・映画と影響とメッセージと今ここ自分と(3)
さて、いきなりVOL.3から始められてもという方向けに・・・。
VOL.1
VOL.2
あれは三年前の暑い夏のことだった。
僕は、ひょんなことから東京のTV局にいた。
見るものすべてが初めての世界で、こんな職場がほんとうにあるのだななんて思ったりしていた。
普段生活していたら、つかめない幸運を手にした機会だった。
それは子供のころからの憧れである
最大のスター“シルベスタースタローン”に会いにいくという番組の企画だった。
僕にとっては神のような存在である。
主演映画ロッキーは死ぬほど観て育ったし、どうやって叶えるのか想像もつかない夢だった。
願ってもないチャンスと大抜擢に僕は、ロッキー制作時と同じ年齢だった彼と自分とを重ね合わせていた。
いつか金持ちになっても。社長になったとしても、この夢はどうかなえていいかわからない大きな夢、大切な夢。
しかも、そのためにアメリカにまで行くのだ。
スケールがでかい!!アメリカロケ!!
当時僕は、頭の中で、『どうせきっと、紆余曲折があり、ドッキリなんかも用意させられていて最後はすべて丸く収まるんでしょ?』と余裕をぶっこいていた。
けれど、現実は違った。
ケーフェイなんかなく、あるのは圧倒的なリアルと、スタッフの焦りとカルフォルニアの照り付ける大きな太陽が不安を加速させた。
時間は限られている、しかもここは異国の地。
砂浜の中からレゴの1×1ブロックをさがすのと同じように
大スターで神様のスタローンを探し、遭遇するにはあまりにもあまりにも武器や情報が足りなかった。
日も暮れて、街並みはカラフルな電飾に彩られ始めていたハリウッド。
歴代のスターの手形が所狭しと、道に埋め込まれているチャイニーズシアター。
華やかな街と反比例するように僕の心は暗くなっていった。
そこに立ちすくんでいても、もちろん神は一向に現れなかった。
いつの間にか、チャイニーズシアターにも閉店のロープが張られ始めていた。
「いよいよ引き際か・・・」
~続く~
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