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小規模な組織でもできるウェビナーの企画・集客方法について

毎度おなじみ(?)DoubleVerify社の小松さんから始まった#SaaSLovers(バトンブログ企画)Day16を担当させていただくパイオニア株式会社の大野です。

前職のブライトコーブに所属時も、オフラインのセミナーを企画・開催しており、2020年頃(コロナ禍)からは毎月1〜2回ペースでウェビナーを開催してきました。2022年にパイオニアへ転職してからも、ウェビナーを定期的に開催していますが、毎度200名を超える方に参加頂いています。今回は、どのように小さな組織でもウェビナーを企画・集客するのかについて寄稿します。

SaaS企業が新規リードの獲得やリードのナーチャリングをするにあたって、ウェビナーを開催することが有効なことは知られています。しかし、これを実践し、結果を残すことにお悩みの企業は以外に多いようです。

大きく分けると、ウェビナーのフェーズは以下の4フェーズに分けることができると思いますが、多くの場合①(企画)フェーズで止まってしまうケースや、②(集客)に悩みをお持ちの方が多いように思います。

①企画
②集客
③開催
④アフターフォロー

人が少ないから、予算がないから上手くいかない等の意見を頻繁にお聞きします。しかし、私はこれまで全体で2〜3名のマーケティング組織で、それほどの予算(0円〜15万円程度)を使わず集客してきました。誰でもアイデアと行動力次第で集客できるウェビナーを企画・集客することができますので、今回は実務家としてノウハウを共有したいと思います。

ウェビナーを企画するうえで大切なポイント

まず最初に、ウェビナーを企画する上で大切なポイントは、自社のプロダクトにあまり囚われすぎないことです。どのようなフェーズの見込み顧客に向けてウェビナーを開催するかによって、このポイントの有効性は変化しますが、認知〜検討フェーズの顧客は往々にして、あなたのプロダクトを知りたい訳ではなく、見込み顧客が持つ課題に対する解決策を知りたいためにウェビナーに参加している場合が多いでしょう。

集客において大切なポイントは、課題を解決してくれるコンテンツに人が集まるという事実です。社会課題、組織課題、経営課題など様々な課題がありますが、課題感が強ければ強いほど注目度は高い傾向にあります。大抵の製品やサービスは、何かしら業界における課題を解決するために販売されているものでしょう。ウェビナーを企画する際には、その製品やサービスの説明に軸足を置かず、利用されることが想定される業界の課題を中心に構成することをお勧めします。

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例えば、自社のソリューションが太陽光発電パネルだとしましょう。この場合、太陽光発電パネルの機能や耐久性、実績などに軸足を置くのではなく、日本におけるカーボンニュートラルの実情や、取り組み状況をトピックにウェビナーを企画してみてください。きっと、カーボンニュートラルについて課題を持つ会社のうち何社かは、CO2を抑制できる太陽光発電パネルにも興味があるはずです。より範囲を広げるのであれば、エネルギーのクリーン化や気候変動の抑制を謳う、SDGsやESG経営をテーマに企画しても良いでしょう。企画にあたっては、法改正(例:働き方改革関連法案)や社会潮流(例:脱ハンコ)など、多くの方が直面する課題であればあるほど、注目度が高いウェビナーになることを考慮してください。

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ウェビナーのトピックが決まれば、次はどのような登壇者を用意するか検討する必要があります。結論から申すと、小規模な組織の場合に一番良いのが企画者自身が登壇することです。登壇者の数が多くなれば多くなるほど、企画者の手間は増えていきます。社内の他部門、社外のゲストスピーカーを登壇者とする場合、各種日程の調整・企画の趣旨説明など、思いのほか手間が増えていきます。企画者自身が登壇することで、スピーディーにウェビナーを企画・実行することができるでしょう。逆を言えば、登壇者自身が登壇資料を作成する手間が発生しますが、登壇資料を作成することは、マーケットを理解することや、自分の持つ知識や考えを整理・アウトプットする非常に良い機会といえるます。面倒などと思わずに、自身の視座を高めるためにも是非チャレンジしてみてください。

企画者自身の登壇がなにかしらの理由で難しい場合は、社内外の有識者や専門家に依頼するのが良いでしょう。集客を考慮した場合、社外の有識者・専門家に依頼するのが最適と考える方も多いのでしょう。しかし、個人的な見解では、社外の有識者・専門家を招いて開催する場合と、社内のリソースだけで開催する場合の集客数はそれほど大きく変わりません。よほどの有名人ではない限り、前者を100だとした場合、後者は70〜80程度です。集客という視点では、手間がかかる割には期待するほど数値の差はないでしょう。しかし、参加者の満足度は前者の方が高くなる場合が多く、自社ソリューションの導入企業を登壇者として招聘するのも良い手段です。参加者の満足度と、企画者の手間を天秤にかけて企画してみてください。

共催ウェビナーの企画について

他社と共催ウェビナーを開催することは、集客や参加者の満足度の点で最も有効かつ簡単な手法です。共催ウェビナーはお互いが持つリードの交換会とも言えますが、注意すべき点があります。それは、ターゲットする業界や職種についてです。

例えばA社とB社ではともに製造業向けのSaaSを提供しているとします。両社のSaaSはシステム連携ができるようになっているので、共催ウェビナーを開催することにしました。しかし、A社の顧客は情報システム部門が多く、B社ではマーケティング部門の顧客が多いとします。この場合、集客できるのは以下図1の範囲です。図2を期待されるかもしれませんが、そのような結果になることは少ないでしょう。言い換えれば、非常にターゲティングされた参加者ともいえますので、量よりも質を求められる場合は有効なウェビナーといえます。

