を離すターン! 修行の日々はまだまだ続くのであった。

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