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【鍼の物語 - 毫鍼 GOSHIN -】熱の履歴はわからない #1/2

こんにちは。東です。

昨日は、ゆりかもめのテレコムセンター駅にある都産技研に行ってきました。

お世話になっているジュエリー職人である矢野氏とともに伺った様子は、昨日の記事にあります。

▼昨日の記事

今回の鍼造りでは、都産技研のドクターXならぬ、ドクターS先生にご相談させて頂きました。

非常に興味深いご指摘がありましたので、ちょっと興味のある方は、本日の記事も覗いてみてください。

ではいきます。


熱の履歴はわからない

鍼に限らず、金属というものは、どんなものでできているか、これを知ることから始まります。金属を構成する成分の量と割合。これを金属の組成といいます。いわば、料理の材料です。

タイトルと料理の話で、パッとお察しの方もおりましょう。そうです。金属を加工するにあたり、火の入りが非常に重要です。

熱の履歴。

いつ熱が入ったのか。どの工程で入ったのか。それは何度だったのか。冷まし方は空気・水・油のどれだったのか。同じ組成でも、金属の性質にてんで違いが出る。

鍼をいくら眺めても、熱の履歴は全くわからないそうです。この鍼が、この金属が。どこでどのような熱の出入の歴程を追ったものなのか。

まったくもって、職人のセンスです。こうとしか言いようがありません。

この職人のセンスを再現するには、かなりの時間と費用がかかりそうです。恐らく、個人の範疇ではないでしょう。

しかし、研究の分野でも、誰かがそこまで研究したから、次世代の研究者が先に進めるというものです。

この熱の履歴について聴くまでは、鍼の組成を科学の力で分析できれば、まあまあの所までわかるような気がしていました。

しかしもって、職人技。

やはり、感覚の世界、経験の世界は奥深い。科学の範疇を超える職人の味がある。

熱の履歴。なかなかに余韻のある言葉でした。

今日はこの辺で。



今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

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