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イギリスの学校 中等教育の家庭科

1970年代初頭に親の赴任に伴って渡英し、現地の中等学校に入学しました。その時の経験です。

日本では家庭科と呼ばれる科目はHome Economics家政科と呼ばれていました。2年弱の間に受けた授業の内容は、料理、裁縫、アイロンかけでした。

日本の学校では1グループに1調理台で課題のメニューを複数人でつくりますが、この学校では一人1台の調理台で、自分の分を全部自分で作ります。

最初に作ったのはショートブレッド。宗教上の理由でラードではなくマーガリンを使った友達もいました。柔軟で融通が利いたのだと思います。焼いた丸い形のショートブレッドはすべて自宅に持って帰ることができました。

ほかにつくったメニューは、シェパーズパイ、食パン、クリスマスプディング、キャセロールです。すべて持ち帰った覚えがありますが、容器を持っていない人は買って持参したのではないかと思います。

友人たちは、実習後、調理器具を台所洗剤で洗い、すぐに拭いて片づけていました。家では洗剤で洗った後、必ずゆすいでいましたので、違和感がありました。帰宅後、母にそのことを伝えた時に、「ここの洗剤って、日本みたいに、虫を殺せないのよね。だからじゃない?」とのこと。それでも、私はそれ以降もゆすがずにいられませんでした。

裁縫では、自分の作業用の袋を作った後、スモックを作りました。日本のように裁縫箱を買わされることはなく、まち針も糸もすべて学校に用意してあるものを利用しました。

布も学校においてあるものから自分の好きな布を選びます。「今年はいつもより選べる布の種類が少ないです。日本が買い占めてしまったらしい。」と先生がみんなに言い訳しました。時はオイルショックの頃。どうやら日本の商社が買い占めてしまったとのことでした。その時は「日本ってひどい!」と私も友人と一緒になって怒っていました。私も友人も私が日本人であるという自覚・認識がなかったようです。

アイロンがけの時には持参した家のワイシャツで、アイロンのかけ方を教えてもらいました。特別な技術ではありませんが、今でも役に立っていると思います。

女子校だったので、和気あいあいと家政科を学びました。生活していくために役立つ実践的な内容だったと思っています。

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