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【トピックスレポート:第11回】なくてはならない"Cultural Awareness"

こんにちは!B.O.Mの竹内です。

B.O.M(ボム)は音楽ストリーミングサービスの楽曲URLなどを一つのリンクで管理・分析できるサービスです。

B.O.Mのnoteでは、月に2本程度音楽やマーケティングについてのトピックスを紹介しています。

第11回は「なくてはならない"Cultural Awareness"」です。

これまで音楽やエンタメのマーケティングに関するトピックスを主に発信してきた本企画ですが、今回は視点を変えてマーケティングやプロモーションに先立って考えなければならない問題について取り上げていきます。

Cultural Awareness、直訳すれば「文化的意識」となるこの言葉は近年度々問題になっているアーティストの活動における人種やコミュニティ、文化に対する理解不足について考えていくきっかけとなるものです。

"Cultural Appropriation(文化の盗用)"について

文化の盗用とは?

この言葉には現在さまざまな視点の定義や指摘が認められますが、一般的には自分たちとは異なる文化を私物化するような、一方的に縁もゆかりもない文化に対して無理解・リスペクトを欠いたままそれを借用する行為を指しています。

過去に問題となった例

借用した文化に対する理解不足
パフォーマンスの一部に様々な文化の伝統的なカルチャーを取り入れたもののなかには、正しい文化的な理解がなされておらず、特定の人種に対して侮辱的な演出となってしまうものがあります。特に性的な演出や衣装においてこうした無理解は大きな問題となる可能性があります。

リスペクトを欠いた(ように見える)演出
ある文化をモチーフにした演出を行う場合、その文化圏でのタブーや避けるべき表現は必ず把握しておく必要があります。神聖とされる対象がパフォーマンスにおいて配慮を書いた扱いをされているようなケースは避けなければなりません。

差別的なメッセージ

アーティストかの特定の人種や性別に対する発言や、歌詞などにそのような要素が含まれていることで大きな問題に発展したケースもこれまで数多く存在します。

過去に問題となった例

コンテンツ内での発言
万人がアクセスできる可能性を持つ(そうでない場合も勿論ダメですが…)コンテンツ、例えばポッドキャストやバラエティ番組の中で特定の人種やコミュニティを侮辱するような発言を行うのは非常に問題があります。言動が取り上げられ、拡散された場合アーティストにとって評判を取り戻すのは非常に難しくなるでしょう。例え一時的にスルーされ問題とならなかった場合にも、あるきっかけから再び取り上げられることも少なくありません。

歌詞に含まれるもの
楽曲の歌詞の中には特定の人種やコミュニティに対して差別的な意味を持つものや、あるいはその言葉を用いる者や指向性によって暴力的な意味合いになるものもあります。アーティスト自身が楽曲をリリースする時は勿論ですが、カバーやマッシュアップといった場合でも十分に注意する必要はあるでしょう。

問題を起こさないために

1. カルチャーに対する理解を広げ、ムーブメントに 関心を持つこと
様々なカルチャーに関するムーブメントに関心を向け、学びを深める機会を作ることが重要です。
アイスクリームブランドBen & Jellyは社会正義、民主主義、 LGBTQIA+ の平等、など彼らが関心を持っている問題へのコミットメントを強化するため、SNSで現状を伝えるコンテンツを作成してい ます。

2. コンテンツを作る際に多様な人々の視点を 取り入れること
様々な視点の人が関わり意見を交換し、専門家やクリエイターなどからの意見をもらうのは多様性を意識したコンテンツを作るうえで必要なプロセスです。
中国の旧正月を祝うアイテムを発表したMaison Margeraはローカルの中国人デザイナーとのコラボを行い、彼古代中国の絵画に敬意を表した美しく文化的に関連したキャンペーンを作成しました。

3. なぜその文化を取り入れる必要があるのか、 自身やブランドのためではなくその文化にあった取り上げ方はなんなのか模索すること
コンテンツを発信する際には文化や歴史的背景を理解し、利益のためではなく文化を作り、守っている人たちに対するリスペクトを示していく姿勢が求められます。

4. 実際に問題に発展したら、立ち止まって耳を傾けること
意識をしていても問題につながる恐れはあります。その場合は必ず一度立ち止まり、別の立場の意見を取り入れ、改善を行いましょう。
アメリカのコスメブランド大手Sephoraは店員の黒人に対する対応や、 暗めの肌色にあったメイク商品がないことが問題になっていました。
問題を改善するべく、同社は2021 年末までに黒人が所有するブランドの品揃えを2倍にする計画を立て、小売業における人種的偏見に関する17ページの調査と新しいマーケティング制作ガイドラインを作成しています。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回触れたような内容はいまだセンシティブで、ボーダーラインがわかりづらい部分も少なからず存在しています。
しかしクリエイティブな商材やアーティストを扱っていく場合には、このような問題には特に細心の注意を払っていく必要があります。
本投稿がより多くの人々にとって、より良いコミュニケーションを模索していくためのひとつの手がかりになれば幸いです。

今後もB.O.Mのnoteでは、本件のような音楽・マーケティング業界におけるトピックスについての発信を行っていく予定ですので、ぜひフォローしていただけますと幸いです!
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