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トラウマについて③トラウマを緩和するテクニック

※この記事を読んで過去のトラウマが思い浮かぶ、フラッシュバックが起きてしまい、動悸が激しく辛い、呼吸がしにくく苦しい、と感じたらすぐに読むのを辞めてください。

※過度な動悸や過呼吸になった場合、深呼吸をしてください。

※100%確実にトラウマを緩和できるテクニックはないものだと考えてください。それが自分に合わなければ即座にやめ、他の方法を試してみてください。

~参考文献~

心とからだと魂の癒し トラウマから恢復するためのPTSDワークブック

正しく知る心的外傷・PTSD:正しい理解でつながりを取り戻す

トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること

超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門

トラウマを治す力を強める基本

まずはトラウマを緩和させるテクニックを学ぶ前に、普段の生活で気をつけなければならないことです。

◇トラウマを治すための基本◇

・同じ時間に起きる

・日光を浴びる

・しっかり食べる

・体を動かす

・お風呂に入る(リラックス)

このように規則正しい生活がトラウマを治すために必要な土台となります。

トラウマを治すのに効果的ではないこと

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反対に、下記ような生活習慣が続くと精神不安定につながり、トラウマを治しにくくします。

◇トラウマを治す時にしてはいけないこと◇

・アルコールや薬物

・ひきこもる

・長時間労働

・テレビやゲームに没頭

・むちゃ食い

・リスクの高い行動

・睡眠をおろそかにする

・怒りを爆発させる、暴力を振るう

・自分を責める

・トラウマについて考えたり話したりすることを避ける

・楽しい活動を避ける

トラウマを治すためにできること

トラウマを治すためお基本は冒頭の部分で紹介した通り、「同じ時間に起きる」「日光を浴びる」「しっかり食べる」「体を動かす」「お風呂に入る(リラックス)」などの、規則正しい生活習慣を続けることが大切です。

これから紹介するものはトラウマを緩和するテクニックや、フラッシュバックの対処法を詳しく説明していきます。

リラクセーションと呼吸


リラクセーションと呼吸法を身に着けることにより、情緒、心理面の安定を図ります。

具体的な効果としては気分の安定、パニックのコントロール、不安症状の緩和、過呼吸の予防などがあります。

私たちの身体は、浅く早い呼吸をしている時や息を吸ったときに、交感神経が刺激され興奮が高まった状態になります。

反対に、深く穏やかな呼吸をしているときや息を吐くときに、副交感神経が刺激され安定した状態になるのです。

このように、呼吸の仕方次第で自律神経の働きが変わるため、「意識的に呼吸を変えることで自律神経のバランスを調整し、トラウマを緩和していく」のがこの項目の重要な部分となります。

リラクセーションや呼吸法を学んでいくときに分かりやすく、基本的なものは瞑想です。

◇初心者の瞑想法◇

①できるだけ静かなところで座る(座り方は何でもいいが胡坐か結跏趺坐という座り方がおすすめ)

②背筋を伸ばし肩を落としリラックス

③目を閉じても開けてもOK(開ける場合は一点に固定)

④3分間、呼吸を感じる

この瞑想の間、「今日の晩御飯は~」「この次の予定は~」のように呼吸以外に意識が向いてしまうはずです。

瞑想の途中で意識が呼吸以外に向いてしまっても、それに気づき、意識を呼吸に戻す作業を繰り返しましょう。

まずはこのたった3分間、自分の呼吸だけに意識を向けることがいかに難しいかを知ってください。

瞑想を続けるとだんだんと意識のブレが減ってきますが、効果が出てるのを感じるのが難しく、続かずにめげてしまう人もたくさんいます。

まずは3分瞑想から始め、それを3か月から半年続けてみてください。

その期間の中で慣れてきたら瞑想時間を3分→5分→10分と少しずつ長くしていきましょう。

最終的な目標は一日30分の瞑想が習慣になることです。

瞑想の目的はそれた意識に気づき、意識を今(呼吸)に戻すことにあります。

どういうことかといいますと、「瞑想は自分の意識をコントロールしようとせずに、今に意識を向けることで過去や思考に囚われず、意味ある行動をとれるようになることを目的としている」ということになります。

