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1年以上ぶりの in-person リハーサル再開!

こんにちは、ニューヨーク在住女優、筒井あづみです。今回は私が所属しているシェイクスピア劇団「Hamlet Isn't Dead」の活動についてお伝えします。

通常劇団は1年を1シーズンとし、シーズンごとに所属俳優をオーディションで決めます。俳優と劇団の意向があえば、継続して所属し続けることも可能です。所属しているからと言って必ずこの劇団の公演に毎回出演しなければならないとか、他の仕事をしてはいけないなどといったルールは一切ありません。私も去年のシーズンから引き続き、今シーズンも所属させてもらえることになりました。

私がオーディションをして所属になったのは去年のコロナの最中でした。初めはコロナ禍がここまで長引くとは思っていなかったので、シーズンの始めは zoom でミーティング兼リハーサルを行って、コロナがおさまれば劇場で公演を行うという計画になっていました。が、去年の劇場公演は見事にすべてキャンセル。その代わり、zoom で公演を行ったり、一人ずつ、もしくは数人ずつでシェイクスピアの芝居のシーンを撮影し、それをつなぎ合わせてフィルムを作ったりする活動を行っていました。

また、昨年はシェイクスピアと同時代に生きていた color(白人ではない)の作家たちの作品を zoom でライブパフォーマンス、もしくは録画したものを流す、という活動も行っていて、私は日本の能の演目「松風」を英語でやる公演に出演させてもらいました。

さて、この劇団は zoom ではなく実際にみんなが集まって行うリハーサルに対してはかなり慎重でした。(ちなみに zoom など、インターネットを通して行う活動を virtual 〇〇と言いますが、その反対、つまり実際に現場に行って人と会って行う活動を in-person 〇〇と言ったりします)

しかし、この週末、やっと、in-person リハーサル再開となりました!再開、といっても私がこの劇団に所属してからはずっと zoom でのリハーサルだったので、この劇団での in-person リハは初めてです!

去年1年ずっと zoom で会っていた人とリアルで会うというのは若干不思議な体験です。zoom だと名前が表示されますが、リアルだとそれがない(あたり前だけど)。マスクもしているし、うーんたぶんあの人だろうなぁと思いながら、ちょっと確信が持てない、初めはみんなそんな感じでした。

今シーズンから初めましてのメンバーも何人かいたので、まずは自己紹介から。名前と自分の代名詞(she や he など。自分の性アイデンティティを示します。どちらにも属さない人は they)を言って、今回は好きな色、最近感情を強く動かした出来事を一人ずつ言っていくという自己紹介でした。

そのあと軽くストレッチをしたあと、ウォームアップエクササイズをしました。今回のエクササイズは "The minister's cat is...." というエクササイズ。一人ずつランダムに円陣の真ん中に出て、"The minister's cat is 〇〇 cat! "と言うのですが、この〇〇に入る単語はその時に指定されたアルファベットから始まる単語でなければならない。これは滑舌をよくするためのウォームアップです。

次はテニスボールを使って、誰でもいいからメンバーの名前を言ってその人に向かってボールを投げるというエクササイズ。人の名前を憶えていくためと、芝居のセリフの掛け合いはキャッチボールと同じなので、そのためのウォームアップです。途中からボールが増えて、同時にいくつかのボールが飛び交いますので、注意をそらさずにアイコンタクトを行う、という練習にもなります。

さて、今回のリハーサルでは各自好きなモノローグを用意してくるように、とのお題が出ました。モノローグとは一人台詞のこと。オーディションではよくこれをやってください、と要求されます。だいたい2分から5分ぐらいの一人台詞を好きな芝居から抜き出してきて、それを覚えてパフォーマンスします。これは役者に要求される基本スキルなのですが、なかなか難しい。モノローグのクラスなんかもよくあります。「Hamlet Isn't Dead」はシェイクスピア劇団なので、もちろんシェイクスピアの芝居からの引用です。

私もけっこう苦手な方なんですが、今回は今までやったことのない新作を用意しました。「から騒ぎ (Much Ado About Nothing)」からベアトリスのセリフを用意していきました。

めちゃめちゃ緊張したのですが、途中で台詞が抜けることもなく、うまくできました!何をもってしてうまくできたと言えるかというのはなかなか深い話になってしまうのですが、たまに役者が言う、舞台上で「記憶がなかった」とか「意識がなかった」とかいう言い方をしますが、あれがいわゆるスポーツ選手なんかでいう「ゾーン」に入っている状態だと思います。逆に「次はこっちに動いて」とか「次のセリフはこうで」とか「あー今のもっとこうすればよかったなー」ということを考え出すことを英語では "self-conscious" と言いますが、こうなってしまうとなかなかうまい芝居はできないものです。

私は今回このモノローグを始めて人前でやったので、かなり必死で、 "self-conscious" にはなりませんでした。それだけでも自分的には満足です!

さて、この劇団は来月に in-person で公演を企画しています。それに向けて準備が始まっていく予定なので、また色々とレポートしていきます!

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