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【‘‘衝動とは何か?’’】

ー衝動とは何か、趣味性から考える衝動の正体-

衝動という言葉は、自分でもコントロール出来ないほどの情熱のことであり、理由や説明することも皆無で没頭している状態、すなわちゾーンに入っていること、もしくは取りつかれたかのように何かに向かっていることも意味しています。
‘‘衝動’’を幽霊に取りつかれているという言葉で置き換えられ、衝動とは何かを問う谷口嘉浩さんが記されました『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』という本が非常に面白く読みました。

夢中や没頭を分かりやすく説明することは難しいことのように思いますし、夢中と没頭を‘‘衝動’’へと置き換え、衝動を幽霊へと置き換え、理論的に説明することでこの言葉の意味、輪郭を浮かび上がらせているところがまた興味深い内容だと思いました。
衝動は幽霊のように取りつくというのはメタファーであり、衝動から人生のレールを外れる欲望でもあると言えます。
欲望から行動へと移し、私たちはそうした衝動を上手くコントロールして活かすことが出来れば、衝動は私たちにとっての大きな武器へとなりうるのではないかと考えられます。
こうした衝動は、モチベーションとは何が違うのか。
あるいは、衝動そのものの正体とはなんなのかを解剖する上でも本書は大きな手掛かりになるものだと思いました。
衝動は、個人の持つ欲望へとも考えられますが、欲望の特性や強弱というのも個人によって異なるものだと感じます。
だが、こうした衝動が発揮される瞬間というのは何かということを考えた時に思い浮かんだことは、個人個人による‘‘趣味性’’なのではないかと考えることがありました。
趣味とは、一般的に自分の好きなこと、やっていて楽しいこと、続けていることなど、趣味という言葉を簡潔にまとめ説明することも難しいことのように思います。
趣味は、その専門性を極めたものを指すことだと世間では捉えられていることもあったり、純粋に楽しいことを趣味と呼ぶならば、私の中では趣味というものは数えきれないほどあったりします。
頑なに、趣味はなんですかと聞かれることはよくありますが、趣味を前者と捉えるべきなのか、後者と捉えるべきなのか、また前者と後者の意味合いも含んでいるのかと考え過ぎて分からなくなってしまうことがあります。
話を戻しますが、この‘‘趣味性’’というのは衝動と深い関わりがあるのではないかと感じられました。
衝動を引き起こすもの、それは個人の持つ趣味によるものであり、趣味は時に専門性へと高められる場合があります。
衝動を引き起こすトリガーへとなるもの、それは趣味の持つ特性であることが考えられますし、現代人にとってそうした専門分野に特化した人たちのことをオタクという言葉で揶揄していたりします。
衝動は、時に人生のレールを外し、良い方向へと導かれるか、悪い方向へと導かれるかその時ではないと分からないことがあると思います。
だからこそ、まずは衝動の原点となるものから自らの力で見つけ出すことが求められるのではないかと考えさせられました。


【参考文献】
『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』谷川嘉浩 ちくまプリマー新書

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