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芸人が書いた好きな本5選

芸人さんが書いた本を読むのが好きです。
そんな僕が今までに読んだ芸人さんの本の中から、特に好きな5冊を今回みなさまにおすすめさせていただきたいと思います。
もし気になる本があったら手に取っていただき、読んでもらえたら嬉しいです。

①小沢一敬「でらつれ」
お笑いコンビ・スピードワゴン小沢さんの書下ろし小説です。
おすすめの本を聞かれると、僕は毎回この一冊を強く推薦します。
それぐらい大好きな一冊です。
でらつれは「恋愛」をテーマにした16話の短編小説で構成されています。
スピードワゴンの漫才を作っている小沢さんらしく、どの物語も「フリ」と「オチ」がしっかり聞いており、ラストシーンは予想外の展開ばかりで「小沢さんにしてやられたな~!」と思わず唸ってしまいます。

僕が特に好きな物語は1話目の「ときどき海、どきどきキス」です。
中学生の頃に学校をサボって海をよく見にきていた同級生の男女二人が、20年後に偶然その海で再会するというストーリーです。
ラストシーンが本当にせつなくて、胸が締め付けられるような甘酸っぱい物語になっています。

あとは4話目の「あいうえお恋文」も好きです。
仲のいいカップルの会話劇なのですが、その男女の会話の頭文字だけをつなげて最初から読み返してみると・・・という話です。
まさかそんな仕掛けがあるとは思ってもいなかったし、頭文字をつなげて完成した文章の内容に背筋が凍り、思わず「怖っ!」と叫んでしまいました。

どの物語にも予想外の強烈な「オチ」が待っていてとてもおもしろいです。
予想通りに終わる物語は一つもありません。
毎回ラストで大どんでん返しが待っています。
超おすすめの本なので、まだ読んだ事がない方には絶対に読んでほしいです!


②ユウキロック「芸人迷子」
元お笑いコンビ・ハリガネロックのユウキロックさんが書いた本です。
第1回M1グランプリで準優勝を果たした人気漫才師ハリガネロックが、その活動を終えて解散するまでの日々を赤裸々に綴った一冊です。

『僕が尊敬する漫才師が書いた、血だらけの告白がここにある。
何かを愛することは残酷なほどの痛みを伴う。だからこそ、尊い。
後悔や情けなさ、誰かの嘲笑さえも飲み込んだ日々は、
その尊さは、誰が何と言おうとも揺るがない。』
又吉直樹

これは芸人迷子の帯に書かれたピース又吉さんのメッセージです。
「血だらけの告白」という言葉がまさにこの本にぴったりの一言と言えます。
とにかく生々しいです。
心臓をえぐられます。
無傷では読み終えられませんでした。
読んでいて胸が痛くなる部分も多々ありますが、漫才に命を懸け続けたユウキロックさんの生きた証がこの一冊に詰まっています。

相方と少しずつすれ違っていく様や、再起をかけて挑んだ「THE MANZAI」での苦悩などを、包み隠さずに書いています。
煌びやかな舞台で活躍していた人気芸人が、舞台裏ではこんなにも悩み、苦しみ、葛藤していたのかと思いしらされました。
そんなユウキロックさんが漫才に人生を捧げて駆け抜けた日々を、是非この本で確認してほしいです。
芸人好きなら100%胸に響く本だと思います。



③増田英彦「ますだおかだの漫才詩」
お笑いコンビ・ますだおかだの増田さんが書いたポエム集です。
「部活動と恋愛」をテーマにしたポエム集なのですが、どれも胸がキュンとなるような素敵なポエムばかりで、読んでいてうっとりしちゃいます。
野球部や吹奏楽部など、合計43個の部活をテーマにした恋のポエムが収められています。
僕が特に好きなポエムは、美術部のポエムです。

美術部の恋
「12色の色鉛筆も24色の絵具も必要ない もう僕の心は君一色」 

どうですか?
とっても素敵な文章じゃないですか?
このような胸がときめくポエムから、思わずクスッと笑ってしまうポエムまで、色とりどりのポエムがこの本で味わえます。
長文の小説やエッセイを読むのが苦手な方には、こちらの一冊をおすすめします。
短文のポエムばかりなので、あっという間に読み終わります。
あっという間に読み終わりますが、その内容はとても濃くて胸にずっしりくるので、騙されたと思って読んでほしいです!
きっと僕がこの本を読んでときめいたように、あなたもときめくはずです!


