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コロナに負けそうな子を救おう

今思うと、日本の新型コロナに対する対応は途中から間違っていたのではないかと思います。

私が考える最も大きな過ちは、特に70歳以上の「リスクの高い人が自分で身を守る」を徹底しなかったことです。

これにより、本来は新型コロナへの罹患によって危険にさらされる可能性が高い、基礎疾患を持った人や高齢者などリスクの高い人が、率先して自らが感染しないよう努め、国や自治体、医療がそれを支援するという、普段当たり前に行われていることがうまく行かなかったように思います。

風邪、インフルエンザ、ノロウイルス、アニサキス、エイズなど、それ以外にもさまざまな感染症がありますが、すべて自衛するのが基本で、世の中からこれらの感染症をなくせと言ったって無理だとみんな知っています。


新型コロナ流行の初期段階に国全体で感染を防ごうとしたのは間違いではなかったと思います。
初期は特に、それだけの危険性がありました。

しかしいくらか時間が経って、SARSやMERSのような危険性はないという実情が見えてきても、方針を変えようとしなかったのが間違いでした。
(特にMERSは致死率が最大で35%と言われています)

そのため、高リスクの人は感染しないよう身を守るべきだが、低リスクの人は通常の生活でいい、という風邪やインフルエンザの対応モデルではなく、結核などの危険な伝染病の対応モデルを適用し続けてしまいました。

実際は不可能な新型コロナを根絶することが目標・理想となってしまい、それを目標に行動計画が立てられているように見えます。


なくせない感染症への対応


我が家には中学に通う子供がいます。
小中学校に通うお子さんをお持ちなら分かると思いますが、一部例外はありますが、現在も子供に対して強い行動制限がなされたままとなっています。

また高校や大学でも団体行動の制限が行われています。

子供同士を自由に交流させたら子供間で感染が拡大し、高リスクの人やお年寄りが家族にいると感染率が上がってしまうから、今の制限は妥当だと考える人もいるかも知れません。

しかしそれこそが、「新型コロナを根絶する」という不可能な方針に影響された考え方だと言えます。

新型コロナは感染拡大が防げないほぼ「普通」の感染症になったので、子供に行動制限を強制するのではなく、お年寄りや基礎疾患のある人が特に厳重注意してこの病気に臨むのが正しいと思います。

沖縄県で2022年4~5月で新型コロナと診断された約9万人のうち、20歳未満の重症化・死亡者は0でした。
もちろんインフルと同様の対応は必要ですが、子供にはそれで十分だと私は思います。


成長期の子供への影響


意外と話題になっていないですが、将来的に危惧していることがあります。

それは、成長期の子供が数年間に渡って行動の制限をさせられたことによる、コミュニケーションや共感性など精神的な成長への影響です。

黙食で食事の楽しさが失われ、マスクによって友達の表情が見えず、課外活動が大幅に制限され、団体旅行などの思い出が少ないなど、多くの子供が小学校の時に楽しかったと振り返れたはずの思い出が失われています。

身体的な接触を伴うコミュニケーションは、幼児期から小学生くらいまでの子供同士では非常に大きな割合を占めていると思われ、それが不足したまま思春期を迎えたときにどうなるか心配です。


不安な大人が増えるかもしれない


また実はもっと深刻じゃないかと感じているのは、高校・大学生~若い社会人に与える影響です。

日本赤十字社の高校生・大学生への調査で、コロナ禍で「何もしたくない、無気力」と感じた高校生が43.0%、大学生が49.0%、「孤独を感じ1人でいるのが不安」な高校生が28.0%、大学生35.0%という結果になりました。

思春期に友達や先輩後輩と長い時間意味もなく過ごし、信頼関係や恋愛関係、競争と協力意識、その頃にしか許されないちょっとした悪事などを経験した人は多いのではないでしょうか。

私も学生時代に、今考えても何の意味もない、誰かとだらだらと時間を過ごしていたときのことが、勉強や試験などの記憶よりも強く残っています。

そのような無駄な時間に考えたことがいまだに自分の思考の中心を占めていて、そう考えるとあの無駄な時間は自分像を作るために必要だったのかも知れません。

そういった精神的な骨格を作るために必要な、無目的だけれど大事な他人との交流が制限されたら、自分を客観視して他者と交流するスキルが育たないまま社会に出ることになりかねません。


もしこのような考え方が妥当と言えるなら、今からでも遅くはないので、新型コロナは感染症のひとつであり、他の病気と同じように冷静に対処すればいいと考えてほしいです。

また成長期の子供にとって大事な時期に、高年齢層や高リスクの人々がコロナを恐れるあまり、行動制限を強いるのはやってはいけないと気づいてほしいです。


この記事を書いている最中に、大阪で高齢者の外出自粛要請が出されました。状況を見守りたいと思います。


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