トラウマを呼び起こす引き金を知る

トラウマを呼び起こす引き金とは、ある出来事にまつわる何かの一部分で、それが現実に入り込んできて過去の出来事を思い出させるものです。

引き金はトリガーとも呼ばれ「Aをしたから、Bが起きてそれがトラウマとなった」この文でいう、Aの部分のことです。

引き金に反応すると副腎が活性化し、嫌な記憶や不快な感情、フラッシュバック、不安、恐怖がよみがえってきます。

トラウマを治そう、緩和したいと思ったとき、まずは引き金にはどんなものがあるのかリストを作ってみてください。

他にも「日記に書く」「絵に描く」など、自分の引き金となるものを表現することで、避ける方法や無力化する方法や緩和する方法を事前に計画できます。

次の項で説明するエクスプレッシブ・ライティングで詳しく説明いたします。

書く(エクスプレッシブ・ライティング)

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※注意 過酷で大きなトラウマを抱えている場合、再度トラウマを与える場合があります。

エクスプレッシブ・ライティングとは1980年代に生まれた心理療法で、「自分が体験したネガティブな経験を包み隠さずに書く」というテクニックになります。

エクスプレッシブ・ライティングはストレス対策の筆頭で、数週間から数か月でうつや不安が改善し幸せな気分になる効果があります

自分がストレスと思うことをどんなに小さいことでもいいのでノートに書きます。

そのトラウマのこと1つを4日間でも、それぞれ違うトラウマでもいいので、1日20分、4日間ほど続けてみてください。

慣れてきたら、「本当に自分の心の奥にしまわれていた出来事」「そのストレスが自分に与える影響」や「友人に与える方法」も書き、「書き終えたらそれにどんな意味があるのか」、「書き終えて何を感じるのか」も書くようにしていきましょう。

