見出し画像

ACL決勝 国内リーグと世界の大きな違い

先日行われたAFCチャンピオンズリーグ決勝第2戦、横浜FマリノスはUAEのアル・アインとの決戦となり、1-5という予想外の大差で負けました。

おそらく横浜の守備が高めでかつ屈強ではなかったためアル・アインの強くて速い攻撃陣に歯が立たず、5回ほど守備陣が決定的に抜かれそのうち3回は得点、1回はPK、1回はキーパー退場という結果になったのが敗因です。

横浜は外国人選手を中心に数回決定機を作りましたが、さすがに守備陣が抜かれ過ぎでした。
あとキーパーの差も如実に表れたような気がします。
Jリーグなら普通に対応できた守備陣も、明らかにレベルの違うアル・アインには通用しなかったようです。


中東勢は、ゲームを優勢に進めている時はより強くなりアウェイや劣勢の際はどんどん弱気になるという、調子に乗せたら手が付けられないほど強いが一度ダメになったら盛り返せないという性質を持っています。

なので、マリノスが1-2に戻して相手の気持ちが沈んだ時に耐える守備をして焦りを誘えばよかったのに、その後すぐ簡単に裏を取られてキーパー退場となり、試合が壊れて終わってしまったのは非常に残念でした。

横浜はこの試合を、当然気合は入っていたと思いますが、結局はいつもの試合と同じように戦ってしまったのではないでしょうか。


浦和レッズとの比較


昨年、浦和レッズはサウジのアル・ヒラル相手に僅差で勝ち切り3度目のアジア優勝を勝ち取りましたが、浦和は最初のACL優勝(2007)からしぶとい戦いを常に行い、殺気立つ超アウェイの相手国での戦いは我慢を重ね、ホームではそのお返しとばかりにサポーターとともに敵を圧倒していました。

特にアジア各国のアウェイ戦はJリーグでは味わうことのない厳しさで、選手・戦術うんぬんの前に観客の圧がすごく、審判は頼りにならず、時にありえないくらい荒れたピッチと日本なら確実にファウルになる暴力を受けながらの試合を強いられ、選手の不安感はものすごいものがあると感じます。


ちなみにアジアといっても各国でまったく状況は異なり、私のACLの知識からいうとこんな感じです。

サウジなどの裕福な産油国は最近とても強くヨーロッパ並みの技術がありますが、相変わらず調子乗りでかつ苦境になると非常にもろい性質です。
また中東といってもイランは違って実直さと武骨さを感じます。

そしてインドネシアやベトナムのような東南アジアは近年非常に強くなっていますが基本はいい人たちで、中国は体格だけは素晴らしいですが微妙なズルが多くサッカーに正面から向き合っていない印象があり、さらに景気後退で補強が出来ず弱体化しています。

最後に韓国はいつも無駄のない戦術と体と気持ちの強さを感じますが、歯が立たないとなると急にルールを守らず暴力ばかりになります。
町田ゼルビアが汚いサッカーをすると一部のファンから非難を受けていますが、東アジアの酷さと比べたらぜんぜんクリーンでしょう。


そして浦和は、埼玉という地味な場所で常に何か(例えば東京や横浜)に負けているような空気があり、サポーターも浦和のJ創設時からの弱さを知っているので、アジアを獲って見返してやりたいという強い気持ちがあります。

その気持ちがチームにも伝わり、我慢すべきところでは絶対に我慢し、相手が弱ってきたらすかさず畳みかけて一瞬で勝利を奪うという、ACLならではの戦い方が文化として浦和レッズには根付いているように感じます。


アジアや世界での戦い方


ACLの各国代表になるようなチームは当然レベルが高く、あとJリーグにはない精神の強さを持っていて、国を代表する誇りがあります。
今回そんな相手に対する敗戦でJリーグの本当の弱点が露呈したと言え、これをひとつのサンプルとして強化していくのが良いと感じます。

それは一言でいうと「国内リーグでの馴れ合いによる勝負に甘い雰囲気を払拭しなければいけない」ということです。


今までJリーグを国内に普及させるためにずっと行われてきた各チームの差をつけないようにする平等主義こそが、国内で勝ち上がってもACLで海外勢にあっさりやられてしまうJリーグ王者を生む理由ではないでしょうか。

全国にJリーグのチームをつくり地方を盛り上げるのはとてもいいことですが、それと並行して象徴となる強いクラブをつくらないと海外では通用しません。

Jリーグには若い選手の年俸高騰を抑える仕組みがありますが、それによって財政の弱い地方クラブを実質的に助けていて、逆に大規模クラブがお金の強みを発揮できない状態となっています。

もうそろそろ大規模クラブが世界を見据えて競争できるよう、こういった過去の過保護な政策は撤廃したらよいと思います。
ACLで優勝したらなんやかんやで80億以上の収入増が見込めるという話なので、優秀な若手に大金を投資して世界を目指す自由もあるべきでしょう。


結局、国内リーグの勝者が海外勢の本気度に圧倒されて無様に負けてしまったら、そのリーグの価値が著しく下がってしまいます。
今回の横浜は善戦したかもしれませんが、「がんばったからいい」というぬるさはもう止めて、真の問題を明らかにすべきです。

今後はJリーグ内のヒエラルキーを強める方向に舵を切り、海外で通用する強いチームを育てる方向に変えていくことが必要なのではないでしょうか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?