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「Person of color」は言ってもいいけど、「colored person」はダメ?!

こんにちは、ニューヨーク在住女優、筒井あづみです。ニューヨークに住んでいると日々、色々なバックグラウンドの人に出会います。英語での表現の仕方にも気を使わなければなりません。今回はそんなお話。

アメリカでは人種差別はもちろん違法ですが、役者募集の世界ではやはり、「この役にはこの人種の人を」という要望はあり、それは仕方のないことです。白人は white, Caucasian など、黒人は black, African American など、アジア人は Asian、ヒスパニック系は Latina(女性), Latino(男性), Latinx(性別関係なし)などと表現します。

また、最近よく見る表現として BIPOC という言い方があります。これは "Black, Indigenous, People of Color" (黒人、ネイティブアメリカン、カラーの人々)を示す表現です。

この "People of Color" という言い方、これは白人以外の人々をさすので、私たちアジア人もここに入るのですが、この言い方がなかなか繊細で複雑なのです。

こちらの Slate の記事によりますと、"Colored" や "Negro" といった表現は歴史的に差別的な感情をこめて使われてきたため、好ましくないということ。何が望ましい呼び方かというのは時代によって細かく変わりますが、そのグループの人々が傷つかない呼び方を模索すべきだということです。

その他にも記事では障害がある人の呼び方が "crippled"→"handicapped"→ "disabled"→"differently abled"というふうに時代とともに変化してきたことを述べています。

さらに最近では性別の分類に "female-identifying"、 "male-identifying" といった表現を使うことがあります。これは戸籍上はどうであれ、自分で自分を女性と認識しているか、男性と認識しているか、といった分類の仕方です。

アメリカでは人種差別の歴史をなんとかして振り払おうと努力をしてはいるのですが、実際、この職種は90%以上黒人(もしくは白人)や、この地域の住民の90%以上は黒人(もしくは白人)のみ、といった「違い」や「住み分け」があることはアメリカ人でない私にでも感じられます。また、アジア人と黒人、もしくはアジア人と白人のカップルはよく見ますが、それに比べると黒人と白人のカップルは非常にレアです。しかし、黒人の人が成長していく過程でアメリカ社会における差別にどのように向き合い、感じて来たのか、それはアメリカで育っていない私にはなかなか肌で感じることのできない難しい問題です。

黒人男性の友人に聞いた話ですが、子供の頃父親に、お店に行ったときはポケットに手を突っ込んでいてはいけない、手を見せておけ、と言われたそうです。それだけ黒人の人は疑われやすいということなのです。

最後に一つ。黒人の人たちが会話の中でたまに "nigger" と言って相手を気軽に呼び合っているのを耳にすることがありますが、これは黒人ではない人は決して使ってはいけません。黒人の人同士の間で呼び合う際のみに許される言葉だそうです。

以上、人種に関する英語でした!

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