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「やくざのお父さん」②

前回、わたしの父の異端さについて記事を書いた。

今回は、その究極形「やくざのお父さん」に登り詰めたエピソードをご紹介する。

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それは妹も中学生になってからのことだった。


妹は運動部に所属していた。
今でも社会人の同好会に所属しているので、スポーツそのものは好きらしい。

運動部で厄介のなのは、やたら面倒な上下関係だろうか。

その上、同級生の半数はヤンキー及びギャルになる地域である。
変なプライドうんぬんどころか、単純に治安が悪かった。


妹が2年生のとき、先輩がプライドを履き違えたことがあった。
下級生にナメられたとキレたらしい。

ここでもしその先輩が何かしたのなら大事にはならなかったのに、そこにしゃしゃり出て来たのが、

あろうことかギャル上がりの保護者だった。
妹の前に立ちふさがり、「下級生の分際で!!!」と脅迫したのだ。


さすがの妹も大人に脅しをかけられれば、ただ怯えることしかできない。
しかも、一緒に責められた友達は容姿にまで蔑みの言葉を浴びせられた。

立派な犯罪である。

妹は泣く泣く帰路に着いた。



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わたしの父には許せないことが二つある。

ひとつ、筋の通らないこと。
ふたつ、愛娘に危害を加える者たち。

もちろん上記の保護者は父の逆鱗を豪快に踏み抜いた。
法がなければ命がなかったくらいのことだ。

父によって、即座に緊急保護者会が召集された。



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保護者会には顧問はもちろん、校長、教頭も集められた。
全て父の思惑である。


会が始まり被害者側から事実確認が行われた。

父はいつも通りガシャガシャと鍵の音をさせながら教壇に立つと、すっと姿勢を低くした。
今回のサムネイルにもなっている、ヤンキー座りである。

そして、

「こうやってうちの娘たちを脅したんだってなア!!!!!」

と啖呵を切ったのだ。

前回お話しした通り、父は身体が大きい。
そしてなにより顔が怖い。


田舎のヤンキーなぞ、所詮狭いヤンキーソーシャルの中で、自分は強いのだと勘違いした中身のそぐわない愚か者である。

そんなやつらが、父がお得意の大きな声で詰め寄られたのだ。
父が怖くて堪らなかったらしい。

直ぐに謝罪をされ、父は圧勝したのである。



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保護者会の次の日、とんでもない噂が学校中に流れていた。

「昨日の◯◯部の保護者会にやくざのお父さんが来たらしい」

否定しようがない。
うちの父です。


こうして父は「やくざのお父さん」という二つ名を手にし、妹は恥ずかしくてたまらないという地獄ができ上がったのである。



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まあこんなことはないと思うが、もしあの時の保護者がこれを読むことがあったならご忠告申し上げたい。

うちの父を相手にしてはいけません…



おしまい

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