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#4 うつりゆく


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詩「ホワイト」

窓の外を覗くと、それはふわふわした雪でした
寒い日、こたつで寝ていたら冬は来ていて
鍋を囲んでいたら雪が降っていて
外で遊んでいたら雪は溶けて
いつのまにか桜が咲いていました

あなたはいつのまにか白髪が増えていて
わたしの手にはしわが増えていました

そうして年をとっていくのね
世界はわたし抜きでも回ってゆく
悲しくはない、だから家まで歩いてく

白い雪が懐かしい、あれはずいぶん前の話
あなたと見た、雪の話



エッセイ「変化」

「あなたがいないと世界が回らない」という言葉に、真意はどれほど含まれているのだろうか。この世から去るとき、泣いてくれる人がどれほどいるのか、みたいな話ではなくて、その環境からいなくなったら悲しい、いなくなったら不幸になる、その本質は依存なのではないかとすら思ったことがある。ぞっとしてしまう。

世界からかけてもらった言葉について真剣に考えてしまうのが近頃の癖だ。最近は、ある人から「ここをやめちゃうの?あなたがいなくなるのはかなりの痛手だよねえ。」という言葉をいただいた。素直に受け止められればよかったのだけど、わたしにはそれが難しかった。本当にそうなのだろうか、と思った。この環境で結果を残せた、という解釈ができるのであれば、喜んでいいことだ。そうだとして、わたしがいなくなるのが痛手なのは、今だけだと思う。あたりまえか、でもそうだよね。物事は、環境は、変化していくのが世の常であることはいつだって感じている。いつか、どんなことでも引き受けて、バリバリ働く人が現れるだろう。そんな簡単には、って怒られるかもしれないけど、わたしが入った頃だって同じことを言われていた。そんなもんだ。

わたしは自分がいなくても世界は回っていくと思ってしまう人間だ。環境は、世界は、時とともに形を変えてゆく。おもしろいくらいに、その場その時に合わせて変わっていくのだ。だからこそ、誰かががいなくなった環境は、時が経つにつれて誰かがいなくなった環境があたりまえへと変化していく。

それが、寂しいとは思ったことがない。むしろ清々しくて気持ちがいい。求めてもらっていた嬉しさと、お互いが変化して前に進んでいる勇ましさに胸を張りたくなる。

人間関係には執着がない。誰が誰と仲がいいとか、最近付き合ったとか、喧嘩したとか、本当に興味がない。でもそれに対して、その人個人、1人1人については興味がある。どんな人間で、どんなことを考えて、その行動をするに至ったのか、にとても興味がある。それにその1人1人も変化していく。その変化にも興味があるのだ。どう成長しているのかとか、かつて嫌いだったことが好きになった理由は、だとか、その変化によって人となりが形成されてゆく過程が気になる。知りたい、と思う。

かつてわたしがいた環境について思いを馳せることがある。いま、どうなっているのだろうか、みんな元気でやっているのだろうか、健やかに過ごしてくれてたらいいな、お世話になった人はわたしのこと覚えてくれているだろうか、などとふとした瞬間に思い出す。

日々わたしも変化している。あなたも変化している。そのなかで、思い出し思い出される関係性がいちばん好きです。いまどうしてるかな、元気にしているかな。連絡するまでもないけど、そう思った時間にふと会って話したくなるのがよい。そう思うと、変化も悪くないと思えます。



最近雪が降りました。今住んでいる場所での2回目の雪。たくさん積もりはしなかったけれど、車の上や道端の草木に白くうっすら雪が降りかかって、なんだかかわいかった。雪ってかわいい。運動場に雪が積もって大はしゃぎした小学生の頃を思い出す。寒い。とても寒い。今年はぜんぶの季節の変化を味わい尽くして、どの季節が1番好きかを決めようと思う。今のところ冬は嫌いです。


時が移りゆく様を楽しめたとき、本当の奥深さを知ることができると思うから、変化を味方につけられる人になりたい。世界は常にうつりゆくから。


アズ



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