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命のリズム(詩)

森の中で
うさぎは軽やかに跳ねる
くまはのんびりと歩き
いのししは勇ましく走り抜ける
みんな違う足音
それぞれのリズムで響きわたる

空を見上げれば
とりが風に乗って自由に飛び回り
地上ではかめがゆっくりと進む
同じ目的地なんてない
ただ、彼らの道を歩んでいるだけ

海の中では
小さな魚が群れを成し
大きなクジラが静かに泳ぐ
波の音はみんなを包み込み
違う声が一つになる

だけど、ある日
そのリズムは突然止まった

うさぎはもう跳ねることをやめ
その軽やかさは重荷に押しつぶされ
足音は静かに消えた

くまは強さを失い
大地に伏して眠るだけ
いのししの冒険心も閉ざされ
その足音はもう響かない

空では
とりの羽が折られ
風に乗ることができずに
かめは殻を壊され
道を見失った

海の中では
小さな魚たちの群れは散り
クジラは深い底へ沈んでいく
波の音は遠く、静寂が広がる

違うことが許されなくなったとき
世界は美しさを失い
命のリズムは止まってしまった

でも、もしまた
みんなが違うことを受け入れたら
うさぎは再び跳ね、
くまは歩き、
とりは風に乗るだろう

波はまた響き、
命のリズムが戻るだろう

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