④劇団ひとり「陰日向に咲く」
劇団ひとりさんが書いた大ヒット小説です。
もはや説明不要、不朽の名作ですね。

・ホームレスを夢見る会社員
・売れないアイドルを一途に応援する青年
・合コンで知り合った男に遊ばれる女子大生
・老婆に詐欺を働く借金まみれのギャンブラー
・場末の舞台に立つお笑いコンビ

このような冴えない人生を送る人物たちを主人公にした5つの物語からなるオムニバス小説です。
どの物語も完成度が高くて単体としても面白いのですが、一つ一つの物語が微妙にリンクしていて、登場人物たちが5つの物語の中で交差する瞬間があるのですが、それがまたいいんですよね。
「あっ!この登場人物、さっきの物語の主人公じゃん!」みたいな感じで、他の物語にもこっそり出てくるんです。
そんな遊び心のある仕掛けもあったりして、読んでいてとても楽しいです。
プロの小説家顔負けの文章力とストーリーで、誰もが楽しめる内容となっていると思います。
芸人の本をおすすめする時の、鉄板中の鉄板の一冊です。


⑤松本人志「遺書」
ダウンタウンの松本さんが書いた「お笑いの教科書」ともいうべき一冊で、250万部以上も売れたベストセラーです。
松本さんのお笑い論がたっぷりと読めます。
僕がこの本を初めて手に取った時、本当に衝撃が走りました。
当時まだ子供で、世間の事なんて何も分かっていなかったのですが「お笑い芸人てすごい職業なんだな」という感覚だけは、強烈に頭にインプットされたのを覚えています。
そしてその考えは大人になった今でも変わりません。
遺書が発売されてから芸人に対する世間の目も変わり、確実に芸人の地位が上がった気がします。
芸人のステータスが上がったのは間違いなく松本さんのおかげだし、この遺書がきっかけと言っても過言ではないと思います。

遺書の中で松本さんが、おもしろい人の三大条件として「ネクラ・貧乏・女好き」と挙げています。
ネクラな人がおもしろいというのは、今でこそ「人見知り芸人」という言葉がクローズアップされ、そういった陰の部分を持つ人間が実はおもしろいという事が世間に浸透していると思いますが、当時は「お笑いをやる人はクラスのど真ん中にいて、明るくみんなを笑わせる人がなるもんだ!」みたいな風潮があったため、この意見には目から鱗でした。
なぜネクラな人間がおもしろくて、明るい人間がおもしろくないかは本書の中に詳しく書かれているので、是非一読いただきたいです。
とても分かりやすく、そして論理的に書かれているので、誰もが納得できるはずです。

そんな松本さんがお笑い界で認めている4人の芸人についても遺書では触れています。
その4人とは、島田紳助、志村けん、大竹まこと、浜田雅功です。
当時の松本さんは今よりトゲトゲしくて、他人を褒めるイメージがあまり無かったので、そんな松本さんが他人を褒める話をしているのは貴重だし、それぞれを認めている理由もお笑いファンとしては非常にしびれる内容で興味深かったです。

現在活躍されている芸人さんの多くが、この遺書に影響を受けたと口にしています。
もちろん僕も多大なる影響を受けました。
このnoteを書くために遺書を読み直してみましたが、その内容は色褪せてないし、お笑い好きのバイブルに変わりはありません。

だいぶ昔に発売された本なので、もしかしたら今のお笑いファンの中には遺書を読んだ事が無い方もいるかと思い、最後にこの本をおすすめさせていただきました!


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