見出し画像

【感想】映画『碁盤斬り』

先日『碁盤斬り』という草薙剛さん主演の映画を見に行きましたが、時代劇の映画ということで、私自身は普段時代劇というのはなかなか見ない傾向なのですが、これがまた素晴らしく面白い映画であり、囲碁を題材にしたかなり渋い作品ではありますがかなり楽しめました。
物語は、浪人の柳田格之進による冤罪事件の復讐劇や娘のお絹と離ればなれになってしまった武士としての誇りや生きざまを描いており、人情味溢れていて、格之進の姿はとてもかっこ良かったです。
格之進が嗜む囲碁には格之進の人間性が表れるものがあって特に萬屋源兵衛との対局は見応えがあり趣深いものがあり、注目すべきシーンだと感じました。
本懐を遂げる為、己の精神を貫く格之進の信念は萬屋源兵衛や柴田兵庫との対局で顕著に描かれるものがあり、碁盤の中で行われる一手一手の戦法、空気感や演出により『碁盤斬り』は映像の色味や画角に深みを持たせる力が働いていると感じました。
キャストの演技力や映像的技法の完成度を見ても定石を踏んでいて、時代劇としてエンタメ性も内包しているものがあり『碁盤斬り』を機会に囲碁の歴史や文化的な背景にも興味が湧きました。
囲碁の戦術については対局者の心理状態に焦点を当てられるものがあり、冷静さを徹底しなければ勝負に勝つことは困難であるということも感じました。
囲碁を通じて、格之進の対局を制するスキルや彼の周りの人間関係の構築は彼の生き方へとそのまま反映されるものがあると感じました。
彼の過去の因縁や武士としての本懐を果たす為に復讐の旅へと出ていくところから、彼の復讐は今この瞬間から始まっていくという緊張感はかなりワクワクさせられるものがありました。
武士道の精神と格之進ならではの唯一無二の対局での感性、この二つが重ね合わさる時に『碁盤斬り』の世界観が立体的に浮き彫りとなっていき、四季の美的な移ろいを映画の中で疑似体験さえも出来る素晴らしい力作だと感じられるものがありました。


この記事が参加している募集

よろしければ、サポートお願い致します。 頂きましたサポート資金は、クリエイターとしての活動資金として使わさせて頂きます。これからも、宜しくお願い致します。