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私の観劇スタイル~劇団新感線「薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-」

天海祐希さん出演、劇団新感線の舞台「薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還」を観に行ってきました。


12年前に上演された作品の続編で、このとき初めて舞台でお芝居をしている天海さんを観ました。芝居の迫力、生バンドの音楽、客席との一体感を今でも憶えています。
その続編が上演されるということで、何か月も前から楽しみにしていました。でも、私が舞台を観に行くにはスムーズにいかない部分がいくつもあります。

まずはチケットを買うこと。画面読み上げソフトを使って日にちや時間を一つずつ確認しながら操作していくのはすごく時間がかかります。うまく読み上げない部分もあり、見える友人に手伝ってもらったことが何度もありました。次のハードルは会場までのアクセスです。駅直結や、2・3分であれば初めての場所でも人に聞きながら何とかたどりつくことができます。でも、駅から会場が離れていると一人で行くのは難しく、行きたい舞台があってもあきらめることもありました。若い頃はそれでも周りの人に聞きながら一人で観劇やライブに行っていました。声をかけた方が同じ劇場に行くからと、誘導してもらったことが何度もありました。なんとかチケットと会場までのアクセスをクリアしたとして、台詞と効果音だけでどこまで作品が楽しめるのかと考えてしまいます。録画して何度も観られるドラマや、音声ガイドが増えてきた映画とは違い、生の芝居を楽しめることが観劇の醍醐味だと思っています。観終わった後で、疑問ばかりが残るのは嫌だなと思い、ためらいがちになってしまいます。今回、劇団に音声ガイドを入れてほしいとお願いするつもりでした。でも、私が長期間体調を崩していたこともあり、残念ながらエネルギーが沸かずお願いすることはできませんでした。それでもこの作品はどうしても観たかったのです。お会いしたことのある天海さんファン仲間のTwitterのフォロワーさんが一緒に行こうと声をかけてくれ、チケットを申し込んでくれました。9月に公演が始まってからというもの、私がネタバレOKだとツイートすると、たくさんのフォロワーさんが視覚情報を補ってくれました。数々の衣装、バックスクリーンの映像、役者さんの表情までも楽しそうに教えてくれました。映像で話が進む部分を文字で説明してくれる方が何人もいました。みなさん楽しそうに説明してくれている気持ちが伝わってきました。私への説明とは別に毎日タイムラインを見るのが楽しみになりました。たくさんの人の観劇ツイートを読んで、その日の劇場の空気が伝わってくるようでした。

迎えた当日。前から三列目という座席でした。既に何度か観劇されているフォロワーさんは、注目する台詞や曲を教えてくれました。役者さんの足音、上手から下手に移動している生の声が聞こえてきました。

「香ばしい香りがしてきたら、ステージにスモークがかかってますよ」

と教えてくれました。伝えてもらっていなかったらきっと、観劇中

「この香りはなんだろう」

と気になっていたと思います。事前にたくさん視覚情報を補ってもらっていましたが、疑問に思うシーンがたくさんあり、観劇後に詳しく教えてもらいました。さらに細かいシーンごとに分けて役者さんの立ち位置や小道具などをlineで送ってくれています。

「この芝居の楽しさを余すところなく伝えたいから」

と言ってくれていました。そのクオリティの高さに驚きました。頭の中で、映像で話が進む部分がどんどん繋がっていく感覚は、音声ガイドで映画を観ているときのようでした。時間を見つけて少しずつ書き貯めたものを送ってくれていて、私はlineで貰ったものをメモ帳に貯めています。12月にもう一度観劇できるので、公演前と後に読み返せば、もっと作品の世界が楽しめるはずです。

今回の舞台だけでなく、ドラマや映画を観ていてどうすれば私が一緒に楽しめるかを考えてくれる人とたくさん出会うことができました。同じシーンでも説明してくれる人に寄って「その人に見えている世界」が伝わってきます。

「この人にはこんな風に見えてるんだ」
「この人はここに注目してるんだ」

と思いながら読むところに面白さを感じています。どんな作品でもバリアフリーで観られるようになるのが理想です。でも、こんな風にたくさんの人たちが、同じ作品についてその人の視点で語ってくれる感激スタイルも楽しいものだなと思っています。

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