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第2回:ビジネス英語のスピーキング、リスニングの効果的なゴール設定は

こちらの記事では、当マガジンでお薦めするビジネス英語習得のゴール(マイルストーン)をご紹介します。

もちろん英語の習得の仕方、ゴールの設定は人によって千差万別かもしれませんが、より確実に一定の水準に達する、一定の業務を英語でこなせるようになるにはこちらに沿ってみることをお薦めしています。


NGなゴールは

まず、英語学習において早い段階で挫折に近づいてしまう可能性のあるゴールをご紹介します。

それは、こちらの方のように話せるようになるというものです。

英語をネイティブのように話せるようになるのは多くの人の夢ですが、ここまで到達するのにはかなりの時間(7,000時間くらい、毎日90分学習して13年くらい)かかってしまうと思われますし、ビジネス実務において多くの場合はこの水準で話せることは必要にならないです。

まず最初のマイルストーンは

まず高校卒業以来ほとんど英語に触れていなかった方は、「1年」で以下の動画のYouTuberの方が話しているようなところまで到達したいです。

上記のYouTuberの方は300時間で動画内のレベルまで到達されたということですが、企画のために集中的に学習する時間をとられたのだと思い、通常はとぎれとぎれで学習することになることからもう少しスローな習得速度になることが予想され、毎日60~90分学習して1年でここまで到達する(学習時間400~500時間程度)ことをまずは目指したいところです。

この時点では、リスニング力も上記の動画ででてくるタクシードライバーの方の話を聞きとれる程度で問題ありません。

これで、最近勤務先の会社に海外から参画してきた同僚とも基本的な仕事の話やアフターファイブの会話ができたり、同様の内容をSlackなどの社内ツールで行うことで仕事上のやりとりを最低限はできるようになります。

こちらの通り、「1年」あれば「海外から参画した同僚とスムーズなやりとりができない」という状況は解消できます。

初級、中級で到達したい水準は

次のマイルストーンは、こちらのマガジンで初級、中級とよんでいる水準でどれくらい話せるようになりたいかです。

初級、中級で話せるようになりたい水準は、以下のインタビュー動画の日本人の方の水準です。

こちらの日本人の方の英語のアクセントは日本アクセントですが、お話しされている単語全てが明確で、ポイントポイントでご本人の感情のトーンも伝わってきます。

ビジネスの現場(社内会議、社外との商談、社内外でのプレゼンテーション)では自分が言いたいことがほぼ100%相手に伝わっている(言語の観点から相手に「I did’t understand what you were saying.」と言わせない)ことと、話し方のトーンから自分の気持ち(これをぜひあなたと一緒に成功させたい、喜んでいる、満足している、ナーバスになっている、これでいいとは思っていない、残念である等)が相手に伝わることが大切です。

逆に、アメリカ人やイギリス人のような英語ネイティブのようなアクセントで話せることはとくに大切ではありません。

こちらで日本アクセントの英語話者の方をご紹介、推奨しているのは、この段階で過度にアメリカアクセント、イギリスアクセント(他にはカナダアクセント、オーストラリアアクセント)といったネイティブ英語話者のアクセントを目指しすぎると、自分の気持ちを自然に表現できづらくなってしまうからです。

私たち日本人が普段のビジネスシーンで感情表現をしているのは日本語であり、英語のスピーキングも「あえて」日本アクセントにすることで自分の感情をスピーキングの部分部分にいれていくことがより自然にできるようになると思います。

世界でも、近年発音とアクセントは別もの - 発音は正しくすべき、一方でアクセント(アメリカアクセントの英語、イギリスアクセントの英語、インドアクセントの英語、ケニアアクセントの英語、日本アクセントの英語、中国アクセントの英語)は個性という考えが主流になってきています。

筆者自身は比較的最近(2022年のはじめくらい)にそれに気づき、そこから意識して一度仕事での英語はかなり日本アクセントにふりきることで肌感それまでの倍くらいは言いたいことを言いたい表現・言いたいトーンで伝えられるようになったと感じ、一度日本アクセントのもとで英語でで言いたい表現で伝える部分、感情表現を自然にすることに慣れたうえで、また最近少しずつネイティブのアクセントもとりいれ始めているところです。

