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ピロウズ短歌まとめ その3(2023年5月〜6月)

the pillowsの楽曲を基にした短歌「ピロウズ短歌」のまとめシリーズです。今回は5月と6月にツイッターに投稿した短歌です(この時点ではまだXではない)。

平日の疲労が溜まりまくっていたことや、休日も色々やることが多かった影響で、まとめの更新がだいぶ遅くなってしまいました。6月はジメジメした空気感に便乗して、暗めの歌を一挙放出した感があります。

ピロウズ短歌は単体だけだと「どういう意味だ?」となりがちですが、the pillowsやその曲を知っている人たちに「ああ、こいつはあの曲をこういう風に解釈してるのか〜」と想像していただければ、これほど嬉しいものはないです。今回もこういう意図で作ったという解説を載せます。

(前回のまとめはこちらから)


本能で行きたい場所へどこまでも貫く閃光、一瞬で灰
(『White Ash』より)

僕は定期的にスタジオを予約してドラムの練習をしているのですが、たまに無意識にこの曲を叩いてしまう時があります(ちゃんと耳コピしていないので細かいところはぐちゃぐちゃですが)。ライブで聴いても、没頭していたらまさに"一瞬"で終わってしまいますよね。
情熱とか信念といったいかにもポジティブな感情が自分に無さすぎて、そういう気持ちを短歌にしようとすると「なんか嘘くさいな」と違和感を持ってしまいます。うまくいっているだろうか。


回り続ける世の中で古傷を癒すための歌 You have freedom.
(『Smile』より)

英語の部分はスッと読めば最後の句のリズムと合うはずです。

この曲は、「『敵なんだけど、本当の本当はそうでなきゃいいのに…』という気持ちを歌った」と過去のファンクラブ会報で書かれていたことがすごく印象に残っています(僕は書籍『山中さわお語録集』でこれを知りました)。
Smileの短歌を作るにあたり、「"人を許す"ってどういうことだろう」ということを考えました。その結果、まず自分が受けた傷や負の感情とちゃんと向き合うべきでは?と思い至るのに、それほど時間はかかりませんでした。完全に克服は出来なくとも、自分自身の目を背けていた部分について受け入れる。そうして心に余裕が生まれれば、許せないと思っていた相手への認識も少しくらいは変えられるのではないでしょうか。まぁダメなものはダメでしょうけど。
終わりの歌詞にはそういう意味も込められていたらいいなという願望も込めて作った短歌です。中盤の怒りパートも大事な側面ですが、この曲の根幹はそこではないなと思ったのです。


失望と不満の中で灯る火はサラダボウルを抜け出すように
(『ニンゲンドモ』より)

『Smile』と連想せざるを得ない曲…ということで続けて投稿しました。人混みをサラダボウルと言い換えたのですが、絶対他にもっといい表現があるだろと思いつつ、リズム的にピッタリハマり過ぎてしまったのでこのままゴーサインを出しました。
こちらもニンゲン達へのヘイトに目が向きがちですが、実際はもう少し複雑な感情を歌っているのではないでしょうか。社会はサラダボウルのようにごちゃごちゃしているんですから。


絶望に目が慣れて、なお陽を浴びたい 擦れた時代を生き延びながら
(『Century Creepers(Voice of the Proteus)』より)

カッコの中のサブタイトルが何気に印象的です。プロテウスって神話の神のことを指しているのでしょうか。それとも細菌のことなのか。もし後者だとしたら「小さな小さな生き物の声」となるので、一層エモさを感じます。
「暗闇に慣れてるけどいつかは抜け出してみたいんだよ」そういう気持ちを強く持っていた時期が僕にもあった気がします。今では暗闇の中だけでも色々出来ることがあると知ったので、抜け出す努力を怠り楽な方に甘んじておりますが。
それでもいっちょ前に承認欲求があるからこそ、ネットでもリアルでも何かをやりたがるんでしょうね。有名人になりたいとかチヤホヤされたいって願望はないけれど、完全に独りだと潰れてしまうので近くの誰かには見てもらいたい。それがつらい現実をどうにか生き延びるひとつの手段だと思います。


薄っぺらい月を見上げた籠の中 吐く泣き言も虚空に消える
(『レッサーハムスターの憂鬱』より)

おどけた曲調にしっかりと暗い歌詞。バスターズにとっては逆に有名な曲なのではないでしょうか。僕も好きです。
学生時代からヘビロテしていますが、「虚無」とか「空っぽ」っていう言葉がよく合う曲だと思います。どんなに歌っても、寂しいとぼやいても誰にも届かない。自分の中にも常にこういう虚無感が常に何割かを占め続けています。


積み上がる恥や後悔を己ごと流してくれる雨を待つ者
(『エリオットの悲劇』より)

個人的に、定期的にヘビロテしたくなる時期がやってくる曲です。カラッカラに乾いた砂漠が舞台なのでしょうけど、曲の雰囲気としては、そこそこ強めの雨が降っているようなイメージを持っています。主人公が雨を待つ理由を、自分の気持ちとも重ねて表現しました。


棺桶を焼き切るように街ひとつ燃やしてみても剥げない笑顔
(『Black Sheep』より)

この曲が聴けた再現ツアーvol.1は、本当に貴重なライブだったと思っています。どう考えてもこの先演りそうな気配がないじゃないですか。歌詞の中の主人公は、どうしてもサイコパスを想像してしまいます。所謂そう呼ばれる人って自分が明らかに人と違う感覚であること、普通じゃないことに悩んでしまうという話をよく聞くし、そのような苦しみと相反する行動などをイメージしました。僕にとって大切な曲です。


一九八九年の願いをなぞったように辿り着いた地
(『1989』より)

最近はピロウズ短歌ではない普通の短歌もメモ帳に書き溜めていて、そちら側のメモ帳から引っ張り出してきたものです。
今この曲を聴くと、友達や人との繋がりがほしくて趣味用のツイッターアカウントを作った数年前の自分を重ねてしまいます。必要とされたい、明日は誰かに会えるかな、とよく考えていたものです。
それから色々ありながらも、ネット上での自分のポジションが確立してきたのかなと思います。今後そこから何か変わっていくのか、まぁあんまり変われる気がしないですが。時々誰かと話したり関わったりしながら、のんびりと自分のペースでインターネットの海を漂うのがいちばん僕らしい姿なのだろうと思います。


今回は以上です。現在も時々お休みを挟みながらも、どうにか毎週短歌の投稿を続けられております。

ピロウズ短歌は、とりあえず2023年いっぱいまで投稿を続けようと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。下半期も頑張ります。

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