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自分のことばを守っていくこと

カンテレ制作・フジテレビ系列で放送中のドラマ『エルピスー希望、あるいは災いー』を見ている。ドラマを見ようと思うとき、今までは、あらすじや出演している役者がきっかけになることがほとんどだったけれど、今回初めて、ドラマを企画したプロデューサーの話を聞いて、このドラマを見たい、と思った。 『エルピス』は、『カルテット』や『大豆田とわ子と三人の元夫』などを手掛けたプロデューサー・佐野亜裕美さんが企画し、6年越しで放送を実現させた作品であるという。Podcast番組『WEDNESDA

    • まだない記憶を思い出して泣くな

      たった数週間の忙しさに、あっけなく体調と情緒の舵をとられた。忙しくなり始めた数日後にひいた風邪はぐずぐずと治らず、眠さで頭のすみっこがずっと重たくて、行き帰りの電車の中はケータイを触る気力もなくぼーっとしていた。からだがしんどいと自ずとこころもしんどくなってきて、突然わけもなく涙が流れていて驚くことが増えていた。一方で、そんなふうになっているのは周りを見渡してみても自分ひとりだけで、そのことにもただただ焦りが募った。自分だけおかしい、ということは分かっていて、だけど何をどうし

      • 今夜、「なんでもないあかるさ」の下で

        どうしようもない気持ちで自分の部屋に帰って来て、ふとベッドの枕元に置いてある本のタイトルが目についた。『抱きしめられたい。』、糸井重里さんの「小さいことばシリーズ」のうちのひとつである。布地のような表紙の柔らかさと、つぶやきのようなフォントの穏やかさが、私の手を引き寄せた。ベッドにからだを投げ出して、ぱらぱらとページをめくる。 どのことばも優しく、また易しく、それなのにぴったりとした量の意味を滲ませていることに安心する。言葉よりも先に意味が染みてくる。一方で中には、一度視線

        • 「境界線上」をひとつの世界にするために | アプリ「New Monaural」との出会いから考えたこと

          この世界にはたくさんの「境界線上」がある、といつも思っている。この感覚について説明するのは何だか難しいのだけれど、簡単に表すとたとえば、「黒でも白でもなくて、グレー」みたいなこと。あるいは、「どっちでもあるし、どっちでもない」みたいなこと。そして、そういう事柄が自分自身を説明する要素にならざるをえないとき、そのひとの存在ごと「境界線上」に押しやられてしまったりする。そのどこにも行けなさを解消して、自由に歩き回れる「ひとつの世界」にするには、どうしたらいいんだろう。片耳難聴とい

        自分のことばを守っていくこと

        • まだない記憶を思い出して泣くな

        • 今夜、「なんでもないあかるさ」の下で

        • 「境界線上」をひとつの世界にするために | アプリ「New Monaural」との出会いから考えたこと

          Re:『新復興論』-東京の22歳が考えたこと-

          『たたみかた』創刊号「福島特集」で小松理虔さんに惹かれた。「バックヤード」へのまなざし、「福島を忘れないで、なんて優等生みたいな台詞を言うつもりはない。ただ、日常の足元を忘れるなとは言いたいかな。」という飾らなさ、たぶん私はこの人が好きだな、と思った。10月が始まった頃、新宿の紀伊國屋で小松さんの新刊『新復興論』を買ったものの、忙しくなかなか読み出せずにいた。先週ようやく落ち着いたので、満を持して表紙を開いた。 読み終えたときに真っ先に思ったのは、車の免許を取ろう、というこ

          Re:『新復興論』-東京の22歳が考えたこと-

          『たたみかた』創刊号「福島特集」

          雨の土曜日に打ち勝つべく出かけて行った池袋のジュンク堂で、福島県に関する本を集めたブックフェアをやっていました。そこでふと手に取った雑誌、アタシ社の『たたみかた』創刊号「福島特集」。開いてみて、最初のページに綴られていた編集長・三根かよこさんの言葉に嵐のような共感を覚え、慌ててレジへと向かいました。うちに帰ってどきどきしながら読み進め、最後のページまで辿り着いたとき感じたのはとにかく、「いま、出会えてよかった」ということでした。 福島特集、の下には「ほんとうは、ずっと気にな

          『たたみかた』創刊号「福島特集」