書くことで気持ちをクリアにして、自分のストレスにはっきりした形を与えるということが重要です。

フラッシュバックの対処

フラッシュバックとは過去の記憶が現在の記憶に混入してきて、その出来事が実際に今ここで起こっているかのようになることを言います。

フラッシュバックは、トラウマになった出来事が突然よみがえったり、生々しい記憶で、強い感情を伴うもので、一瞬の場合もあれば、一部始終がよみがえることもあります。

フラッシュバックはあなたに実際にダメージを与えるものでも、記憶を策すものでもなく、一時的に”今”から思考が離れ過去に戻ってしまうものです。

瞑想は”今”から離れてしまった意識を”今”に戻すためのトレーニングとも言えます。

よってフラッシュバックを緩和させたい場合は、普段の瞑想トレーニングが役に立つでしょう。

◇フラッシュバックを思い出し、書いていく

ここでもエクスプレッシブ・ライティングのテクニックは有効なものとなります。

・自分に起こったフラッシュバックは、いつどんな時に起こったのか

・これまでに同じようなフラッシュバックはあったのか。それはいつどんなときか

・フラッシュバックにはどんなにおいや音や感覚があったか

・実際に起きたトラウマはどんなにおいや音や感覚があったか

・実際のトラウマとフラッシュバックにはどんな相違点、類似点があるか

・トラウマを抱えたときと今の生活ではなにが違うか

・支えになってくれる人はいるか

・フラッシュバックが起こった時、どんなことをすると気持ちが楽になるか

・そのフラッシュバックはただの古い記憶で、今の自分を危険にさらすものなら、自分にどのような言葉をかけるか

・フラッシュバックから現実に戻るためにどんなことができるか

◇フラッシュバックにその場で対処する方法

・繰り返し強く瞬きする

・体の姿勢を変える

・深呼吸する

・想像力を使い心の中で安全な場所に行く

・現実で安心できる場所に移動する

・その場で活発に動く

・自分の周りにあるものの名前を声に出して言う

・安全を感じられるものを握りしめる

・心が落ち着く音楽を聴く

・手をたたく

・足踏みする

・冷たい水で顔を洗う

・フラッシュバックの内容を書きだす

脱フュージョン

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◇フュージョンとは何か

まず初めにフージョンについてお話します。

フュージョンとは「自分の中にある思考と実際の出来事が混同してしまっていること」です。

簡単に言いますと、実際にはそうではないかもしれないのに「自分は○○だ」と決めつけてしまっている状態です。

自分の思考は真実な時もあれば、間違っている時もあるのです。

◇フュージョンしてしまっている場合

・思考を今ここで実際に起きた現実のように感じる

・思考を真実であると信じ込む

・思考を真剣にとらえ、最大限の注意を向ける

・思考を命令と考え、自動的にそれに従う

・思考を賢い、全知であると考え従う

・思考に脅迫されている

・「自分は○○だ」という思考を信じている

トラウマを思い出すことによって、「自分はダメな奴」という考え、思考になってしまうことは自分にとって何も役に立ちません。

このように自己批判の思考は、行動の動機にはならず、罪悪感、怒り、うつ、不安などの感情を起こさせてしまいます。

◇脱フュージョンとは

言葉の通り「フージョン状態を脱すること」、これを脱フュージョンと呼びます。

勘違いしてはいけないことは脱フュージョンは不快な感情やイメージを取り除いたり、コントロールするようなテクニックではありません。

脱フュージョンとは「自分の思考を観察し、それを単なる言葉や絵として捉えることで注意を反らし、豊かな人生を送るには何をすればいいのかに注意を向けることができるようにするためのテクニック」です。

のちに紹介する”脱フュージョンのテクニック”は一般的なスキルと変わらず、練習すれば練習するだけうまくなっていきます。

一日に5回から10回試してみましょう。

その思考は自分のためになるかという問いが大切です。

◇脱フュージョンしている状態

・思考やイメージが単なる言葉、絵以上のものではないことを理解している

・この言葉や絵が現実の自分を傷つけることはないと知っている

・それらの思考やイメージが自分の助けになる場合だけ注意を向ける

◇脱フュージョンのテクニック

『観察法』

観察法は「自分は○○だ」という思考を「自分は○○だという思考を持っている」という思考に変換します。

失敗したイメージが思い浮かぶ場合、「自分は○○で失敗したというイメージを持っている」という思考に変換します。

失敗したイメージを切り取って名前を付けると、より効果的なテクニックになります。

『不真面目法』

①トラウマやネガティブな思考に十秒間注目してみましょう。

②その思考は自分にどのような影響を与えているか観察します。

③アニメの濃いキャラクターを選びます。

④トラウマやネガティブな思考を思い出し、そのキャラに自分の思考を喋らせてみてください。

練習後ネガティブな思考はそれほど真剣に捉えなくなっているはずです。

クスクス笑っている自分に気づくかもしれません。

人生における重大な問題を軽く扱ってしまうように感じる場合はこのテクニックは適切ではありませんので注意してください。

『ビデオクリップ法』

トラウマやフラッシュバックのイメージを思い浮かべてみましょう。

それを想像の中でテレビの画面に映し出します。

動いていないイメージなら、回転させたり、上下を逆さにしたり、横に引っ張ったりしてみてください。

それが映像として動いているなら、スローモーションにしてみたり、倍速にしたり、白黒にしてみてください。

「ビデオクリップ法」のテクニックはトラウマを消し去ろうとせず、無害なものとして見ることができるようになるのが目的です。

これを1回しても、まだ恐怖や不安が頭を占領する場合、一日5分ほど毎日やってみましょう。

消去学習

※注意 過酷で大きなトラウマを抱えている場合、再度トラウマを与える場合があります。

これをしたら失敗するという、行動とネガティブな現象をつなげて覚えているから、恐怖心の反応が起きてしまうのです。

消去学習とは「○○をしたら失敗する」というものを「○○を体験しても失敗しない」という失敗しないような体験を続けることで、毎回いやな結果を及ぼすわけじゃないんだよということを脳に教え込むテクニックとなります。

自分のトラウマとなったトリガー(失敗の元)を想像してみましょう。

恐怖のきっかけとなるトリガーを探して、そのトリガーだけを想像してください。(失敗体験は想像しない)

失敗のきっかけを想像すると恐怖を感じるけど、実際は何も起きないという体験ができます。

これを何度もやるだけでトラウマを乗り越えることができるのです。

自分の失敗のトリガーを想像するだけでパニックや過呼吸になる人は、自分ではない誰かに置き換えて想像してみてください。

失敗の思考から少し距離をとってあげることで恐怖は軽くなります。




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