初級と中級の水準の差は

ビジネス英語習得においてはゼロから基礎レベル、基礎レベルから初級、初級から中級、中級から上級、上級からネイティブレベルへの以降の中で一番大変と思われるのは、初級から中級への遷移です。

その一方で、スピーキングの仕方は初級と中級でほぼ同じと上記で書きました。

では初級と中級の大きな違いはどこでしょうか。

初級と中級の違いは、以下のテーブルの通りです。

初級で必要なリスニング力は「日本企業で公用語は英語になった(ただし役職員のマジョリティは日本人)」という状況で問題なく英語を聞き取れれば問題ないというものですが、これが中級になるとリスニングについては求められる水準が別次元になってきます。

英語で行う重要なM&Aの交渉やビジネス訴訟の責任者としてでた会議で、相手の言っていたことを聞き逃していたということは許されないからです。

具体的には、以下の授業の動画で教授が何度か学生に質問するところがありますが、そこでもし指名されたのが自分だとしても自分の意見を英語ですらすら言えるかが中級のリスニング力に達したかのリトマス紙になります。

または、以下の高校生の模擬裁判の動画で事実としてどういうことがあって彼らは何を争点として争っているのかを理解できるかも中級のリスニング力に達したか確認できるリトマス紙になります。

中級のスピーキングについては、洗練された表現でなくてもよいし日本アクセントでも全く問題ないので、これらのネイティブ英語話者の会話にはいっていって1語1語が相手に正確に伝わる発音で、言いたいことが正しい文法できちんと論理的に伝わっていることが重要です。

実務上の中級到達のリトマス紙は、(利益が自分たちサイドと相反しておりピリピリしている)討議の相手が(単語がききとれない、文章が意味をなしていないというような言語上の観点から)「I didn’t understand what you were saying.」とマウンティングしてこないことです。

上級で到達したい水準は

重要なM&Aの交渉やビジネス訴訟の責任者も務められるような中級ビジネス英語の上は、企業エグゼクティブが身に着けておくべき上級ビジネス英語です。

リスニングについては中級で必要な水準に達しているはずなので、中級と上級にそれほど大きな違いはありません。

一方でスピーキングについては、中級よりも「洗練度」が求められてきます。

企業エグゼクティブについては、重要な局面で話している内容がメディアで報道されて不特定多数の人がそれを視聴することになり、その際の印象が会社のブランドイメージとなる可能性があるからです。

「洗練」とは、中級と比較してより洗練された表現を用いることができること、言いたいことをピンポイントで表現する重要な単語を選ぶことができること、アクセントもこの水準になるとネイティブ英語話者の水準に近づいていることが2024年現在は求められるようになってきていると思います。

到達したい英語スピーキング水準の例は、2024年6月現在も米国での状況が予断を許さないTikTok社の周CEOの、2023年の米国国会での公聴会での質疑応答の動画です。(周CEOはシンガポールご出身なので英語のノン・ネイティブ話者ではありませんが、アメリカアクセント、イギリスアクセントとは異なるということからこちらで例としてご紹介しています。)

求められるポイントの詳細、そこに到達するための学習ポイントはまた別の記事でご紹介します。

上級到達の先は

上級にまで到達すると、あとはネイティブ水準に達するのみです。

上級とネイティブ水準は、スピーキングもリスニングもそれほど大きな差はないと考えられます。(筆者自身もまだこの水準に達していないため、想像にはなります。)

ネイティブ話者の方が上級話者よりも幅広い内容についてボキャブラリーがあると思われ、この差を埋めるくらいがアクションになると思われます。


以上が各ステージで到達しておきたいゴール(マイルストーン)になりますが、こちらのマガジンではそれぞれのステージの学習にかかる時間の整理や勉強法についてもご紹介していきます。

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