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憲法記念日だからこそ憲法と自衛隊を考えてみる

本日は憲法記念日で日本国憲法が思考されてから77年になります。
憲法が施行されてから国内・国際情勢もかなり変わりました。米ソ冷戦とその終結、
地域紛争、対テロ戦争、米中冷戦と目まぐるしく変わり1951年には
警察予備隊が創設され1954年には自衛隊が創設されました。
よく自衛隊は「違憲軍」などと言われますが果たしてその表現は適正なのか検証しました。

◆日本国憲法第9条は侵略戦争とその戦力を否定し、自衛権とその戦力は肯定している。

日本国憲法第9条が放棄した「国際紛争解決の手段としての戦争」とは1928年のパリ不戦条約を
起草したケロッグ米国務長官によれば侵略戦争を意味します。
つまり日本国憲法第9条が禁止した国際紛争解決の手段の戦争」とは
侵略戦争の禁止条項であり、これは世界的にも珍しくありません。
「国際紛争解決の手段としての戦争放棄」条項を持つ国としては
日本以外にイタリア、ハンガリー、エクアドル、アゼルバイジャンがあり
アゼルバイジャンは奇遇にもこの条文を第9条に持つって来ています。
これらの国々が軍隊を保有してるのは言うまでもありません。
そして不戦条約では自衛権の付与もはっきりと明記されています。

https://www.y-history.net/appendix/wh1502-049.html
より引用

そこの条約は「いかなる点においても自衛権の制限もしくは毀損を意味してはいない。この権利は、各主権国家に固有のものであり、あらゆる条約に事実上含まれている。」と表明し

このように不戦条約では自衛権は国家には不可侵の権利であり
自衛権とそのための戦力の保有を積極的に容認しています。
そして芦田修正では第9条第2項に「前項(国際紛争解決の手段としての戦争=侵略戦争の放棄」を
達成するために」との文言を挿入しています。これにより侵略戦争とそのための戦力を
憲法は禁止し、自衛権と自衛戦力はこれを積極的に容認する運びとなりました。
何故芦田均氏がこの文言を挿入したのかは不明ですがこれにより
日本は日本国憲法でも自衛権と自衛戦力の保有が可能になりました。
つまり自衛隊は今も昔も合憲の軍事組織であるという事です。
自民党は改憲提案に自衛隊の合憲か違憲かの論争を引き合いに出していますが
これはナンセンスな話ですでに自衛力合憲論は鳩山一郎内閣の時に
提示されていました。つまり合憲である自衛隊を合憲か違憲かと不毛な論争を
半世紀以上続けていたわけでこれではまともな安全保障論議も進まないわけです。

◆軍隊の名称は必ずしも「軍」である必要はない

しかし自衛隊は「軍」と言えないだろうと言われます。これまたナンセンスな意見で
例えばドイツ帝国時代のドイツ帝国軍はKaiserliche Armeeと呼ばれてました。
これは直訳すると「帝国軍」という意味。
第一次世界大戦後のヴァイマル共和国時代のヴァイマル共和国軍はReichswehrで
直訳すると「国家防衛隊」、現在のドイツ連邦軍はBundeswehrでこれも直訳すると
「連邦防衛隊」となります。ドイツ語でArmeeは軍、wehrは防衛を意味します。
ちなみにナチス政権時代のドイツ国防軍はWehrmacht。直訳すると「防衛の創設」。
その意味でヴァイマル共和国軍やドイツ連邦軍とは全く別の名称になります。
つまり軍隊の名称にわざわざ「軍」という名称をつける必要性はありません。
また連邦軍設置を定めたドイツ連邦共和国基本法第87a条にある軍隊を意味する
Streitkräfteは直訳すると「紛争の戦力」という意味でArmeeと記載されていません。
ちなみに自衛隊はドイツ語でSelbstverteidigungskräfteと翻訳されます。
これは直訳すると「自衛のための国防軍」を意味します。
以上の事から軍事組織の名称はそんなに「軍」という文字に拘る必要はないと思います。

◆改憲するならアメリカ方式で。しかし早急な改憲はすべきではない

もし改憲するのならこれは当方の個人的見解ですが条文自体は
変更せずにアメリカ式の修正条項の追加が望ましいと考えています。
国際情勢や国内情勢の変化で前の条文に戻していい時にいつでも戻せるようにしておけば
再改憲の際にスムーズに審議や手続きが可能になるからです。

ただこちらも個人的見解になりますが早急な改憲はすべきではないと思います。
コロナ禍での自粛ムード強要や表現規制を巡る一部立法権者のキャンセルカルチャーを
見ていると人権条項に「青少年育成の為」と称して現行憲法の人権条項を
改悪してしまう可能性もあります。最近でも地方議会の議員の組織が千葉県の自治体に
根ざしたVTuberを交通安全動画に起用しようとした千葉県警に抗議を行い
千葉県警が削除してしまい騒動になった事案がありました。
アメリカでも憲法改正にあたる憲法修正は1992年以来行われていません。
改憲論議は不磨の大典とされた明治憲法の反省からすべきですが
一方で早急な改憲は将来に禍根を残す事になりかねません。

■ソース

世界の現行憲法と平和主義
https://s3-us-west-2.amazonaws.com/jnpc-prd-public-oregon/files/opdf/218.pdf


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