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思いが形になる喜び

全盲という視覚障害がある私は、スクリーンリーダーを利用してパソコンやiPhoneを利用している。スクリーンリーダーを使うと、入力した文字や画面に表示された文字を音声で確認することができる。


noteに記事を書く時も、入力した文字を音声読み上げで確認し投稿している。文字の読み書きをするだけなら問題ないのだが、WEBページを閲覧していると、スクリーンリーダーでは操作したい場所にフォーカスが当たらないことや、意図していないところにフォーカスが移動してしまうことがある。
一本道でゴールは見えているのに、いざ歩き始めるとあちこちに障害物があり、回り道をしなければ目的地に到着できない。記事を公開するというゴールにたどりつくのにずいぶん時間がかかってしまう。
noteのWEBサイトやアプリもスクリーンリーダーでは使いにくい箇所がいくつかあった。
数か月前に、note運営チームにアクセシビリティの対応をお願いしたところ、昨日公式記事が公開された。



今回はアクセシビリティ改善をお願いするに至った経緯、対応していただいたときの様子、どうして私がnoteを使い続けたいかを書いていきたい。

noteを始めたきっかけ

私がnoteを始めたのは、昨年5月に
#岸田奈美
さんが開催した「面白い文章コンテスト キナリ杯」に出すためだった。
初めて書いた記事をたくさんの方に読んでいただくことができた。

毎日、新着記事を読んでは、投稿者に感想をTwitterで送った。
これまでやり取りをしたことのない方でも、岸田奈美さんのファン、同じコンテストに出している方々ということで、打ち解けてやり取りすることができた。

ブログ閉鎖からnote移行へ

13年間書いていたブログを、娘の10歳の誕生日を区切りに昨年末閉鎖した。
妊娠前から始まり、妊娠中の様子、憶えている限り全てを書いた出産の記録、生まれてからは日々大きくなっていく娘の成長の様子を忘れないように、細かい会話や気持ちの移り変わりを書いていた。
写真が撮れないこともあり、文字でアルバムを作るつもりだった。
娘も小学校高学年になり、ネット上に自分の事が細かく書かれているのは嫌だろうなと思い、閉鎖を決めた。出来事を丸ごと書かなくても、私の言葉で娘の成長を残すことはできる。
それに、これまでは読み手を意識せず、自分のために書いていた。noteでたくさんの方の投稿を読むようになり、もっと「読んでもらうための文章」を書きたいなと思うようになった。

アクセシビリティの壁

noteに完全に移行してからは、パソコンとiPhoneを使って記事を書くようになった。思うように読み上げない部分があり、何度も検証を繰り返して
「こっちはパソコンの方が読み上げる。こっちはiPhoneの方が読み上げる」
と作業する内容に応じて端末を変えて記事を書いた。アクセシビリティに詳しい方たちにパソコンやiPhoneの画面を一緒に見てもらいながら

「確かにここはボイスオーバーだとフォーカスが当たらないね」
「こっちはパソコンでできそうですよ」
という風にアドバイスをもらった。

note運営チームへのメール

3月中ごろ、思い切ってnote運営チームにアクセシビリティの改善をお願いするメールを書いた。
視覚に障害があり画面読み上げソフトを使って記事を書いていること、今のWEBとアプリでは思うように記事を更新することができないことを書いた。
その上で私がどうやって記事を書いているかを見ていただきたいと続けた。見ていただく方法として、三つを提案した。
noteのあるオフィスまでパソコンを持って行って実演できること、zoomで画面共有を使って実演できること、iPhoneの画面収録をした動画を送ることもできると書いた。noteを通じてたくさんのすてきな書き手と出会い繋がったこと、今後もnoteというコミュニティーで書いていきたいと思っていることを伝えた。
最後に私の電話番号を書いて送信した。

いただいたお返事からヒアリングへ

数日後早速担当の方からご連絡をいただいた。note側としてもアクセシビリティの改善は検討されていたとのこと。
zoomで打ち合わせの日程が決まった。
note社の方数名と、外部のアクセシビリティ専門家の方が入ってくださった。zoomの画面共有から、スクリーンリーダーの音声も聞いてもらうことができた。
「確かに、この状態では読み上げませんね」
と言って、丁寧に私の話を聞いてくださった。

アクセシビリティの改善

打ち合わせからあっという間に、冒頭に紹介した記事としてアクセシビリティの改善がなされた。アプリもWEBも使いやすくなり、書きたい気持ちが高まってきた。
何人かnoteをスクリーンリーダーで利用しているユーザーを知っているので、私一人からの要望ではないと思う。
スクリーンリーダーで利用している人を「少数派の意見」だからと言って受け流すのではなく、真摯に対応してくださったことが嬉しかった。
たくさんの方のお力で、アクセシビリティ改善の最初の一歩に繋がったのだと思う。思い切ってメールを送ってよかった。
実は、何人かの視覚障害の友人に
「note書いてみたらいいのに」
と進めていた。
「アクセシビリティが改善されたらやろうかな」
と言っていたのを思い出した。早速連絡してみようと思う。

noteを続けたい理由

一番は、書くことが好きだから。noteを読んでいるとみなさん、考えさせられたり、面白い文章をどんどん公開している。
私なんか思っていることをなかなか文章にできず、しょっちゅうやさぐれモードになる。
「私が書くことをやめたって別に誰も困らへんし、やめようかな?」
と思う。でも、すぐに思いなおす。
書くことをやめたら私が困る。
頭の中にある思いを少しずつでも文字にして、読んでもらう形にすることで、気持ちが落ち着くのを感じる。
もっともっとたくさん書けば、私の味が出てくると言ってくれた方もいた。
もう一つはすてきな繋がりが出来たからだ。
noteを始めた直後から繋がっている方もいれば、最近出会った方もいる。文章をきっかけにコメントやTwitterでのコミュニケーションが広がっている。
素敵な書き手と繋がる場所であり、私自身が自分を表現する場所であるnoteでこれからも書いていきたい。その一歩としてアクセシビリティの改善は大きな力になった。
関わってくださった方、ありがとうございました。

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