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次の例でも、C社とD社がともに製造業向けのSaaSを提供しているとします。両社のSaaSはシステム連携ができないですが、共に顧客は人事部が多くを締めているとします。この場合、集客できるのは以下図4の範囲です。システム連携ができた場合は図3となりますが、連携できる・できないで集客数に大きな差はないでしょう。これも、どのようなフェーズの見込み顧客に向けてウェビナーを開催するかにより変化しますが、業種や職種が共通している場合、参加者は共催両社のシステム連携や共通項を思いのほか気にしていないということをご理解ください。こう考えていただくことで、共催先を探すハードルも低くなるのではないでしょうか。

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そのほかに注意すべき点として、お互いの期待値コントロールを忘れないようにしてください。前述の通り、共催ウェビナーはリードの交換会です。交換するリードの数に大きな差があると不公平感が生じ、両社の関係が悪化しかねません。自社が集客できる参加者の数を、企画時点で正しく共催先に伝えるよう心がけてください。

ウェビナーで集客をするうえで大切なポイント

ウェビナーの集客数は、企画者にとって最も重要なKPIの一つです。そのため、開催にあたって集客数を不安に思われている方も多いでしょう。しかし、企画内容を決定した時点で集客数は概ね決まっていると言っても過言ではありません。そのため、以下には基礎的な集客方法のみを記載しています。それほど、企画内容が重要であることを念頭に置いたうえで、結局のところ重要になってくるのが5W1Hです。

ウェビナーのみならず、全てのマーケティング施策に共通していえることですが、集客に際して重要なのは「何(What)」を「誰(Who)」に「どのように(How)」案内をするかです。企画時点で「なぜ(Why)」、「何」と「誰」は既に明確なケースが多いと思いますが、「誰」が「どこ(Where)」にいるかを把握することが集客への早道です。ターゲットとなる見込み顧客が、どのような展示会やイベント、メディアに接触し情報を得ているのかを把握していることで、手段も明確になってくるでしょう。

例えば、既存顧客と会話する・訪問する際に、見たことがない業界紙が机に置いてあるかもしれません。また、既存顧客や見込み顧客が参加している団体やコミュニティはどのようなものでしょうか?。イベント開催後のアンケートなどで、「普段、どのように情報収集をしていますか?」という質問項目を設けるだけで、思いもよらぬ情報を得れる場合もあります。自社のもつハウスリストでは、新規リードの獲得という観点で限界があります。顧客を理解するうえで、「どこ」の調査は普段から怠らないように努力してください。

次は「どのように」集客をするかですが、最も多く利用される手段は、自社ウェブサイトでの告知と自社ハウスリストを対象としたメール配信でしょう。ただ、単に自社ウェブサイト上でイベントの概要を記載しても、訪問者に気づいてもらえない場所に告知されていることが多いため、製品トップページ等でモーダルやポップアップを利用し気づいてもらえる工夫をしてみてください。また、イベントの概要が視覚的に想像できるようなバナーは必ず用意しましょう。

ハウスリストを対象にしたメール配信では以下の図のように、メールを開封 ⇒申込みページに遷移 ⇒申込みフォームを入力 ⇒ウェビナーに参加 と、メール案内からウェビナーに参加まで4回のコンバージョンポイントが存在します。なぜ、自社のウェビナーで集客ができないのか...とお悩みの方の大半が、これだけのコンバージョンポイントが存在していることを理解していません。図にも記載の通り、仮に4,000名のハウスリストにメールで案内をした場合、ウェビナーに参加するのは20人です。メール配信という手段で集客する場合、この20人という数字を増やす方法は以下の2通りしか存在しません。それは、ハウスリスト(母数)の数を増やすか、各コンバージョンポイントのコンバージョンレート(CVR)を上げることです。これは全てのマーケティング活動でも共通する基礎知識ですが、CVRを把握し、この2通りの方法を常に意識して集客してください。

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最後に「When(いつ」です。こちらはイベントの企画時に考慮すべき重要な事項です。似たテーマのイベントが他社によって開催されていないかを調査し、企画時点で最適な開催日を検討する必要があります。登壇者の手配やメール配信の日時などを考慮し、余裕のあるスケジュールを計画してください。ウェビナーの開催あたって、あらゆるフェーズでトラブルはつきものですが、余裕のあるスケジュールを計画することで、予期しない自体にも柔軟に対応ができるようになります。

また、集客には十分なリードタイムが必要です。期待する集客数の規模によって変わりますが、開催日の2週間前までに最初のメール案内ができるようにスケジューリングしましょう。そして、ターゲットとなる「誰」がメールを見るタイミングを考慮し、最適な時間にメールを配信してください。

最後に

上記以外にも、「どこ」を起点とした検索・SNS広告を利用した集客方法や、コンテンツシンジケーションなどを利用した集客方法がありますが、今回は割愛させていただきました。また、集客により得れるリードの質ではなく、量にフォーカスした内容となっています。そのため、期待外れと思われた方もいるかもしれませんが、どのような手段を利用する際にも、抑えておくべきマーケティングの基本的なポイントを記載しています。集客にお困りの方は、是非これらのポイントを考慮し実践してみてください。

明日の#SaaSLovers 最終日を飾るのは、インターパーク社COOの高井さんです!皆さんお楽しみに!!

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