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弁理士業の魅力 小規模特許事務所の魅力

こんにちは、40代弁理士の石川です。こういう自己紹介ができるのも、今だけですね。50代になったら、年齢不詳のおじさん弁理士ということで行きたいと思います。

これから弁理士を志す学生さんや、技術者の方向けに、前回の大手特許事務所の魅力に続きとして、小規模特許事務所の魅力についてもご説明したいと思います。

なお、写真のようにこんなところに事務所があったらいいなーと思いました。(でもこれじゃ、誰も相談にこないか・・・。)

1.小規模特許事務所の定義について

そもそも、小規模特許事務所って自分で言っておきながら、定義がよくわからなくなりました。日本弁理士会の統計を確認します。

日本弁理士会がHPで公表している最新の会員分布状況(2022年2月末)

日本弁理士会がHPで公表している、2022年2月末の最新の会員分布状況です。弁理士10人以上がおおくくりにされているので、本稿では独断と偏見で弁理士の人数が9人以下を小規模特許事務所とみなします。

それで、全特許事務所数に占める、9人以下の小規模事務所の割合を計算してみると、なんと、97% !!

ほぅー。

ほとんどですね。

そうすると、弁理士10人以上の中規模、大規模特許事務所の割合は、全特許事務所の中でわずか3%となります。

一方、弁理士数80人以上いる事務所の数が7ということで、意外に多いなという印象です。大手特許事務所は弁理士を集めて、どんどん大型化しているようですね。

2.小規模特許事務所の魅力(本編)

さて、小規模特許事務所を定義できたところで、本題に移りたいと思いますが・・・

小規模特許事務所の魅力は、今どきの若者に響くようなものは、あまりないかもしれません。

はい、終了!!

・・・でもそれでは、記事にならないので、主観を排除しつつ、いろいろと客観的にいえることを探して書いてみます。

(1)指導はかなり丁寧になされること

小規模特許事務所では、後継者の問題は、事務所の死活問題となります。なので、事務所の経営者は、後継者となる若手に対して、相当に丁寧な指導をすることになります。その指導を受けて、若手が伸びるかどうかは、指導者の指導の仕方と、受け手となる若手のやる気次第ということでしょうか。

大手特許事務所の魅力の稿でも書きましたが、人間同士なので、指導的立場の人と、馬が合うかどうかは、非常に重要な問題です。事務所経営の弁理士の方と合わない場合には、小規模特許事務所において逃げ場はないので、事務所を移るしかありません。

いい事務所かどうかは、所長の人格でほぼ決まります。断言できます。

所長が、古代中国の、堯、舜、孔子のような聖人であれば、その事務所の所員は、ハッピーでしょう。「仁は人の心なり、義は人の路なり。」 孟子の残したこのような言葉を地で行く聖人のような人が所長であれば、所員は、事務所の規模に関係なくハッピーでしょう。

所長が、酒池肉林や炮烙の刑で有名な殷の紂王みたいな暴君であったなら、所員は暗黒の事務所ライフをおくることになります。

そうすると、小規模特許事務所では、良い方が所長をされている事務所を見抜くことが一番大切なことになります。しかしながら、求人情報からそれを見抜くことは困難です。採用の前には、どの事務所もよいことしか言わないのですから。

いい事務所に入るコツを教えます。それは、ずばり、縁故関係を頼って就職することです。知り合いからその勤め先の事務所の情報を得ることができれば、入所する前に事務所のだいたいの様子をうかがい知ることができます。また、縁故者のリアクションから、自分がその事務所に必要とされているかもだいたい知ることができます。様子を聞いてみて、縁故者があまり勧めてこないということは、自分が必要とされていないか、あるいは、その事務所に問題があるから勧めないということです。

問題ないということが分かれば、正式なルートで採用試験を受ければいいのです。

なお、一つ余談ながら。優しくて耳障りのいいことばかりいう所長様が良い指導者とは限りません。厳しいことを正直に言ってくれる所長様は、本当の意味で人を育ててくれる良い指導者です。

ドラゴンボールの孫悟空は優しすぎて、師匠にむかないのはそのためです。ピッコロのように厳しく指導することで、悟飯は立派な戦士に育ったのですから。鬼滅の刃では、鱗滝さんも同じでしたよね。

競争の厳しい世界ですから。最初のうちは、所長から怒られたり、何度となく厳しくダメだしを受けることは、今思えば必要な経験です。駆け出しの自分に実力がないからダメだしを受けるのであって、所長からみれば自分が書いた明細書はガラクタみたいに見えるのです。

しょぼい明細書を書けば、お得意様から切られて一発退場となる厳しい世界なので、厳しい指導の裏には、そのような厳しい現実があるということも忘れてはなりません。ときには、あえてブラック事務所のように見える厳しい環境で腕を磨くということも、長い人生の中で悪くない選択です。

(2)待遇は事務所によってまちまちであること

待遇面に関して、なんともいえません。経営状態の良い事務所であれば、良い待遇をするでしょうし、経営的に厳しい状況であれば、所員の待遇も良くなるはずがありません。その辺の状況は、外部からは見えないものですから、事前のサーチが重要となります。

やはり、縁故者を通じて、事前に情報を入手するのがいいのではないでしょうか。縁故者は、待遇が良いなら良いといってくれると思いますよ。

(3)テレワーク可のところが多い

今となっては普通に定着したテレワークも、認められている事務所とそうでない事務所とに分かれると思われます。私の知る限り、小規模特許事務所ではテレワークが認められているところが多いように思います。大手特許事務所で認められているかは、知りません(現在は離れてしまっているので)。

(4)将来的に事務所を引き継げる

先輩の弁理士は、いつかは引退して、後進に道を譲ることになります。古代中国の伝説の聖人堯が自分の子ではなく、舜に天子の座を譲ったように。(さらに、堯は、自分の9人の子供達を舜に仕えさせたのでした。)

これは、いい面だけではなく、所員の生活を守る責任も引き継ぐことになります。よって責任は重大ですから、いつか訪れるその日に備えて、日ごろから研鑽をつんで、実務能力および人格を磨き、立場にふさわしい人間となる必要があります。もし自分に能力が足りない場合には、補助してくれる仲間も必要でしょうし、場合によっては、自分は遠慮して、その優れた仲間に所長の地位を譲ることも必要でしょう。

3.まとめ

小規模特許事務所の良し悪しは、所長の人格次第ということです。良い事務所に入れるか否かは、事前のサーチが重要です。事務所に勤めている人が近くにいない場合には、まずは、どの事務所でもいいので、業界に飛び込んでみるのも一案です。特許業界に入れば、黙っていても情報は手に入ります。蛇の道は蛇です。

大手特許事務所、小規模特許事務所のいずれを選択される場合でも、弁理士を志すあなたに幸せが訪れることをお祈りしております。

また、弁理士試験を受験される方におかれましては、首尾よく試験に合格されますことをお祈りしております。


弁理士の石川真一のフェイスブック
facebook.com/benrishiishikawa



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