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イギリスのサマースクール2

10代初めの50年ほど前に参加したイギリス南部でのサマースクールの記憶をもとに書いています。

サマースクールの朝は部屋にお姉さんたちが起こしに来てくれることから始まります。お姉さんたちはきっと大学生ぐらいだったのではないでしょうか。ちょっと大人ででも、色々と相談にのってくれたり、一緒に遊んでくれたので、姉妹がいなかった私はうれしかった覚えがあります。

朝起きたら、洗面所で顔を洗います。イギリス人はフェイスタオルを濡らして顔を拭くだけ。歯は歯磨き粉を付けて磨きますが、カップは用意されておらず、口の中の歯磨き粉がなくなるまで歯ブラシを何度も水で流して磨きます。

洗顔が終わったら食堂へ。朝ごはんはオレンジジュースかミルクティとシリアルに牛乳をかけたもの。その頃の私はコーンフレークなどのシリアルに牛乳をかけるとべちゃべちゃになるので好きではなかったのですが、好き嫌いは言っていられない。

朝食が終わると午前中に何をしたいか自分で考えます。プログラムとしては、町で買い物をする。町のプールに行く。浜辺で遊ぶ。のいずれかでした。必要に応じて親が事前にメイトロン(寮母さん)に渡しておいたおこずかいを出してもらいます。

準備ができたらサマースクールで用意している小型バスにみんなで乗り込んで出発。浜辺、プール、町でバスが止まり、それぞれの予定に応じて子どもたちは下りていきます。

浜辺では貝拾いをしたり、砂でお城を作ったり。カートで売っているアイスキャンディを食べたりもしました。一緒にいる大人が来てくれる時にはピアと呼ばれる桟橋まで足を延ばしたものです。

町で降りた時には買い物をしますが、特に何もなくても海辺の小さな町なので観光客用のお土産屋さんをひやかして歩いていました。あるいは、夜に備えてお菓子を買っておくとか。

時間になるとバスを降りたところにまた小型バスがやってきて、みんなを拾っていきます。そしてサマースクールに戻って昼食。

昼食後はサマースクールの広大な敷地で各々勝手に遊びます。
幼い子も交えて、みんなで2チームに分かれて、攻める側のメンバーが守る側のメンバーが阻止するのを突破して、反対側にたどり着く、鬼ごっこのような「ブリティッシュ・ボーダー」もよくやりました。

クリケットをする子どもたちもいましたので、仲間に入れてもらったことがあります。「男の子の遊び」だとは言われましたが、仲間に入れてもらって、クリケットの独特の投げ方やバットを構えてボールを打つ方法を教えてもらいました。しかし、クリケット自体のルールは残念ながらわかりませんでした。

少し奥まったところにあった小屋には卓球台とピアノがありました。そこでは友達から「チョップスティックス」という曲を教えてもらい、私は「猫ふんじゃった」を教えてあげました。

夜にフィーストといわれる秘密のお菓子パーティを企画していた時には、森の中の木に腰かけて同じ部屋の女の子たちとどんなふうにするか、話していたこともあります。

昔の貴族のマナハウスだったサマースクールの館の中を探検して、洗面所から台所につながる秘密の階段を見つけたこともあります。

そんなこんなで夢中で遊んでいるとやがて夕食の時間になります。

昼食も夕食も基本学校給食のように質素でしたが、暖かいものでした。私はスコッチエッグが美味しいなと思っていました。

ただ、日曜日だけは料理をする人たちが休みを取っていたのだと思いますが、ハムとポテトチップスだけでした。日本の食生活に慣れているとなんだかなぁと思ってしまいますが、こんな食生活に慣れてしまうとそれはそれでそんなものかと。今でもグルメに走ることができない私にはこのころの経験が根底にあるのかもしれません。

夕食が終わって少しすると夜のお楽しみの時間です。

週に何回かは古い喜劇の映画を見せてもらいました。ローレルとハーディが多かったと思います。

週に1度ぐらいは、映画やお祭りに連れて行ってもらいました。

映画はその時に封切りされた007を観ましたし、お祭りはメリーゴーラウンドや綿あめが買える本格的なフェアでした。

幼い子供たちはまだ陽の光が残っている7時ぐらいには寝かしつけられていましたが、それよりも大きい子供たちは9時ぐらいまで遊んでいました。

でも寝る時間になると皆ベッドルームに戻るよう言われます。

電気を消して、大人たちの物音が聞こえなくなったら、夜のフィーストの時間です。部屋の仲間が用意しておいたお菓子をそれぞれ出して、みんなで小さな声でおしゃべりをしながらお菓子を食べました。興に乗って声が大きくなるとお姉さんたちがやってきて、「ダメでしょ」と優しく言われてお開きです。

そんなこんなで2週間近くを過ごし、電車で親が迎えに来たロンドンの駅に戻りました。
引率してくれていたお姉さんと別れるときにハグして、キスをしたのを見て、母は目を丸くしていました。

とことん遊んだ2週間でした。楽しかった!


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