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旅するように暮らすための個人的な10のレシピ。

「旅するように暮らし、暮らすように旅する」

昔から、そんなライフスタイルに漠然とした憧れがあった。

「暮らすように旅する」生活は想像しやすい。旅先にある程度の期間を滞在し、いわゆる観光地ではないところにまで色々と足を運ぶ。現地の方との交流を行う。旅先で仕事をしたり、ある日はどこにも出かけずに読書をして一日を終える。日本型の連休の旅行ではなく、欧米型のバケーションのような過ごし方と言えば良いのだろうか。何にせよ、ある程度の理想のイメージ像を描くことができる。

一方で「旅するように暮らす」とはどういったものだろうか。ふとそう思って色々と調べてみても、疑問に答えてくれるような話は見当たらない。普通の人は旅をしている時間よりも「暮らし」をしている時間のほうが長いはずだから、暮らしを旅に近づけたほうが理想のライフスタイルに近付きやすいのに、である。敢えて言えばミニマリストとの結びつきを書いているものが散見された。全く関係ないとまでは言わないが、モノが少ない生活をすることがイコール、旅の生活には結びつかないように思う。

暮らすような旅を実践したとして、家に帰ると現実が待ち構えている。そんな状況は理想なのだろうか。暮らすように旅することと、旅するように暮らすことは、両者が揃ってやっとひとつの生き方なのではないだろうか。

そんなことを思い、しかし参考になるものがあまりない状態だったので、「旅するような暮らし方」のための個人的なレシピを考えることにした。そこには6つのDoと、3つのDon'tが出来上がった。

Hayama, 2021/ LEICA Q

Do

1. メリハリのある予定を立てる

旅の滞在場所が変われば過ごし方が変わるように、旅には変化がある。反対に、自宅とオフィスの往復が続く日常を過ごしていると、どうしてもマンネリが生じてしまいがちだが、その中でも敢えて日替わりで立ち寄る場所を変えてみる、自宅の中でも用途によって違ったスポットで過ごすなどの変化を作ってみる

2. 夕方、夜からでも思い立ったときに外出できるようにする

旅の最中であれば、日が暮れてからでも街に繰り出してみるのは自然なことだ。であれば、暮らしの中にそのアイデアを取り入れない理由があるだろうか。今の自宅だって、引っ越してきてすぐの頃は今より思い立って出掛けることが多かったのではないだろうか。そのときの気持ちを思い出してみる

3. すぐ持ち出せるバッグを作る

思い立ったときに外出するために、可能な限りそのハードルをゼロに近づけておきたい。通勤と週末のバッグの入れ替えは僅かなことではあるが、気分が乗らないときなど特に、腰が重くなる原因になるかもしれない。それを見越して、手に取ったらすぐに出かけられるバッグを作っておく

4. 外食を楽しむ

旅の中では普段より外食をする機会が増えるだろう。値段の張る食事でなくても、外食は外に出るきっかけにもなるし、旅のエッセンスを比較的気軽に日常へ取り入れることができる。週1度の夕食でも外食してみることから始めてみる

5. 観光客の視点で近所を再発見する

見慣れているはずの近所でふと、明らかに海外から来られたような観光客を発見して、目に映る景色が全く変わってしまった経験はないだろうか。恐らくその観光客に視点が乗り移って、見える世界が変わったのだと思う。観光客がいつもいるわけではないけれど、自分がもし初めてこの土地、文化に触れる観光客だったらと想像するだけで、新しい発見が生まれる

6. 仕事の縛りからの解放を目指す

ノマド的なライフスタイルでは旅の中に仕事を取り込んでいく。逆に日常と仕事との結びつきを解いていくことは、暮らしを旅に近付ける。かといって、いきなり転職を考えようというのではなく、まずはマインドの変化も大事だ。例えば、朝から夜までの就業時間の中に休憩があると考えるのではなく、一日は自分の時間であり、始業と休憩、退勤に挟まれた数時間のコマについて自分は仕事に時間を費やしていると考える(大学生の時間割の感覚を思い出そう)。休憩時間に考えるべきことは…秋の旅の計画だ

St. Petersburg, 2018 / FUJIFILM X30

Don’t

1. 時間に追われる

旅の中で何かの出発時刻に急かされることはあるかもしれないが、恒常的に時間が足りないと感じることは少ない。しかし日常では、いつの間にか時間が足りなくなるようなことが頻繁に発生する。「もし今が旅の最中でも、本当にそれをやるのか」という観点で、やるべきことを整理する

2. 家に引き篭もる

旅は外の刺激との遭遇の連続である。旅の滞在先で引き篭もりたいのであれば、逆に日常では外に向かうことでバランスをとりたい。

3. 動画をだらだらと見続ける

Don'tの内容はどれも結局コレなのかもしれない。YouTubeやアマプラで観る動画はあまりに楽しいけれど、時間を無限に喰ってしまう。「旅先でも観るかどうか」で登録チャンネルを断捨離しよう。そしてすぐ手に取れるバッグを持って、ガヤガヤした街へと繰り出そう

Pacific Ocean, 2023 / FUJIFILM X-H1

One More Thing

ここまで9個のレシピを作成した。せっかくなのであとひとつ足して10にしよう。

日常を旅にするアイテムとして、僕はカメラ、写真機を推したい。そもそも多くの人にとってカメラとは、普段接することのない旅先の世界を切り取って、持ち帰るための道具だった(特にフィルムカメラの時代)。なのでカメラそのものにまず旅のエッセンスが含まれている。

旅に限らず近所の散策にカメラを持ち出しても良いし、部屋のテーブルの上などすぐに視界に入る場所にカメラを置いておけば、次の休みの日にどこに出掛けようかと思いを馳せることもできる。ここまできて「旅するように暮らす」という少し抽象的なライフスタイルが、僕にとってやっと手触り感のあるものになってきた。

この10のレシピは、僕が想像と思い込みで自分のために書いたメモのようなものだ。漏れも重複もあるだろうし、そのうち振り返ってみればすぐに更新されるようなものだろう。もしここまで読んでいただいた方がいて、それぞれの「私のレシピ」を考えるきっかけになれば嬉しい。

Osaka, 2022 / RICOH GR III

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