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クライマーの生理学「タンパク質について③タイミングと量」

この記事は

◇タンパク質はどれだけとればよいのか

◇プロテインの摂取タイミング

◇BCAA、EAAの摂取タイミング

これらのことが分かります。


~参考文献~

Protein intake for athletes and active adults: Current concepts and controversies B. Egan

・ Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men

Evaluation of protein requirements for trained strength athletes

スポーツ栄養学 科学の基から「なぜ?」のこたえる(寺田新)

タンパク質とアミノ酸 (山本義徳)

日本人の食事摂取基準(2020年版)

1.たんぱく質はどれだけ摂取すればいいのか

クライマーやトレーニーのように強度の運動をする人たちは、一般人と比べて多くのタンパク質を摂る必要があります。

では、僕たちはどれほどのタンパク質を摂ればよいのでしょうか。

まず、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には成人の推奨量は0.8g/kg 体重/日となっています。

高強度のトレーニングをする人たちは一般人の1.5倍から2倍の量を飲めば効果が高まります。

さらに付け加えると、それ以上のタンパク質の摂取はタンパク質合成速度が変わらないこともわかっています。

これらのことを少しまとめますと、高強度の運動をする人が一日に摂取するたんぱく質の量は、体重1㎏あたり1.4g~2gを目安にするといいと思います。

60㎏の人なら、一日84g~120gになります。

卵で考えると約20個で120gですね。

タンパク質を摂りすぎると、腎臓が悪くなるということが言われることがありますが、それを証拠とする研究はなく、もともと腎臓の病気を持っていない限り過剰摂取の問題はありません。

日本人の食生活的にタンパク質を摂りすぎることはほぼないでしょう。

2.タンパク質を摂るタイミング

登る前のタンパク質

筋肉の分解は登り始めた時からすでに始まっています。

分解時にアミノ酸を体内に吸収させることができれば、より効果的にアミノ酸が合成されるのです。

そのことを考えると、登り始める時には血中アミノ酸レベルを高くしておかないといけません。

登り始める前にタンパク質を摂らなければならい、ということです。

一回のタンパク質摂取で一番効率が良いのはタンパク質20g~40g。

これを目安に摂取し、トレーニング開始時に血中アミノ酸レベルをピークにもっていきましょう。

「登る前に普通の食事でタンパク質を摂る場合」

普通の食事では血中アミノ酸レベルは緩やかに上昇し、ピークに至るまで5時間以上はかかります。

さらに食物によっても消化吸収速度が違い、一番吸収されやすい時間にアミノ酸レベルをピークに持ってくる調整が難しい為、がッと食べてから登るのはオススメしません。

何よりも体が重くなりパフォーマンスが落ちます。ウェイトトレーニングしたい方はどうぞ。

「登る前にプロテインを飲む場合」

ホエイプロテインはの場合、飲んで約60分後に血中アミノ酸レベルがピークに達します。

よって、登る30分~1時間前にプロテインを飲むといいでしょう。

運動開始とともに血中アミノ酸レベルが高まるため効果的です。

「登る前ににEAA,BCAAを飲む場合」

これらは飲んでから15~30分程で血中アミノ酸レベルがピークに達します。

アミノ酸は血中アミノ酸レベルが急激に上昇し、すぐにおさまる特徴を持ちます。

アミノ酸は登る直前に摂取し、短時間のトレーニングに効果的です。

ゴールデンタイム

前述していますが、トレーニング開始時から筋肉の合成と分解は同時進行していて、この合成反応が高いうちにタンパク質を摂ることで筋肉の肥大効果がより高くなります。

この、合成反応が高まるタイミングは、運動終了から数時間の間です。

これをゴールデンタイムと呼びます。

筋肉は「また同じダメージを受けた時に筋肉が壊れてしまわないようにする」ために、より強くなろうとする作用が起き、筋肉が大きくなるのです。

トレーニング直後にプロテインを飲んだ場合と、トレーニング2時間後にプロテインを飲んだ場合を比べた結果、トレーニング直後にプロテインを飲んだグループの方が筋肉量が増えたようです。

トレーニング後数時間を過ぎてからのプロテインは意味がないのかというと、そうではありません。

筋肉の損傷は36~72時間ほど経つと回復し終えます。

よって、トレーニング後2日間は継続的にタンパク質を摂取しておいたほうが良いのです。

■おすすめの摂取方法

体重60㎏の方が1日に150g以上のタンパク質を摂ると仮定し、そのうちの50g以上は3食普通の食事から、それ以外の100gをプロテインで飲む場合…

朝起きて20g、トレーニング前に40g、トレーニング後に40g、就寝前20gというタイミングに割り振ることで体内の血中アミノ酸濃度が一日を通して落ちず、上手くタンパク質を合成してくれるでしょう。

特に寝てる間にも筋肉の修復は行われているため、寝てる間も血中アミノ酸レベルを高めておくために、就寝前、起床後のタンパク質も大切になります。

大切なのは筋肉を分解させないことです。

血中アミノ酸レベルが高いときは一時間当たりに体内の1%のタンパク質が分解されますが、血中アミノ酸レベルが低い場合、1時間当たり5%ものタンパク質が分解されるという研究結果もあるそうです。

■EAA,BCAAのおすすめの飲み方

EAA,BCAAは体への吸収が早く、約15~30分で血中アミノ酸レベルが最大になります。

これをふまえると短時間のトレーニングの場合は、トレーニング30分前。

長時間トレーニングする場合、トレーニング中に少しずつ飲むようにすると良いです。

■最高の摂取方法

一日中タンパク質を摂取するのが面倒くさく、コスト的に厳しい方は以下のタイミングで摂取しておけばまわりのクライマーとの差がつくはずです。

トレーニング1時間前にホエイプロテインを飲み、血中アミノ酸レベルを高く維持しておき、トレーニング中にEAAを飲みます。

このタイミングで飲むことにより、血中アミノ酸レベル濃度が急激に下がることなく、トレーニング後数時間にわたり合成させることができるのです。

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