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SCD家族それぞれの軌跡14 [次女篇❷]

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 どの疾患でも言えることですが、信頼できる医師に出会えるか否かが、その後の闘病生活に大きく影響します。私は、夫を診察したことがある知り合いのS医師に、受診の前に手紙を認め、次女の診察をお願いしました。患者が大勢受診する外来診療は忙しく、3分診療と言われています。有難いことに、全ての診療を終えた午後の最後の時間に予約を入れてくれました。医師は問診や神経学的所見をとった後に、血液検査と画像検査のオーダーをして、一回目の受診が終了しました。次の受診時には、病名告知になります。 

 夫の性格を引き継いだ我慢強い次女は、冷静に病名告知を受けました。父親の病気の過程を間近でみていたので、覚悟が出来ていたのかも知れませんが、辛さは容易に想像できました。涙を流さず、辛いとも言わない次女に、「強い子だ」と舌を巻く一方、辛いと言えないほど苦しんでいるのではないかと思いました。

 S医師は、早い段階から特定疾患の診断書を記載して、病院のケースワーカーに繋いでくれました。保健所では、患者会や生活介護施設を紹介してくれました。多くの職種の人が、これからの次女と関わってくれるのだなと心強くなりました。(夫は、これを一人でやっていたのです。)

 病気が分かったからと言って、翌日から生活が一変するわけではありません。専門学校を中退した次女は、メリハリある時間の過ごした方を考えていました。

 不自由さはあるものの、生活動作は自立していて、介助は必要ない状態です。 次女は、アルバイトをすることにしました。自宅から車で20分程度にある大型ショッピングセンター内の小物販売店です。2005年4月~2006年2月までの11か月間、休まず仕事をしました。初給料は8万円くらいでした。その時の記念に、プレゼントしてくれたキーホルダーは、今も大切に使っています。

次女、20歳の時です。


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