徒然日記~『ナイル川殺人事件』

 ケネス・ブラナーの『ナイル川殺人事件』を映画館で見てきた。
 ピラミッドや、アブ・シンベル宮殿、そして古代にそうした文明を育み、王朝の興亡を見守ってきた、ナイル川の風景ーーー
それらを大画面で見られたのが、一番の収穫だろうか。(おい)
 原作は、遥か昔に一度読んだキリで、犯人と動機については、うっすら覚えているだけ。真ん中はすっぱり抜けていた。
「こんなに人死ぬ話だっけ・・・」
と、首を傾げるくらいに。
 まあ、色々とこの作品ならではの追加要素、変更箇所もあるかもしれないが。
 ラストシーンでは、運び出される被害者たちの遺体がミイラのように白い布でくるまれているのが、妙に記憶に残った。

 今回の事件で描かれるのは、様々な「愛」。
 第一の被害者リネットの略奪婚。
 リネットに婚約者を奪われ、追ってくるジャクリーン。
 リネットに未練のある元婚約者の医者。
 ポワロの友人ブークの恋と、それに反対する母ユーフェミアの、息子に対する愛。
 リネットの名付け親と、雇われ看護婦の実は、な関係。
 そして、ポワロ自身の恋人とのエピソードもある。

 今回の事件で、気の毒なのは、リネットと、ユーフェミアだろうか。
 リネットは、悪い人ではないだろうけど・・・親友の婚約者を略奪したり(これについては、ネタバレになるので突っ込まないことに)、幼い頃に人種差別発言をしたり、またメイドのルイーズの婚約破棄に関わっていたり、と本人に悪気はないけれど、無神経とも取れる言動が少なくないように見えた。
 ユーフェミアは、息子の恋に反対していたが、その最愛の息子を失う。事件の犯人を、彼がたまたま目撃していたばかりに。

 見た後の感想としては、『オリエント急行殺人事件』の方が好きかも。

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