【感想】映画『侍タイムスリッパー』
SNS上で映画好きな界隈の人たちの間で話題になっている映画があります。
『侍タイムスリッパー』という映画です。
この映画の存在を知ったきっかけとしては、映画考察系YouTuberさんの沖田さんとおまけの夜の柿沼さんの動画で最近見たオススメの映画について紹介する動画を見て知りました。
時代劇とタイムスリップものの組み合わせは本当に面白いのかという疑念もありつつ、事前に『侍タイムスリッパー』という映画について自分なりに色々と調べてみました。
本作は、監督や脚本をつとめた安田淳一さんを含めわずか数名のスタッフによって製作された自主制作映画であり、安田さんは元々、米農家だったということも驚きでありました。
この映画自体は、全国で1館だけの上映だったのですが作品が面白いと口コミで話題を呼びSNSで映画好きの人たちや普段あまり映画館に行かない人たちの客層の心を掴むほどの影響力のある映画であり、私自身も映画館に足を運びましたが、ほぼ満席の状態でありました。
『侍タイムスリッパー』の魅力は作品全体を通してのコメディ要素と時代劇におけるリスペクトが全面に伝わる映画であり、私は本作を時代劇、SFとは捉えずにコメディ映画だなと感じました。
見る人たちの笑いのツボをおさえて心を掴む力、それは監督や演者さん、撮影スタッフの方々の一致団結な絆によるものが『侍タイムスリッパー』という作品の良さを向上させているのだと感じられました。
作品の概要としましては、幕末の京の夜に、会津藩士の新左衛門と長州藩士との決闘の際、突然落雷が落ち新左衛門は気を失ってしまうところから物語が始まります。
眼を覚まし新左衛門が目にした光景は時代劇撮影所であることが明らかになります。
あるきっかけで、新左衛門は撮影に加わることとなり、時代劇や殺陣の奥深さ、魅力にのめり込む新左衛門は時代劇における斬られ役を極めることを決意します。
私が本作で好きなところは、劇中での助監督の優子や住職のお父さん、殺陣師の関本、そして恭一郎など、皆それぞれ特別な個性があり、魅力的な人たちばかりですし、新左衛門の心の支えになる存在でもあることが窺えます。
タイムスリップしてきた新左衛門も、最初は幕末と現代の違いに戸惑いつつも、少しずつ環境に順応しながら、撮影を通して新左衛門の演技力も向上していき、心身も成長していきます。
彼は斬られ役に徹することで、かつての武士の頃では気づけなかった自らの道を現代で学び、そして極めていき新しい一面を見せることで磨き上げられた逞しい存在として認識させられます。
時代劇にSFやコメディ要素を付け加えることで、新感覚な作品として出来上がるところは面白いですし、ラストの恭一郎と新左衛門との一騎討ちのシーンはとても見応えがありました。
SNSで『侍タイムスリッパー』が喝采を博す理由に納得させられました。
コメディ映画としての『侍タイムスリッパー』の一番好きなシーンは、新左衛門が住職夫婦の家で初めておむすびやショートケーキを食べてびっくりして涙目で感動するところであり、確かに実際の幕末の武士がおにぎりやショートケーキを初めて食べるとかなりの衝撃を受けるだろうなと感じましたし、実際見てもめちゃくちゃ面白かったです。
住職夫婦と新左衛門がテレビを見て、新左衛門が初めてテレビを見て驚くところや殺陣師の関本との稽古の中で斬られ役から斬る役へと役回りが変わって、関本が斬られ役を演じまくるところはかなり笑えました。
そうした笑えるシーンがいくつもあり劇場でゲラゲラと笑っていたのは他のお客さんも同様であり、ここまでの笑いを共有して楽しめる映画は『侍タイムスリッパー』を除いて他にはないとそう思いました。
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