見出し画像

出生数が80万人を切るなんて前からわかっていたこと

日本の2020年の出生数が80万人を切ったというニュースを見ました。

私は以前から何回か少子化についての記事を書いていますが、ついにその時が来たかという気持ちとともに、今さら驚きを持って受け止められていることに対し「そんなことだいぶ前から分かっていたはず」と驚きました。

人口の動向というのは非常に予測がしやすいことで知られていて、多少のブレはあってもほぼ外れません。
人の生活パターンは急には変わらないので当然だと思います。

そして少子化の理由ですが、これもほぼ特定できてしまっていて、

・婚姻数の減少と未婚化
・晩婚化
・子育て支援の少なさ
・乳幼児死亡率の低下

あたりで間違いありません。

そうなると、
30年前には人口減の予測ができていて、さらに原因の特定も終わっている問題になぜ今も対処できないのか?
という話になってきます。

私はその理由について、シンプルにこう思っています。


あらゆる組織の老化


2022年現在の日本の平均年齢はなんと48.6歳で世界2位。
上は小国のモナコのみなので実質1位と言えます。ちなみに小国を除いた上位は、2位ドイツ、5位イタリア、6位ギリシャです。
ちなみにアメリカや中国は30歳台後半、インドは20歳台です。

寿命が長いのはいいことですが、平均年齢が約50歳というのは高すぎると感じます。

50歳といえばもう人生後半に入り、健康の心配が増え、老後に備えて守りに入る人が多くなる時期であり、どうしても現状維持が優先されやすく未来志向にはなりにくいでしょう。

さらに、認知機能は30代がピークで50歳代になると急激に低下が進みはじめて回復することはありません。

もちろん個人差はとても大きいですが、高次の能力である「遂行力」「判断力」がより早く低下するため、年を取るにつれ何かを決める、変えることが難しくなる人が増えるのは間違いないです。

つまり、50歳またはそれ以上の実行力や決断力が衰えた多くの人々が社会の中心にいるため、すでに分かっている少子化への対応が先送りになり、時間が経てば経つほど対応が遅れるという悪循環に入っていると言えます。


必要なのはリーダーの若返り


とはいえ人口分布を急に変えるのは不可能です。
むしろここまで放置したため若い人が減りさらに難しい状況となっていて、もう打てる手はあまりありません。

私が思うのは、リーダー層に若い人を増やすことを推進するしかないということです。

2018年のデータですが、日本のCEOの平均年齢は61歳で世界平均53歳に比べ明らかに高く、別のデータでは、高齢の経営者の会社ほど業績悪化が進んでいるということが分かります。

成長の足を引っ張る年齢の高すぎるリーダーは、退出していただかなければなりません。
日本の企業の99.7%は中小・零細企業なので、それらに対して世代交代を促す適切な施策が必要だと思います。

もちろん企業だけでなく政治や公共部門でも同じですが、企業トップの若返り以上に難しそうなので、まずはそこからだろうと考えました。


と、ここまで書いてきて思うのですが、結局そういった若返り施策も、選挙や世論の形成を多くの老人が主導しているためなかなか実現しません。
世代による人口の違いが大きすぎて今はどうしようもないのです。

しかし戦後の貧困から高度成長期を経てバブルまでを経験した団塊世代と呼ばれる70代の非常に多くの人々は、あと2年ですべて75歳以上の後期高齢者となり発言力が低下し、10年もすれば世代交代が確実に進みます。

そしてその後は、現在もっとも人口の多い40代の世代が中心となって、今までにない思い切った施策を行うことができるようになるでしょう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?